さいはてカフェに行ったことありますか

 春が快速急行に乗って行ってしまいました。

 新幹線や特急でしたら、進行方向に向かって座って、まわりのスピードに疲弊することなく時をやり過ごせたかもしれません。

 快速急行は必ずしも座れるわけではなく、電車読書をするには時間が足りなかったりすることも。




 今年の春は、忘れがたいものになりました。




 さて、初夏の日和が貴重なこの頃。

 本を持って電車ででかけたくなります。

 ふらり散策、ようやく心おきなく出られるようになりましたね。

 その気持ちに寄り添ってくれそうと思い手にした一冊。


 『さいはての駅カフェ探訪』 鈴木弘毅著 イカロス出版 2022年1月5日


 表紙のあおり文章にはこうあります。


 「魅力あふれる終着駅、無人駅、ローカル線の駅構内の喫茶店をめぐる」


 終着駅、無人駅、ローカル線、そして、喫茶店。

 読書旅にはぴったりのシチュエーションです。

 鉄道にこだわりがあるわけではないので、目次を眺めていても、その路線がぱっと思い浮かぶわけではありませんが、「さいはて」という言葉から、風情ある情景がもやもやと現れます。


 日常の中では、そうそうさいはてにご縁はありません。

 そう思いながらページをくっていきましたら、あ、ありました、行ったことのあるさいはての駅カフェ。


 えちぜん鉄道勝山永平寺線の終点(にして始発駅)勝山駅の駅舎内にある「えち鉄カフェ勝山」。


 勝山駅の駅舎は1914年、大正三年の開業当時のもので登録有形文化財に指定されています。

 大正レトロロマン漂う駅カフェというわけです。

 

 壁際にはレトロな雰囲気にふさわしい大きなサイフォンが居並んでいます。

 終着駅で、コーヒーを待ちながら、文庫本を開く。

 待ち合いの駅カフェには、ハードカバーより文庫本が似合うように思います。

 文庫本は、旅の連れ合いです。


 カフェでは、えち鉄ブレンドとパンケーキをいただきました。

 サイフォンでじっくり抽出されたコーヒーは、のどかな本数の電車を待ちながら過ごす駅舎のカフェならではの味わいでした。

 ベリーとクリームのパンケーキの美味しさに、思わず笑みがこぼれました。


 夏に訪れることがあったら、ウォータードリッパーで8時間かけて1滴ずつ抽出するアイスコーヒーを注文したいです。

 本書では、そのアイスコーヒーで作るコーヒーゼリーもおすすめされていました。

 確かに味わってみたい一品です。


 かつて訪れたのは、化石発掘体験をするべく福井県立恐竜博物館へ向かう道すがらでした。

 勝山駅は繁華街から離れた場所にあるため、駅前広場もがらんとしていて、陸地の端っこではないのに、さいはてという言葉の似合う駅でした。



 ふらりと行くには遠いさいはてですが、また訪れてみたいです。


 否、さいはては遠いものです。


 さいはての近くに住んでいない限り。


 

 

 では、皆さま、今日はこの辺で。








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