霧の多い日

椎名由騎

暗い森の中

 まだ夜明けには早い森の中


 朧月おぼろづきの光だけで歩く山道には誰もいない


 風で揺れる微かな草木の音だけが静かに聞こえるのみ


 山道の奥には山荘があり、微かなろうそくの灯りだろうか


 窓から光が漏れている


 誰かがいるのだろうか


 しかしシーズン外れの山荘には誰も近付かない


 それなのに灯りがついている


 何故だろうか


 忍び寄る足に誰かが山荘の扉を開けた



 その瞬間、山荘についていた灯りがフッと消えた

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霧の多い日 椎名由騎 @shiinayosiki

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