第2話 可愛い幼馴染のお家に行こう
唐突だが、俺は幼馴染である
決して運命的な出会いがあった訳じゃない。しいて言えば、家が隣同士で互いの親とも交流があり、俺とくるみも幼稚園の頃からずっと一緒だったということだけだ。
気が付けばいつも俺の側にはくるみがいた。だから彼女の良いところも悪いところも、大好きなところも全部知っている。
運命的でなくても幼馴染だからでもない。俺の近くにいてくれたのがくるみだったからこそ、俺はくるみのことが好きになったのだ。
俺は間違いなく自信を持ってそう言える。
◇
「ふぅ、コーヒーゼリーは出来てるかなっと」
放課後、帰宅部である俺は自宅に着くと玄関でスニーカーを脱ぎながら呟く。
幸助は野球部で元気に部活中だし、いつも一緒に帰っているくるみは今日はなにやら用事があるらしかった。
なので俺は一人寂しく帰ってきたというわけだ。
「くるみが帰ってきたら連絡するって言ってたし、それまでテレビでも見てるかぁ」
残念ながら家が両隣といっても、俺の部屋からくるみの部屋へ行ける便利な構造にはなってない。俺はくるみが家に帰宅するまでのんびりとリビングでテレビを見ながら待とうと考える。
手洗いうがいをきちんとした後、冷蔵庫に入れてあった大きなタッパーを取り出す。ずっしりとしたその中身を確認すると、一面の黒い光沢が広がっていた。
ぷるぷると揺れる。昨日豆を
「よし、出来てる……! あとはくるみから連絡が来るまでのんびりして……っと」
"ポンッ♪"
タッパーを再び冷蔵庫に仕舞おうとすると、家族や友だち、くるみの連絡先が入ったトークアプリの通知音が鳴る。
もしや、とスマホを取り出しながら画面を見ると、案の定くるみだった。そこには『帰ったよ』と文字が描かれていたので、俺も『わかった』と簡単に文字を打つ。
自室に行ってラフな格好に着替えると、タッパーを持ってすぐ隣にあるくるみの家に足を運んだのだった。
柴崎家の食器棚から取り出した二人分の器にコーヒーゼリーを盛りつけ、牛乳の入ったコップと共にお盆に乗せて運んでいく。
因みにくるみの母親である
いつも俺が作った料理を美味しいと食べてくれるくるみだけど、唯一苦手なのは苦い食べ物だ。コーヒーゼリーは甘くしているので俺はそのままでも十分に食べられるのだけれど、くるみは牛乳が無いと苦くて食べられない。
「ま、なんだかんだ言っていつも美味しそうに全部食べてくれてるからなぁ」
そんなくるみの姿を思い浮かべながら、両手に持ったお盆を落とさないように彼女の部屋がある二階へ向かう。
のぼり慣れた階段をのぼって行くと『くるみのへや』と可愛く装飾された木板が掛かっている見慣れた扉があった。
入るぞー、と声を掛けながらくるみの返事を聞かずに扉を開けると―――、
「……い、いらっしゃい
「おう。……ところでなんで体育座りしてるんだ?」
「う、うん……」
そこには、高校で見かけるときとは180度テンションが違うくるみが
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