アルルが帰ってくる。後編

鳥居 翔

魔法属性、無

攻撃魔法適性 D

支援魔法適性 B

剣士適性 A

スキル1 無詠唱 詠唱なしで魔法を唱えることができる

スキル2 勇者の加護 三十分の間魔力の消費が三分の一になり全ステータスが二倍になる。しかし使った後二時間体に激痛が走る。


 こんな感じだった。名前のところはちゃんと書き換えてみんなに見せた。


「私たちはSがあったけどショウにはないのね」

「言うなよ。落ち込むだろ……」

「ああ、ごめん! でもどっちかっていうとバランス型だししょうがないと思うわ」

「そ、そうです! ショウさんは十分に強いですよ」

「はいそうですよ……。まだ戦っているところは見たことありませんが……」


 シエラたちに便乗したのか、セツナも俺を庇おうとしてくれた。が、戦っているところを見たことないという一言に、少し笑いが起きた。


「いや、大丈夫だよ。冗談だよ」

「そう、なら良いけど。まぁ、お世辞でもなく勇者の加護っての強そうだしね」

「確かにな。でも体に激痛が走るっていうのが怖いけど」

「まぁ、確かにね」

 

 俺たちがステータスのことについて話しているとアルルに遮られた。

「では、次のことを話してもよろしいですか?」

「——ああ頼む」

 

 魔石のことをすっかり忘れていたよ。


「まだあるんですか?」

「ああ、めちゃくちゃでかい魔石を手に入れたんだ。それでSランク冒険者のエマさんに見てもらおうってことになったんだよ」

「なるほど。でもそんなにでかい魔石を落とすほど強い魔物を倒したなら、ショウさんはお強いではありませんか」


 セツナは俺が倒したと思ってるのか。まぁ、確かにこのパーティー俺が仕切ってるもんな。


「いや、俺じゃなくてこの二人が倒したんだ」


 俺はシエラとマールの二人を見て行った。


「そうなのですか! 凄いですね」

「いやいや、実際勝てたのはショウが作った魔道具のおかげだから」

「そうです」


 二人は謙遜しすぎだな。魔道具が無くても、倒してた可能性が高いと思うけど。


「なら、実質三人で倒したと言っても良いと思いますが」

「じゃあ、そういうことにしとこうかな」

「うんそれで良いわね」

「は、はい」


 俺たちの中で話がまとまった。


「では、お話しさせていただきます」

「おう、頼むぞ」

「はい。先に結論を言いますとご主人様は思い出せないと言っていました」

「思い出せないってことは……」

「お察しの通りでございます。何処かでは見たことがあるようです」

「まぁ、Sランク冒険者はやること多いし忘れることも、よくあることなんじゃない」


 シエラの言葉に納得した。

 Sランク冒険者ってギルドにはほとんど顔を出さないのにずっと何かをやってて忙しそうなイメージだもんな。


「ですが、魔石に詳しい人は知っているので、紹介するとも言っていました」

「魔石に詳しい人?」

「も、もしかして……」

「はい。考えていらっしゃるとおりでございます」

「と言うと?」

 

 俺だけ分かってないような感じだった。


「魔石に詳しいといえばエルフ族でしょうが」

「そうなのか?」


 俺が聞き返す。それにセツナが答えた。


「はい。エルフ族の方々はとても博識ですので。その中でも魔石のことについては詳しいと言われています」

「なるほどなー。確かに、そういうイメージはあるな」

「そう言うわけでございます。ご主人様が行っていたのはこれくらいでしょうか」

「そういえばさ」

「何でございましょうか?」

「何でアルルが説明してるんだ? 紙に書いてもらうんじゃ無かったのか?」

「言われてみたらそうね」

「エマさんも……アルルさんが喋るのは……知らないと思いますしね」

「それは……まぁ、この紙を見て貰えばわかると思います」


 アルルはそう言って、エマさんが書いたであろう、紙を持ってきた。

 早速その紙を見てみる。


「……これは酷いな」

「ええ、本当に要点しか書かれてないわね」

「これじゃ大切なことが分からないです」

「ですね。エマさんと言う方は大雑把なのでしょうか?」

「まぁ、そういうところもあると思います」

「なるほどなー。でもそういうところもありそうだな。エマさんは」

「アルルがいて助かったわね」

「だね!」


 エマさんの所から帰って来たアルルの話も終わり次に行くところが決まった。


「では、次はエルフの村に行くのでしょうか?」

「はい。ですがエルフの村は部外者は入りにくいので、ご主人様がこれを持って行けと言っていました」


 そう言ってアルルは俺にもう一枚の手紙を渡してきた。


「これを持って行けば、マシにはなるだろうとのことです」

「これか……あれ開かないぞ」


 俺は普通に開けようとするが開けることができなかった。


「それはご主人様によって魔法がかけられているそうです。取り敢えずそれを村長に渡せと言っていました」

「なるほどな。本当は気になるが見たらダメってことなんだろうな」

「それか、この魔法が何かを意味してるとか?」

「確かに、それは……ありそうだね」

「それが本当だったら面白そうです」

「まぁ、いいか。取り敢えずアルルも帰って来たことだし、家に移動するぞ」


 それに三人はうなずいて家に行く準備をした。


「家に移動するということは、ものづくり大会に勝ったのですね」

「ああ、まあな」

「おめでとうございます。他にもいろいろ聞きたいことはありますが、取り敢えずその家に行きますか」

「ああ、そうだな」


 そして俺たちは、ここの宿を出る準備をした。

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