禁断
制服、口紅、水彩画家
◆◆◆
たまに、ラブホに行く。マンネリ防止だ。いや、マンネリしているわけではない。
家では後処理が大変な事(想像にお任せする)とか、コスプレするとか、最近では部屋ごとにシチュエーションが違って。
和室、洋室、プールがあるところとか、忍者屋敷、部屋の中に電車の車内のようなセットだったり。
今日は教室だ。見慣れた風景。高校教師を15年近くやってはいるものの、このようなシチュエーションでというものは倫理的にどうなんだろうか。
しかも今日は学校勤務後だから僕はスーツを着ている。
浴室から上がり、そのスーツをそのまま着て待っててと李仁に言われ先に待っている。黒板、教卓、一組の机と椅子。
李仁もなんでこんなセットの部屋を選んだんだ。
「お待たせ」
入ってきたのは紺色のブレザーの制服を着て口紅をつけた李仁だった。化粧すると女性っぽく変身する。
「可愛いでしょ、制服着るの久しぶり。カイのモデルしたときに何回か制服着ていたの」
カイ……あの絵本作家で水彩画家の男。
あまり女装は好きではないと言っていた李仁が女子高校生のコスプレしてくれるなんて。
しかもうちの生徒たちも紺色のブレザー。靴下も同じ紺色の靴下……。
「本当はこういうプレイやってみたいんでしょ?湊音せんせ?」
僕は……ずっと高校教師をやっていた。何年も女子生徒は見てきた。
慣れたと言ったらあれなのだが、自分の中では無い、とは思っていた。
「湊音せんせ、私、せんせにすごく抱かれたい」
椅子に座る李仁。座り方も仕草も女性、いや女の子……。
でもダメだ、これに手を出したら、僕は……。
「……うわあああああああっ!!!」
僕の頭の中の線がぷつりと切れて踏み入れてはいけないところに入ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます