異世界最強呪術師 〜どうやら仲間を呪い殺してしまったようです〜

aro

残酷な物語の始まり

第1話 始まりは突然に

その日の朝は夜だった。 俺はだるい体をかろうじて起こし時計を見た。 その時計の針はあまりよろしくない時間を指している。



「嘘だろ……今6時かよ……」



俺が目覚めた時間は午後6時。 大切な一日のほとんどを無駄にしてしまった。 といっても俺はニートなので特に問題などないのだが。



少しの後悔の気持ちをにじませながら俺は身支度をする。



カップラーメンを買いにコンビニへ出かけるのだ。 コンビニは俺の家からそう遠くない。



家を出てコンビニの方角へ歩き始めたその時だった。



「BUOOOOOOON」



何かが俺に迫って来る。 やがて近くに近づいてきて分かった。



俺の何倍もの巨体を持ち人間を超えたスピードを誇る……『トラック』だ。



そしてそのトラックはスピードを落とすことなく俺の方へまっすぐ向かって来る。



やがて俺はトラックに轢かれーー。



「GIAAAAAAA」



そんな悲鳴を残し俺は意識が遠のいていくのだった。





それから次に目を覚ました時。 俺は異世界に来ていた。 今目の前に広がるのは中世ヨーロッパ風の街並み。街は活気があり人で溢れている。



だが、そんな状況を俺は飲み込めないでいた。



「なんだ……ここ……」



ところどころには魔法のようなものを使っている人がいる。 それを見て俺は確信した。



ここは、異世界だ‼︎



あのトラックだ。 俺はさっきのトラックに轢かれ死んでしまった。 そしてよく分からないがここに来てしまったと。



そう確信した瞬間俺の気持ちはアゲアゲだった。



「異世界きたァァァァァ‼︎」



俺は気持ちを抑えきれず叫んだ。 俺の夢みた異世界に来たのだ。 《転生》というやつだろうか。 俺はネット小説をよく読んでいたのですぐ理解できた。



そして、異世界にきてやることといったら、ただ一つに決まっている。



そう《冒険者》だ‼︎



そして冒険者になる為にはおそらく冒険者ギルドに行く必要があるだろう。 そう思い俺は近くにいた老婆に声をかけた。



「すみません‼︎ 冒険者ギルドってどこにありますか?」

「えっとねぇ……ここからまっすぐ進んで右に曲がるとすぐ見えるはずだよ」

「ありがとうございます‼︎」



俺は短く老婆に礼を言うと、教えてくれた通りに歩き始める。



……それから十分もかからず俺は冒険者ギルドの目の前に着いていた。 そしてこの中に入ることで《冒険者》への第一歩を踏み出すのだ‼︎



そして俺は冒険者ギルドの中に入る。 中は俺の想像とさほど違わなかった。どことなく薄暗げな店内には冒険者達がくつろぐ為の酒場のようなものがあり、正面には受付のようなものが五つほど横に並んでいた。



おそらく受付で冒険者登録も出来ると思い俺は五つの受付の内の一つに向かう。



「あの……冒険者登録をしたいのですが」

「はい。 冒険者登録ですね。 それではこちらの紙に個人情報の記入をお願いします」



俺は差し出された紙に自分の個人情報を書いていく。 住所などを聞かれたらどうしようかと思ったが書くことは名前と年齢、特技だけだった。



よく考えたら異世界に住所などあるのだろうか。 とにかく俺の心配は杞憂に終わった。



……やがて全ての項目を書き終え受付のお姉さんに渡す。



「はい。 不備はありませんね。 それでは冒険者カードを作成するので少々お待ちください」



受付のお姉さんはそう言うと奥の作業室のようなところに入って行った。



よし‼︎ ここまでは順調にいっている‼︎ あとはおそらく職業とかを選ぶだけだろう。 なるべく強そうなのがいいのだが……。



そんなことを考えていると受付のお姉さんが冒険者カードとかいうやつを持って戻ってきた。





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