十歳上の初恋の人に十年ぶりに再会したと思ったら同棲することになりました

相田誠

第一章

第0話 プロローグ

 今から十年前。俺は七歳にして初恋をした。


 相手は近所の駄菓子屋の孫娘──神野夏織じんのかおりさんだ。




 俺の家族が住むアパート近くの駄菓子屋『かみの』。


 始めは、駄菓子が欲しくてよく親に連れてってもらっていた。


 親のお手伝いをして、お小遣いをもらって、自分で好きなお菓子を買う……。


 今思えば、買えるものはとても小さいものだったけど、楽しかった。




 だが、ある土曜日、俺の駄菓子屋へ行く目的は変わった。


 いつも通り親にせがんで連れて行ってもらうと、そこにはいつものおばあちゃんはおらず、若い女の人がいた。


 その女の人は長い黒髪を後ろで結びエプロンをしていて、何より綺麗だった。

 駄菓子目的で来たはずの俺は、その女性を見てしばらく固まった。


 それが、俺の初恋だ。今思うと恥ずかしいけど。




 それからは夏織さん──昔は夏織って呼んでたな──に会うために、駄菓子屋には土日に連れてってもらうようになった。


 夏織ちゃんは俺よりも歳が十上で、当時高校に通っていたので学校休みを狙ったなあ。


 平日は夏織ちゃん、いなかったから。


 夏織ちゃんとお話ししたくて、欲しくもない高いところに置いてあるお菓子もよく買った。


 夏織ちゃんは綺麗なだけじゃなくて、優しかった。




 あれから、十年。


 なんで今更初恋のことを思い出してるかって?


 それは、十年経った今、夏織さんと予想外の再会を果たしたからだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る