第24話 思ってたのと違う…

あの事件から1週間たった。


俺たちはこの1週間は冒険者業以外やることがなかった


アイナもCランク程度のモンスターなら倒せるくらい強かった

そのおかげで収入もだいぶ上がり少し余裕ができた。


「主様!ダーフィット様の使いの者が来ましたよ」


「おー、そうか……なら今日でこの宿ともおさらばだな」


「そうですね…私…すごく楽しみですよ!」


アイナさんすっごくいい笑顔をしてらっしゃる

そんなに家が楽しみだったのか


「よし!行くか」


正直俺もワクワクしている

念願の家が手に入るのにワクワクしない人なんていないだろ。


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「お、馬車が止まったな…着いたのか?」


「着いたみたいですよ!早く降りましょうよ!」


手をブンブンと振って子供みたいにはしゃいでらっしゃる


俺たちは馬車を降りて周りを見渡す


周りを見てもでっかい家が一軒建っているだけだった…

さすがにこれじゃないよな…

そうなるとどこにあるんだろう?


「シンさん、こちらですよ」


俺たちはダーフィットさんの使いの人について行く


この豪邸の前に止まったぞ?


「ここが家になります」


「……やっぱりここなのね」


「主様!すごくいい家ですね!」


あー…アイナも元貴族だったな

こういう家に住み慣れてるんだろうな…

俺なんかちょっと後悔してるよ

普通の一軒家でいいって言っとけば良かったな…


「それでは中をご案内しますね」


門をくぐるとそこにはテニスコート1個分くらいの庭が広がっていた


「すげぇな…」


俺はそれ以外言葉が出てこなかった



「主様!早く中に入りましょうよ!」


「あぁ……そうだな」


アイナは元気だな

最近びっくりすることが多すぎて疲れるわ…

どうせ中もすごいんだろうな


使いの人が扉を開けるとピカピカ広い玄関が見える


「玄関でこの広さか…もうどんなものがあっても驚かない自信あるわ…」


次々と家の中を案内されていくにつれて俺は言葉を発しなくなっていった


「主様凄いですね!こんな家が貰えるなんて思っていませんでしたよ!」


「あぁそうだな…俺も思ってなかったよ」


アイナは相変わらず元気だな…

ぴょんぴょん飛び跳ねてるし


「では最後にお風呂にご案内します」


やっと最後か………今なんて言ったんだ?


「今お風呂って言いました?」


「えぇ…」


「お風呂ってあの?」


「?……はい…」


「よっっしゃーーーー!!ヒャッハーーー!」


「「………」」


2人ともそんな目で見ないで…

めっちゃ引かれてるじゃん!

日本人でお風呂嫌いな人なんていないでしょ!何ヶ月もお風呂入ってなかったらはしゃぎたくもなるでしょ


「早くお風呂見に行きましょう!」


「えぇ…」


「主様…今日一番喜んでますね、お風呂お好きなんですか?」


「それはもう毎日のように入ってたからな!」


「毎日ですか!主様って貴族だったんですか?」


「貴族じゃないよ!俺が貴族に見えるか?」


「全然見えないです…」


そうまっすぐ言われると心にダメージが……


「俺の故郷がそうだったんでな…」


「あの~そろそろいいですか?」


「あ、待たせてごめんなさい」


俺が早く行こうって言ったのに待たせちゃったよ…


「ここがお風呂場です」


うん、わかってたよ…普通のお風呂じゃないって…

バスケのコートくらいありそうだな…

広すぎて落ち着かないだろうな…

まぁ入れるだけよしとしようか。


「これで全ての紹介が終わりました」


「こんなに広い家ありがとうございます…本当に良かったんですか?」


「お詫びですから…」


使いの人は案内が終わるとすぐに帰っていった


紹介だけですごく疲れたよ……二人暮しにはデカすぎるし……



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