第3話 「効率化してみる」
ひとまず自分の部屋にガチャを移動しておいた。電気は必要ないみたいで、コンセントがないから持ち運びは楽だ。
「……百万か」
その数字は今までと比べてとてつもなく高い数字だ。さすがに回すのは抵抗がある。
だが、価格が上がるにつれて中身の質が上がるのは確認できた。
「一回だけなら大丈夫だろ」
俺は今持っている有り金を全て銀行から下ろした。
今持っているのは約180万。
安月給だが頑張ったほうだ。
本当は車を買う為に貯金していたが、ガチャで何らかの移動手段が出ればいい話だ。
「取り敢えず百万」
俺は百万の札束を、投入口に差し込んだ。
「カシャン」と、今まで通りの音がして、カプセルが落ちてくる。
金銭感覚がなくなっていく自分が怖くなってきた。
もう止めることができなくなっている。
……パチンコはやったことが無いが、こんな気分なのだろうか。
残りの80万は100円ガチャに回そう。
ただ、それだとカプセルが8000個出てくることになるのか。流石にそれはキツい。
100円玉を8000回入れて、8000回開けて、8000回あの電流を受ける。
「気が遠くなりそうだな……ん?」
虹色だ。
様々な色に光り輝いている。
こんなの初めてだ。
どんなスキルなんだろう?
《……鑑定完了。【操術魔法】人形操術》
あれ。なんか弱そうだな。
移動手段にならないじゃないか。
《人形を作り出し、命令をすることで単純な自動操縦が可能です。大きさを小さくし、それと同時に数も増やすことができます。また、操術者と同期することも可能です》
「何体まで出せるんだ?」
《現在は百体です》
「習うより慣れろ、だな。先ずは使ってみるか」
俺は虹色に光るモヤモヤに触れた。
「「バチッッッ!!」」
体が、痺れるッ!!
ダントツで強い。
強すぎて逆に痛くない。
「……うッッ、なんとか……『人形操縦』!!」
手を向けた方向の床にポコポコと顔のない、親指くらいだろうか。小さな木製の人形が出てきた。
「この80万で、100円ガチャを回し、俺に同期させてくれ!!」
そう命令した途端、その人形たちは1万円札を折り畳み、コイン投入口に入れ始めた。
「そこにお札は入らな……え? 入るの?」
折り畳まれたお札は投入口に簡単に入っていく。そして、人形がレバーを回すと、大量のカプセルが溢れでてきた。
それらのカプセルを器用に開き、中に触れていく。
革命だ。
1分間に大体100個という驚異的なペースだ。
「よし、ステータス確認するか……ウッ!!」
なんだ?
急に気持ちが悪く……
《MPが0になりました。休眠してください》
あぁ、なるほど……
MPを……消費しきったのか。
起きてから……ステータスを確認するとしよう。
俺は眠りについた。
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