水葬

ラムネって水槽みたいですよね。抽象的な夏を表現できるのはラムネだけです。

暑さとか脆さとか青さとか安さとかを集めて固めたら、きっとあのビー玉になるんですよ。

カラカラってなる音は初夏の風なので、私たちを攫ってくれます。


ラムネって水葬みたいですよね。なぜか死にたくなるし溺れてみたくなってしまう。

シーサイドに逃避行したくてたまらなくなる。夏休みが始まる2日前くらいにあの子と二人で終業式をサボって、片道切符と花火だけもって電車に乗りたい。

「終点まで行こうよ」って言って見知らぬ街に行きたい。

財布には小銭だけ残ってて、商店でアイスだけ買って、よるに線香花火をすれば、それは、もう、水葬ですよね。

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