【SS】美少女「いやぁ! 誰か助けてぇ!」 俺「……」ヌッ

文月 景冬

第1話「救出」

俺「……」


美少女「え、あなたは……お、俺くん……? 同じクラスの……」


美少女「どうしてここに……?」


俺「……」


不良「ああん!? なんだてめぇ!? こいつのお友達か!?」


DQN「今いいところなんだから邪魔すんじゃねえよ!」


鉄男「レイプ寸前の現場に現れるなんて運のない奴だ。気の毒だが、見られたからには逃すわけにはいかないな。おっと、おかしな事を考えるんじゃねぇぞ。こっちは3人だぜ」ボキッボキッ


美少女「お、俺くん! 私のことはいいから逃げて! ボコボコにされちゃうよ!」


俺「……」ヒュンッ


鉄男「!? 消えっ……」


ゲシッ


不良「ぐわっ!?」ドサッ



鉄男「不良!?」バッ


俺「……」ヒュンッ


バキッ


DQN「おぼあっ!?」ドサッ


鉄男「DQN!?」バッ


俺「どこを見ている」


鉄男「う、おお!? いつの間に俺の懐に!?」ビクッ


ドゴッ


鉄男「ぐおっ!? ……へ、へへっ。大したことないな。俺はその2人とは違うぞ」


俺「印を刻んだ。30日後、お前の肉体は死ぬ」


鉄男「そんな!」


俺「2人を連れて失せろ」



鉄男「覚えていやがれー!」タッタッタッ


俺「ふん」パッパッ


美少女「あ、ありがとう俺くん……。でも、どうしてここが……?」


俺「たまたま通りがかっただけだ。この廃工場の近くに俺が独りになりたい時佇む石碑があるのだが、そこに向かっていた。すると、お前の声が聞こえたのだ。助けを呼ぶ声が」


美少女「そうだったんだ」


俺「命拾いをしたな。偶然に感謝するといい」


美少女「……ううん、私が感謝したいのは俺くんだよ」


俺「ふん」スッ


ファサッ


俺「ひとまず、それを羽織るといい。露出が趣味というのなら強制はしないがな」


美少女「え、あ……」カアアッ



美少女「……」イソイソ


俺「……」


美少女「……でも、俺くんって強いんだね。学校での俺くんとは別人みたい」プチプチ


俺「それほどでもない」


美少女「3人と喧嘩して勝っちゃうんだもん。それほどだよ」 


俺「褒めても何も出ないぞ」


美少女「……私、恩返しがしたいの」


俺「恩返し?」


美少女「うん、助けてもらったんだから当然でしょ? 何か私にできることない?」


俺「では、その体で慰めてもらおうか」


美少女「え?」



俺「何を驚く」


俺「女のお前にふさわしい、至極真っ当な恩返しだと思うがな」


美少女「ほ、本気……?」


俺「だとしたらどうする?」


美少女「レイプから助けてもらってお礼が体じゃ本末転倒だよ……」


俺「断るのか?」


美少女「……」


美少女「い……」


俺「冗談だ」


美少女「……もうっ! 最低!」カアアッ


俺「すまない。つい、からかいたくなってな」



美少女「俺くんの意地悪! 冗談だなんて、わからないよ! 普段あんまり話したこともないのに!」


俺「くくっ。すまなかったと言っているだろう」


俺「それにしても、今の『い……』の先はなんだったのかな。普通に考えれば『嫌』だろうが、恩返しであることを考えれば『いいよ』だった可能性もあるか。はたまた『yes』『yeah!』……くくっ、考えるだけで面白い」


美少女「あ、あうぅ……」カアアッ


俺「さて、からかいも済んだ。そろそろ帰るとしようか。家まで送ろう」バサッ


美少女「う、うん……。あ、でもお礼は本気だから!」


俺「まあ、楽しみにさせてもらうよ」


俺「ほら、俺に掴まるといい」


美少女「……? どうして?」ピトッ


俺「絶対に離すなよ」ヒュンッ


パッ


美少女「……え、えぇ!? ここ私の家の前!?」ビクッ


美少女「ど、どういうこと俺くん!? 俺くんって一体!?」


美少女「……ってあれ? いない……」キョロキョロ


美少女「不思議な子だなぁ……」

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