人間の技術と自然の技術を考察してみた。
今日は現在の人類の技術レベルと、自然界で作られた技術のレベルについて、
考察してみたいと思います。この例として、まずは現在の人類の技術上で、
最先端を誇る内燃機関…スポーツレースカーのF1のエンジンを考えてみます。
現在のF1のエンジン規定は、V型6気筒、1.6Lのハイブリッドターボエンジンで、
15,000rpm、出力は1,000馬力。このエンジンは約5千個のパーツで構成され、
回転数は毎秒最大250回、エネルギーの変換効率は約50%くらい。
これに対する自然界の対抗馬は、細菌の推進機関である鞭毛。
ある種の細菌の体表についている紐の様なものですが、
これがスクリューの様に回転して、細菌の推進力になります。
この鞭毛は25種類のたんぱく質で構成され、
その回転数は最高で毎秒2,000回、エネルギーの変換効率はほぼ100%。
100年以上の歳月を掛けて人類が開発した最高の内燃機関である
F1のエンジンは、その性能において、細菌の鞭毛に遠く及ばない。
こう考えると、人類の技術って、意外とへぼいのかもしれません。
現在、この細菌の鞭毛の仕組みを解析して、高効率モーターの
研究開発が行われているそうです。
鞭毛を持つ細菌は単細胞生物ですが、その中にはこの鞭毛を使って移動し、
他の細菌を捕食するタイプが存在します。
顕微鏡でこの細菌の動きを見るとわかるのですが、
一般に陸上で捕食活動をしている哺乳類の動きと大差ありません。
彼らには脳も神経組織もありませんが、いったいどの様な機能を使って
この様な捕食活動が出来るのかは、現在の科学でもわかっていません。
更には有性生殖する様な種も存在しています。
自然界には、この様な非常にミクロな世界に驚異的な世界が広がっています。
この様な高度で精緻なシステムが、果たして偶然の結果生まれたり
するでしょうか?多くの科学者は、現在の人類が作った最高精度の技術製品は、
細菌に遠く及ばない、細菌の方が100万倍精緻に出来ている…
と言っているのです。
しかも彼ら細菌は環境の変化に臨機応変に対応し、
問題が発生すれば様々な対抗策を繰り出して生き残ります。
出現当時は絶大な効果を発揮したペニシリンの様な
強力な抗生物質に対しても生き残り、耐えられる様になる。
高温の硫黄の中の様な過酷な環境にですら適応する種も存在します。
何故こんな事が出来るのかも良くわかっていません。
まるで高度な知能を持っているかの様です。
ちなみに人間の体は約60兆個の細胞で構成されていますが、
これらの細胞1個/1個の構造と働きは、
前述した単細胞生物のそれと大差ありません。
それらが綿密に連携しながら役割分担を行い、
ひとつの共同体として生命活動を行っています。
細胞同士の意思疎通は何種類かの化学物質を放出したり、受け取ったりして
行われるのですが、その効率の素晴らしさは芸術的なまでに見事で、
これを観察した研究者は、その姿に神の存在を感じるとか…。
細菌と同様に、不測の事態には臨機応変に対応する柔軟さも持ち合わせています。
様々な環境変化、次から次へと新たに現れる感染症から人類が生き延びているのは、
ミクロレベルでの彼らの対応力と連携の力による所が大半なのです。
細胞単体よりも遥かに複雑な人類は、高い知能を持っている事になっていますが、
その連携や意思疎通の非効率さ、愚昧さは目に余ります。
細胞がこれ程高度な連携が出来る理由は、彼らに意識や知能がない、
単純なロボットだからと考える人もいると思いますが、
その単純な細胞が集まって出来ているのが脳なのです。
単純なものが沢山集まれば、そこに知能や意識が現れるのかと言えば、
そうではありません。人間に何故意識があるのかは、
現代科学最大のミステリーなのです。
ある科学者は、ひとつの細胞はひとつの宇宙として存在すると言うし、
脳神経科学者の中には、脳はラジオの様な受信機に過ぎず、
意識の本体は別の場所にあると考える人もいます。
人間はもっと自分の内面を、科学的にも精神的にも見直す必要があるのでしょう。
それを知れば知る程、自分の愚かさを悟り、より高い次元に進めるのかも。
1日の中に僅かでも良いから時間を見つけて瞑想してみる。
自分の体を構成する細胞達の気持ちや息遣いを感じてみる。
それって、実はとても大切な事なのかもしれない。
神の存在を感じる事が出来るかもしれない。
そんな風に私は想うのでした。
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