アフガニスタンについて想う…。
アフガニスタンのカブール国際空港で自爆テロが起こり、
米兵13名が死亡、死者だけで60名を超え、負傷者は数百人に達する被害が
出たようです。ISが犯行声明を出している様ですが、アメリカが支援して来た
アフガニスタン政府を、最近見限った事が事の発端の様ですね。
アフガニスタンを含め、この様に一国の中で紛争が継続し、
一向に平和にならない国は、世界にはまだまだ存在しています。
何故この様な事になるのか、一般の日本人にはピンと来ない、
特に女性にはその様な人が多いのではないかと思います。
なので、今日はその原因と解決策を私なりに考えてみたいと思います。
抗争の継続が収まらない国家には共通点があります。
それは端的に言えば、国民国家意識の欠如です。
【私はXX国の国民である】という意識をきちんと持てる国家というのは、
実はそんなに多くないのですね。
国民意識のない国には、大抵部族同士や宗教の派閥、
あるいは日本で言うヤクザの様な組織がいくつも存在し、
それぞれの利害関係が交錯する事で、
年中抗争が発生して収まらないという事態になる訳です。
【XX部族】【XX教XX派】【XX組】への帰属意識はあっても、
国に対する帰属意識はありません。
そもそも共通の文化や価値観がないし、ルールなんかもありませんから、
力こそ全て、そこに大国が介入し、特定の団体を援助して、
支配権や利権を獲得しようとする事で、余計に泥沼になる訳です。
紛争を続ける為には武器や弾薬、食料、燃料、通信機器とか色々な物資が
必要になりますが、アフガニスタンでは作れないものが大半です。
つまり、誰かがそれを売りつけたり、援助しているからこそ戦い続けられる訳で、
これらを生業とする、表に出ない死の商人達の手先になっていると言えるのかも。
彼らには崇高な理念なんかないし、宗教指導者や善人ぶった人が行って、
彼らを説得しようとしても、多分、馬の耳に念仏でしょう。
彼らがやっているのは、ヤクザの縄張り争いと何も変わりません。
国際協調というのが実際には上辺だけのものである…。
武器やら弾薬やら燃料やらを彼らは一体どの様に調達しているのか?
そのルートの遮断すら出来ないのが現実です。
こうした物流や代金の支払い…武器弾薬を大量に動かす様な集団は
目立ちますし、それに協力している国や集団に対して制裁をする等、
やり方はいくらでもありそうですが、それが出来ないのは何故なのでしょうね?
今回アメリカが手を引く判断をしたのは賢明と言えるでしょう。
アフガニスタンという国は、国家の体を成していない。
国家を代表する存在や組織、治安を維持する為の部隊もない。
統治の為の法の執行も出来ていない。
その様な物が自然に出来るまで、放置しておくしかない。
その為には心を鬼にして、一切の武器、弾薬、燃料等、
戦いに必要な物資の供給を遮断する。
しまいにはこん棒で殴り合いを始めるかもしれませんが、
そこまでやらせて、彼ら自身の手で選んだ代表者を選出しない限り、
本質的な解決は出来ないのです。
他国が介入しても恨みを買うだけであり、彼ら自身がやる所までやって、
自身で悟るしかありません。所詮、アフガン一国で生きる事など出来ない、
他者と共に協調するしかないという事を…。
国家とは、同じ文化、価値観と言語を持つ人々による、
共同安全保障体制であると言えます。
外に向かっては軍隊、内に向かっては警察。
それによって、その国を構成する人々の生命と安全と財産を保証する。
これが最低限。産業の育成、教育や医療等の社会保障はその次に来ます。
それらが出来れば、その国民に、次第に国民としての意識が芽生えます。
更に公平を保つ為に、きちんとした法を作り、それに則って法治を行う。
ここまで書くとわかると思いますが、この法治というのも中々に難しい。
国民国家としてはある程度の所までいっているけれど、
法治国家として成熟しているとは言い難い…。
そういう国も世界中に沢山あります。
この場合、大抵権力者によって、法律が恣意的に運用されていますね。
ヨーロッパの歴史上の階級は、長い間、貴族とそれ以外という区分けであり、
軍は全て王や貴族に雇われた傭兵でした。
傭兵に国民を守るという意識はありませんから、略奪なんかもし放題。
税も裁判も王や貴族が恣意的に決定し、それに耐えかねた民衆が反乱を起こし、
王や貴族ではない、民衆側に立った政治を打ち立てようとする。
それが成功したのがフランス革命であり、
この時初めてヨーロッパに国民国家が成立します。
国民意識に目覚めたフランス軍は強く、傭兵主体の列強を圧倒…。
この流れでその後、多くの国民国家が生まれていったのです。
日本の様な島国ですら、江戸時代まではXX藩という意識がせいぜいで、
日本という国家意識が国民の中に芽生えるのは、明治時代になってからです。
要するに、国民国家というものは生まれてまだ数世紀の歴史しかありません。
これは例えが悪いかも知れませんが、子供同士の喧嘩に大人が介入しても、
根本的な解決にはならないのと似ているかも知れません。
彼らはまだ国家として大人ではなく、子供である。
国の代表すら自分達で決める事が出来ない状況に、
他国は介入すべきではないし、させるべきでもない。
本当に何を成す必要があるのか?彼ら自身が悟らなくては駄目なのです。
子供が社会に出る年齢なった時、親があまりにもあれこれ面倒を見すぎると、
結果として子供の自立を妨げる事になる…これと同じだと思います。
人の成長の為には、時に突き放す事も必要。これは国家においても
同じであると言えるでしょう。
明治維新の前後、フランスは江戸幕府に肩入れし、イギリスは薩摩/長州に
肩入れしました。両国とも要請があれば自国の軍隊を派遣する用意がある事を
伝えたそうですが、幕府、薩摩/長州側は、揃って断ったそうです。
内戦に介入して他国を乗っとるのは、当時のヨーロッパ諸国の常套手段。
いえ、今日でも、それは世界各地で行われていると見るべきでしょう。
「このゆっさ(戦争)は、ただただ日本国の問題にて、
それに他国の力を借りる面皮ば、おいどんは持ち合わせておりもはん」
この時、西郷隆盛はこう語ったそうですが、
この江戸末期の日本の指導者層の深い叡智に、私達は感謝しなくてはなりません。
私は心からそう想うのです…。
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