資本主義=詐欺論について考察する。

アメリカのある統計機関によると、

2020年末の全世界の借金総額は、約6景円だそうです。

60,000兆円というとほうもない額ですが、

ではこんな多額の借金が何故可能なのか…。


共産系の思想家は、これは一種の詐欺によるのものだ!

と言っていますし、そういう考え方は確かにあります。

ちなみにこの詐欺を日本語では信用創造と言います。

この信用創造が何故詐欺と言われるのか、今日はそれについて説明し、

同時に世界経済の危うさについて解説したいと思います。


まず、信用創造の仕組みに関して、簡単な例で説明しましょう。

とあるAさんが詐欺銀行に100万円預金したとします。

すると詐欺銀行はAさんから預かった100万円の内、

10万円だけを残して、残り90万円を別のBさんに貸し出します。

この時残す10万円を預金準備金と言います。

※ここでは分かり易い様に、預金準備率は10%としています


さて、Bさんは貸し出された90万円を詐欺銀行の口座に入れます。

すると詐欺銀行は、Bさんの預金の内、9万円だけ残して、

残り81万円を別のCさんに貸し出します。

これを延々と繰り返すと、元々は100万円の預金しかないのに、

その何倍ものお金を貸し出す事が出来ます。


ちなみに今の日本の銀行の預金準備率は0.8%なので、

預金準備金が100憶円あれば、最大その125倍…

およそ1兆2,500億円まで貸し出しが出来る事になります。

でも銀行にある実際のお金は100憶円です。

差額のお金は言ってみればないも同然、

空気を貸してそれから金利を取っている様なものなので、

これは詐欺だろう…という理屈になる訳です。

銀行が儲かる基本システムなのですね。


無論これはみんなが預金を一斉に引き出す事は絶対にない…という前提で

成立っています。当たり前ですが、みんなが一斉に預金の引き出しに走れば、

銀行は倒産してしまいます。企業経営している人ならわかると思いますが、

例えば銀行口座に5,000万円の預金があったとして、

ある日突然その内の1,000万円を現金で引き出そうとすると、銀行に断られます。

引き出しの理由とか色々聞かれた挙句、良くて翌日、悪いと

更に何日かかかってようやく現金を引き出せるのが普通です。

つまり、銀行自体には皆さんが思っている程の現金はないし、

多額の現金を引き出されるのは、銀行に取って極めて都合の悪い事なのです。


さてこの信用創造は、その言葉通り信用で成り立っています。

それは端的に言えば、貸し出したお金が必ず返って来るという信用です。

この信用創造の一番怖ろしい所は、どこかで貸金の返済が滞ると、

この信用の連鎖が一斉に破綻するという事です。

何しろ大元の銀行には実際にはわずかなお金しかないので、

大口の貸出先の返済が滞れば、たちまち危機に陥ってしまうのです。


もしこうなると倒産を防ぐ為に、銀行は一斉に貸し出しの回収に走ります。

ですが無理な回収をすると、資金繰りに窮した貸し出し先が

次から次へと連鎖破綻し、これが全体に波及していく事になります。

いわゆるバブルの崩壊というのは、こういう形で起こるのですね。


さて話を戻すと、現在の世界の借金の総額は約6景円…。

今までの説明でわかる通り、この大半は信用創造で作られた借金です。

6景円のお金が貸し出されてはいますが、

それらのお金は例えば預金通帳に印刷された文字とか、

ネットバンクのデジタルデータに過ぎない…。

大半のお金は実際には存在していないのですね。


この幻想から覚めた人々が一斉に預金の引き出しに走ったら、

世界経済は瞬時に崩壊します。

世界は存在しないものに価値を見い出して回っている…。

これが資本主義の本質であり、

故に共産思想は資本主義を詐欺だと言うのです。


ちなみに6景円は世界の年間GDPの8倍に相当するそうです。

この莫大な借入金がきちんと返済され続けるのか?

ここまで膨らむと一時期倒産するのではないかと噂されていたドイツ銀行等、

大手が1社潰れた瞬間、悲劇が起こる事可能性が大きくなります。

ドイツ銀行の借入総額がいくらなのか、実態は不明ですが、

一説には数百兆円と言われています。

国家が何としても銀行の倒産を防ごうとするのは、

この信用創造の収縮の怖ろしさを良く知っているからなのですね。


6景円まで膨らんだ、巨大な信用創造の風船がいつまで持つのか?

それは神のみぞ知る事なのでしょうが、

この借金風船は、お金を刷れば刷る程膨らんでいくのです。

これが炸裂した瞬間、地下に眠るマルクスは大笑いするのではないでしょうか?


なんて、今日は資本主義イコール詐欺論に関してのお話なのでした…。

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