日本について考察してみた。

今回は日本について考えてみたいと思います。

みなさんも毎日食べているお米。

昨今消費量が減って来ているとは言え、日本の主食です。

弥生時代から今日に至るまで、2,000年以上の長きに渡り、

日本人はお米を主食として生きて来ました。

肉が主食であるアメリカとの大きな違いです。


実は日本という国は、お米の栽培に関しては気候的に北限に近く、

栽培に関しては、それ程適していないという事をみなさん御存知でしょうか?

それが証拠に、日本の殆どの地域では、お米は1年に1回しか収穫出来ません

(一部二毛作が行える高知県の様な例外もありますが…)。

長年に渡る品種改良で、冷害に強いイネの品種等も出来た為、

現在では北海道でもお米は作られていますが、これは歴史的には

つい最近の事です。これがフィリピンとかタイなら、年中いつでも

お米を作れます。元々亜熱帯の植物なのですから、当然と言えば当然です。


この主食であるお米の栽培の環境が、実は日本人の考え方や文化に

大きく影響しているのではないかと私は思っています。

日本でお米を収穫する為には、地域により変動はありますが、

多くは4月中に苗代を行い、5月初旬までには田植えを完了させる必要があります。

その後は水量の管理、土の管理、害虫や雑草の駆除等、こまめな世話を行い、

8月後半から9月中旬までには稲刈りを完了させます。

非常に厳密なタイムスケジュールの管理が必要で、

このタイムスケジュールの管理を怠ると収穫が出来ず、

冬には飢え死にしてしまいます。またこれらの作業は、皆で協力し、

一斉に行う必要もあります。なぜなら特定の作業を行う時期が

厳密に決まっているからです。

村単位であれば、村民全員の強い結束がないと作業がはかどりません。

読んで字のごとく、働かざる者食うべからず、

怠け者は生きて行けない厳しい世界だったのですね。


さて日本人は、この厳密なタイムスケジュールの管理を、それこそ2,000年以上の

長きに渡って続けてきました。そしてこの伝統は今でもしっかり根付いています。


ひとつ例を挙げてみましょう。

スペインのバルセロナオリンピックや、ブラジルのリオデジャネイロの

オリンピックでは、オリンピック用の建造物が、オリンピックが終わってから

完成したという笑えないケースが多発したそうです。

しかしこれらの工事を請け負った業者に言わせると、

【我々は怠けた訳ではない。きちんと朝の9時から夕方5時まで仕事をしている】

【それで出来なかったのだからしょうがない】。

とすまして答えるそうです。悪いのは我々ではない…

スケジュールの立て方が悪いのだ…。


大型の公共工事では資材の調達、搬入、施工、検査等、

膨大な数のスケジュール管理が必要ですが、どれかひとつでも

大きな躓きが出来ると完成しません。

これは私の想像ですが、日本人だったら何日徹夜してでも必死に作業し、

納期に間に合わせる様な気がします。

いえ、それ以前にオリンピックの半年くらい前には

全て完成させているのではないでしょうか?

イランやイラクなどのアラブ諸国では更に物凄い事態になるそうで、

彼らの考えによると、物事が善意で始められた場合、

それが完成するかどうかは、【全てアラーのおぼしめし…】。

病院を建てようと建設工事を始めたとして、それがいつ完成するか、

全てアラーのおぼしめしでは、話にならないだろう…

いえいえ、それは日本人の発想ですってば…。


日本の海外での様々な公共工事プロジェクトクトの多くは、

その品質だけではなく、【指定納期をきっちり守る】事を高く評価されています。

2,000年以上、スケジュールに追われる稲作を行って来た日本人は、

特定の期日を設定し、そこから逆算して物事を完成させる事においては、

まさに世界1なのです。

台風や地震で壊れた道路や建物の復旧に関しても、世界が目を見張る程の

スピードで修復してしまう…。

世界で一番正確な電車の運行、駅のホームの停止指定線に

きっちり止める几帳面さ、これらも同じ根っこから来ているのでしょう。


このお米作り、稲作文化のものとして考えられる要素を上げると、

まず重要なのは、他人と同じ事を、同じ時期に一致協力してやる事。

必要な約束事を作り、約束をきちんと守る事。真面目に手を抜かない事。

農作業というものは、ひとりやふたり飛びぬけた人がいるよりも、

普通に真面目に仕事をする人が大勢いた方が有利になります。

また毎年同じ場所で同じ事を繰り返すので、臨機応変さが重要な

狩猟民族や、牧畜民族とはおのずと発想も異なります。

和をもって尊しとなす…これは極めて日本的な発想と

言えるのではないでしょうか?

聖徳太子のこの言葉は、正に日本を象徴的に表していると言えるでしょう。


地理的に地震/台風大国であった日本は、数多く起きる自然災害に対し、

常に一致協力して乗り越える事も必要でした。そしてこれらの

自然災害は、独特の無常観を生み出し、生きとし生ける物の全て、

石などの自然物にさえ神を見出す、独特の宗教観を作るに至りました。

諸行無常という考え方は、万物を神や人間が管理するという、

キリスト教的価値観の対極に位置するものであり、

天照大神の直系の子孫が、2680年(今年は皇紀2680年です)の

時を越えて、尚君臨しています。


結束する為には公平さが必要です。

弱い者でも疎外せず、小さな力であっても戦力にする必要があります。

世界有数の整った医療保険制度等、社会保障が非常に充実しているのは、

日本が常日頃、これらに努力してきた証であるとも言えます。

先進国の中では貧富の差が比較的少なく、安定した社会の日本では、

出る釘は打たれるなどどいうことわざが現す通り、突出した才能の芽を摘む

要素がなきにしもあらずですが、それでも私は日本を愛しています。


世界で最も成功した社会主義国…それは日本である。

世界的にそういう意見がある事を知る日本人は多くありません。

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