史上最高の戦闘機を想う…。
バンド仲間に究極の模型マニアが居て、
彼が作った戦闘機を見た事があります。
マーキングは全て塗装仕上げ、リベット痕を云々とか、
私の様な素人には理解出来ない内容の説明が多々ありましたが、
素直に感じたのは、【美しいなぁ~】という事。
徹底的に洗練されたものは美しくなるという点、
芸術的な要素と戦闘機のデザインというのは、どこか
相通ずるものがある様に思いました。
さて、長い人類の歴史の中で、飛行機が現れたのは最近の事。
20世紀初頭にライト兄弟が最初に空を飛んだ訳ですが、
それから飛行機は急速に発展し、第二次世界大戦が始まる頃には、
空だけではなく、陸も海も支配する様になっていました。
戦闘機の援護のない、言い換えれば制空権のない戦いは、
まったく成り立たない様な有様になっていたのです。
それで各国ともその科学技術の粋をこらして戦闘機を開発した訳ですが、
その歴史史上、最高の戦闘機はどの様な飛行機なのか、
皆さんは御存知でしょうか?
ここで史上最高の戦闘機の定義を決めておきます。
なぜなら単純なスペック、すなわち性能のみで優劣を決めたのなら、
最新の物が最優秀になるのが当たり前なので、
面白くも何ともないですよね。
軍事兵器の最も重要な要素は、
必要な時に必要な数が存在し、
それが面倒な改良や改造を経る事なく、
長期に渡って敵に大きな打撃を与える続ける事だと思います。
なので客観的データでその結論を導くとすれば、
世界で一番多くの航空機を撃墜した戦闘機が、
最高であるという事になります。
20世紀の2度の大戦や戦後の様々な局地戦等には、
多くの多彩な種類の戦闘機が参加しているのですが、
世界で一番多くの航空機を撃墜した戦闘機は、
実はぶっちぎりの1位で、他をまったく寄せ付けません。
その戦闘機の名前は…
メッサーシュミットBf109です。
この戦闘機の初飛行は1935年5月28日、昭和10年です。
日本では96式艦上戦闘機や97式戦闘機の
設計をしている頃になります。
ゼロ戦なんかは影も形もありません。
メッサーシュミットBf109は1936年から量産が開始され、
1937年中頃にはスペインの内戦で実戦デビュー。
1938年には最初の主力タイプE型の量産が始まり、
1939年9月の第二次大戦開始の頃には、
文字通りドイツの主力戦闘機として、大量に配備されていました。
当時ゼロ戦はまだ正式化すらされていませんね。
1941年初頭には空力学的な洗練とエンジンを強化した
メッサーシュミットBf109F(フリッツ)型が実戦配備され始めます。
このタイプは最高速度が時速600キロを超え、
当時としては最も高速な戦闘機です。
ゼロ戦はこの頃ようやく量産が軌道にのり始めるのですが、
初期のゼロ戦の最高速度は520キロ程度です。
さて、メッサーシュミットBf109はその後も改良と量産が続けられ、
1943年(昭和18年)にはG型の本格的投入が始まり、
1944年末には最終型であるK型が実戦に投入されます。
これらはF型のエンジンと武装を強化したものなので、
外見的にはほとんど変化がありません。
しかしG型の後期タイプであるG-14は最高速度時速680キロ、
K型に至っては720キロに達している為、
1944頃最も強力な戦闘機と言われた、アメリカ陸軍の
P‐51マスタングの最高速度にも引けをとらず、互角に戦う事が可能でした。
生産開始の頃のメッサーシュミットBf109のエンジン出力は650馬力。
一番最後のG型やK型では1800馬力(ブーストにより短時間なら2000馬力)。
かつて日本のT-1ジェット戦闘機を設計された
内藤子生さんによる名機の定義は、
原型機の設計を大きく変更せず、原型機の2倍の馬力のエンジンを
搭載出来る事…。だったそうです。
その定義を大きく上回る、3倍近い高馬力のエンジンを積んで、
1939年9月の第二次世界大戦開戦から1945年5月のドイツの降伏まで、
主力戦闘機として戦い続けられた事に、この戦闘機の真価があります。
長期に渡って活躍しただけにその生産数は膨大なもので、
各タイプ合計の生産数は3万機を越えます。
色々な統計があるので、正確な数字は不明ですが、
最低でも3万機、実際には33,000機から35,000機の
間の生産数であった様で、単独の戦闘機の生産数としては
世界1です。ゼロ戦と隼の生産数を全て足して、それを2倍した
数以上が生産されたと言えば、その凄さがわかるでしょうか?
ドイツ降伏ののちもスイスでは1949年まで実戦配備されており、
スペインでは1950年代前半まで実戦配備されていました。
そして初期の中東戦争でも実戦に参加しています。
そうして撃墜した航空機の数も推定ですが、
最低の見積でも10万機以上の航空機を撃墜しています。
これも単独の戦闘機としてはダントツの世界1で、
他を全く寄せ付けない圧倒的な数です。
ドイツの戦闘機パイロットには、一人で352機を撃墜した
エーリッヒ・ハルトマンや、1回の出撃で12機を撃墜した
ハンス・ヨアヒム・マルセイユの様な、お化けみたいな人が
大勢いますが、彼らの多くはメッサーシュミットBf109を
好んで乗機としていました。
大戦終了直前の1945年の段階であっても、
【パイロットの腕さえ確かなら、あらゆる戦闘機を撃墜可能】
と評価されたメッサーシュミットBf109。
航空機の進化が急速であったこの時代、殆どの戦闘機は
実戦配備から3年もすると旧式化し、一線配備から退くのが
普通でした。事実、メッサーシュミットBf109より数年遅れて
実戦配備された日本の96式艦戦や97式戦闘機は、1942年頃には
完全に旧式化し、一線配備から外れていきました。
3年どころか10年近く、スイスやスペインでは初飛行から
15年近く経っても一線配備され、初期の中東戦争でも戦い続けた
メッサーシュミットBf109。
まさしく世界史上最高の戦闘機だったのです。
え、なんでこんなに戦闘機に詳しいのかって?
それはこの前読んだBL本の主人公がエーリッヒ・ハルトマン
だったからというのは内緒です…。
本人も素晴らしい才能と美形の持ち主ですが、
乗っていた戦闘機も素晴らしいものだったのですね。
調べてみて、びっくりでした。
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