ともかく書く
かく。なんとなくでいい。思いつくこと全部。記憶全部。指は同じ速度で動かす。宮殿の中を歩いている。姫様は今日も退屈そうな顔をしている。(なんにも面白いことがない。なにか、キラキラしたものが……欲しいのに)。
千年の時を超えて今を迎えた。不老不死の役得は、長い歴史を眼に刻みつけられることだ。幾度幾千も死にたいと願ってきたが、遂に時を超えた。目的を達した。言葉で語られる悠久など一瞬でしかない。
不確定要素があるから現実は面白い。何が起こるかわからないからやりたくなるんだ。パラドックスが人間の性なんだろう。苦しみたいけど楽したい。我慢したいけど発散したい。
カンテラがゆらゆらと揺れて、歩いている人影が見えた。帯剣しているため、どうやら侍のようだ。道中は辻切りが横行しているというし、用心するのに越したことはない。なるべく距離をとってすれ違った。
光がまばゆく輝いている。絶望的な気分だというのに、世界は明るかった。目的もなく歩いていた。日焼け止めも塗っていない素肌を陽光がじりじりと焼いていく。魂の適切な形というものを考えていた。俺の形は醜く歪んでいることだろう。人を陥れるということの意味をよくわかっていなかった。たとえ憎んでいる相手だとしても、罪悪感が胸を苛む。俺は罪悪感を感じる普通の人間なのだ。こんなことに耐えきれるわけがない。
俺という人間について語るほかない。語っているものが好きなんだから。舞城王太郎とか、舞城王太郎とか。誰かが喋っている体にしたほうが文章は読みやすいし書きやすいんだから荒っぽい一人称をかつようすべきだろ?
中高生の男子が悪羅悪羅しくなるのは思春期のせいって言われるけど、だいたい性欲のせいだ。まぁ、大人になったって問題になるのの大半は性欲と人間関係のもみくちゃにされた諸々だろ?
中学生のころは俺も性欲がみなぎっていてしかたなかった。女子と話す時にきょどるのも性欲のせいで判断が鈍るからだ。全部性欲が悪くておまえは悪くないから安心していい。路上に落ちたエロ本をこの時期は探していた。少しでもエロい何かを求めていた。深夜にやっていたテレビ番組やエロティックな映画とか。インターネットは登場していたがマイパソコンは大学生までお預けだった。性欲が行動の原動力だった。それがポルノで満たされるようになってからおかしくなった。俺の中の行動力はネットの中だけで完結し、必要なのは大量のポルノを見ることだけになった。
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