ガイアに愛をもらった男

かんじがしろ

漂流艦

第1話 戦いの心得

 広大なドームに保護された緑地帯敷地は、

土埃に隠れてしまっている。


 敵からの爆裂砲弾は、

敵味方関係なく肉弾戦相対場へ落下し続けている。


 空を切り落として来る蒸気音と爆裂が要約止んで、

耳障りなトカゲ野郎の甲高い叫びが聞こえだした。


 味方からの砲撃による敵砲台場を沈黙させたのか、

もしくは攻め落としたかわからないが、

鹿島はトカゲ野郎だけに集中できるの事で勝利を確信した。


 肉弾戦場での爆裂はなくなったが、

土埃の為に五メートル先はまだ視界不良のままである。


 硝煙の匂いの中、鹿島とトーマスは、

互いの安否を確認し合うように時々目を合わせながら、

互いに特徴あるチェーンソー剣を振り回しながら戦っている。


 トーマスは大きな図体と剛力を自慢するかのように、

「ジケンリュウ」と叫びながら、

刃渡り百二十センチの大太刀を振り回している。


 鹿島は、

訓練中での「ジケンリュウ」との叫びにいつもずっこけていたが、

何度注意してもトーマスは叫ぶのを修正しなかった。


 鹿島とトーマスはまだ活気ある動きであるが、

次々と力尽きた友軍兵士が倒れていくなかで、

敵であるトカゲモドキはさらに増えていく。


 二人のどちらかが倒れると、

残りの一人も確実に倒れてしまう状態なので、

鹿島はずっこけている余裕などない。


 五百人の大隊で守備していたコスモス星の鉱山防衛はバリバリの前線で、

二人は、同じ小隊の仲間であった。


 鹿島とトーマスは、互いに助け合って生き残りをかけて闘っている。


 二人が鉱山防衛に赴任した頃は、小競り合いの戦いであったが、

三隻のトカゲモドキの上陸艦が降下して来た。


 防空隊は一隻を撃墜したが二隻を降下着陸させてしまったので、

トカゲモドキはまだ二千匹は残っていると思われた。


しかしながら、トカゲモドキの一次突撃と二次突撃を、

レールガン砲の無酸素超熱弾丸とレーザー砲で防衛し続けたかいがあって、

防衛ラインで何とか食い止める事が出来た。


砲撃隊は切り込み陸戦隊に負担させることなく、

鉱山防衛前線から二千匹のトカゲモドキを退却させた。


 トカゲモドキの体表面は、固く厚い上に熱にも強い。


 レーザー砲なら即死させる事は出来るが、

レーザー銃で致命傷を与えるのには、

どうしても一点部分に2~3秒間の点射が必要になる。


 動き回るトカゲモドキと接近した状態で相対する時間が一秒以上長くなればなるほど、

陸戦隊の危険性は比例して非常に高くなる為に、

一撃必殺の剣による肉弾戦が最も有効な攻撃と防衛方法である。


 レーザー銃より剣が最適な戦闘方法である為に、

陸戦隊は素早い動きで特攻突撃していき、

接近戦闘で戦わなければならない。


 故に、日々の鍛錬と訓練は重要であり死活問題である。


 剣の特徴は、刃の部分が人工ダイヤモンドであり、

磁力線応用なので、光速に近いチェーンソーで切れないものはない。


 鹿島は、トカゲモドキの表皮と同じ厚さ3cmの鉄板であれば、

幅1mは切断出来るが、

しかし、トーマスの剣は蛮刀系の大太刀である為なのか幅1.5mまでをも切断できた。


 二次突撃以降暫く戦闘は中断したが、皆警戒を解くことはなかった。


 何故か十五日後位経ったころ、

トカゲモドキの二隻の上陸艦が大気園外に去っていった。


その後、隊に妙な不意息が漂った。

士官達から酒の匂いがするとのうわさである。

そんな噂を、鹿島とトーマスはあり得無い事だと否定していた。


 だがその内に、歩哨以外の隊員から酒の匂いがしだし、

いつの間にか鹿島陸戦曹長とトーマス陸士長は、

夜の歩哨の担当専門になっていた。


 トカゲモドキは、

半年間飲まず食わずとも土の中で冬眠できるので、

「俺も同じ能力があれば、半年間敵が油断するまで待つ。」


 そんな話をトーマスと夜の歩哨しながら、鹿島は言い放った。


 トーマスは、

「突撃だけのトカゲモドキに、そんな待つなんて出来るのかな?」

「トカゲモドキが、、、撤退する方がおかしい。」

「なるほどですね。」


 この鉱山の石はエネルギーに変換できるので、

千也二千の無駄死にでも、トカゲモドキは欲しいであろうと、

鹿島は後の特定展開、状況を引き出してしまった。


 俗に言うフラグを立ててしまった。


 鹿島の推測は当たってしまった。


 軍宿舎の中に酒の匂いが漂い出した頃、

朝日が昇る二時間前に、

撤退したと思っていたトカゲモドキの三次総突撃が始まった。


 桜陸戦師団リショーゴン連隊の汚点となる、

凄惨な戦いが始まったのである。


 超熱弾丸は敵陣に間隔なく落下攻撃しているが、

防衛ラインは突破されてしまったようで、

陸戦隊とトカゲモドキは肉弾戦となり対峙した。


 トカゲモドキの武器は、

手の甲に刃渡り四十センチ位の出刃包丁みたいな爪が生えている厄介な爪先である。


おまけに、厄介な爪先はタングステン並に固く丈夫なために、

切断することはできない。


 陸戦隊の数はトカゲモドキ等相手にかなりの数は劣るが、

優越防護アーマー装備と武器を持つ陸戦隊は、

特攻肉弾戦で負けるはずがないと突進していった。


 肉弾戦が始まると、あろう事のない事態を鹿島は見てしまった。


 初年兵ならいざ知らず、

戦歴長い上官がトカゲモドキの足で背中を踏まれていた。


 剣と出刃包丁との戦いで、

トカゲモドキの出刃包丁を潜り抜ければ勝てるわけだが、

その前に踏まれているのは異常である。


 鹿島は救護しようにも、酒の匂う他の兵の動きも悪いようで、

鹿島の周りのトカゲモドキは一向減ることがなく、

援護に向かう余裕は無かった。


 鹿島の連続剣術では、一太刀で絶息させる事は出来ないが、

トカゲモドキの攻撃を交わし柔らかい足関節を切り、

動きを止めるために筋を切断し続けした後に、

無防備になった首や胸を切断していった。


 その繰り返しを続けるだけの状態なので、

余すところの余裕はないが、

目の前のトカゲモドキは更に増える一方で、

トカゲモドキを絶息させる為の首を落とす余裕すらもなくなっていた。


 トカゲモドキは、腕や足を切り落としても三十三分三十三秒後には、新たに手足や胴体の傷であるならば再生できるので、

確実に首を落とすか心臓部分を潰さなければ成らないが、

鹿島は多勢の中でなかなかその余裕がなかった。


 鹿島は、

周りの同僚が次々と倒されていく中で、

かなりの数を倒していくが、

首を落とす事も心臓部分を潰す事もなかなか難しいと感じながら、

後方から再生したトカゲモドキからの攻撃の不安がこみ上げてきた。


 脇にいたはずのトーマスの変な発音の声は時々するが、

いつの間にか姿が見えなくなっていた。


 鹿島の視界からトーマスの姿を確認できなくなった事で、

さらに不安は増していった。


 だが、次々と周りから同僚が倒れていく中で、

トカゲモドキは、減りはしないが増えてもいなかった。


 いや?後ろからの攻撃がないのだから減っていた。


 鹿島はこの乱戦の中で、常に後ろに誰かがいることに気が付いたが、後詰に残存小隊がまだいたのかとの思いがよぎったが、

後ろを振り返えって確認する余裕などなかった。


 鹿島は正面からトカゲモドキの左腕爪鎌刃が、

振り下ろされてくるのを日本刀型チェーンソー剣で受け止めると、

左腕爪鎌刃の落下を斜めに流しながら、

そのまま右腕爪鎌刃で払ってきた鎌刃爪をも受け止めた。


 トカゲモドキは両腕の爪刃で鹿島を抑え込みに掛かったが、

鹿島は右足を軸にして受け流すと、

背中をトカゲモドキの腹に押し付けるように回転してトカゲモドキの左足を切断した。


 更に低い体制そのままの勢いで、

突進してくる後続のトカゲモドキの片足をも切断した。


 トカゲモドキの首を落とす暇もなく、

目の前に次々と現れるトカゲモドキの爪刃を受ける、足を斬る、爪刃を受け流す、腕を斬る、足を斬るの連続を繰り返しながらの戦闘は続いていく。 


 長い戦闘後、

鹿島の前に立っているトカゲモドキは何とか居なくなり、

後ろには戦闘不能状態にした、

まだ首が残っているはずの絶息してないトカゲモドキを探したが、

後ろのトカゲモドキの首は何故か全て落とされていた。


 鹿島は喘ぐ胸を鎮めようと一息ついて周りを見回すと、

トーマスが二匹のトカゲモドキと戦っているのに気が付いた。


 トーマスが生きていたと知った喜びは、

気力回復特効薬のように鹿島の全身の疲れを回復させた。


 トーマスは背中を取られまいと左右に動き回るだけで、

体力の限界なのか攻撃できないでいる。


 一匹相手なら、装備の良い陸戦隊の方が勝てる。


 トーマスの剣筋は、

相対敵の接触部すべてを一撃で破壊できるはずだが、

流石に体力が消耗していると二匹だと少し厄介なのだろう。


 トカゲモドキはトーマスに夢中らしく、

背後の鹿島には気付いていない様子である。


 鹿島はトカゲモドキの後ろに回り込み首を落とすと、

トーマスも太刀でもう一匹のトカゲモドキの首を、

渾身の残り力一杯に豪快な一撃で落とすとへたり込んだ。


「俺の後ろに残っていたはずの、

トカゲモドキの首を落としてくれたのは、陸士長か?」

「楽させて、頂きました。」


「何の。お陰で復活されずに助かりました。」

「私は、軍曹殿の剣裁きの速さに感心しながら、

何とか付いて行くだけでした。

軍曹殿は士官学校卒業し、初赴任したばかりなのに、

初陣とは思えない強さなので、付いて行けば、生き残れると感じたので、後ろに隠れさせていただきました。」

と、トーマスはへたり込んだまま満面笑顔で敬礼をした。


「有難う!後詰してもらい、俺が助けられた。」

と、言って、鹿島はトーマスの手を握り締めて引き起こした。

 

 二人は戦場を見渡すと、

三~四人のグループが五~六箇所でまだ戦っていたので、

二人は心身ともに疲れてはいたが、

苦戦中のグループに共に応援に向かった。


 残っていた全てのトカゲモドキの首を落として前線基地に戻ると、生存者は二十九名と大隊長のみであった。


 リショーゴン連隊生存者二十九名と戦死者は二階級特進になり、

鹿島は一等陸尉に特進して、

そのまま異例中の異例である小隊の隊長になった。


 トーマスもそのまま鹿島小隊陸戦曹長となったのである。


 リショーゴン大隊長のその後は、

一階級懲罰降下した後に退役したとの噂である。


 

「鹿島小隊長ニ、敬礼!各自名乗レ!」

と、十一名の最左翼にいるトーマス陸曹長は言って、

鹿島に満面の笑顔を向けた。


「ビリー.ホワイト三等陸曹です。」

「ヤン.リン一陸士長です。」

「ポール.ジャイアント陸士補です。」

「シーラー.カンス一等陸士です。」

と、百六十センチ未満の丸身体女性が敬礼した。


「シーラー.カンス?重量挙げチャンピオンの、シーラー.カンスですか?」

と、鹿島は笑顔で誰何した。

「三階級重量挙げチャンピオンのシーラー.カンス陸士です。」


「三階級とは、六十五キロだったかな?」

「女性の体重を聞くのは、セクハラです!」

「あ!失礼した。」

と言って、鹿島は慌てて頭を下げた。


「ハバロフスク.キキロ二等陸士です。」

「ヤス. タゴール二等陸士です。」

「ダウン.カイラ二等陸士です。」

「タゴール.ジョージ二等陸士です。」

「ホルヘ.ゴンザレス三等陸士です。」

「ススイ.リステリ三等陸士です。」


「ホルヘ陸士とススイ陸士は、初年兵か?」

「はい。初年兵です。」

と二人はハモって返事を返した。


「二人共、敵を倒そうと思わなくても良い。

生き延びることだけを考えろ。」

「戦うなと?」

と、ホルヘ陸士は怪訝な顔をした。


「優先順位だ。身の危険を感じたら、

常に俺かトーマス陸戦曹長の影に逃げ込め。

逃げるのは、恥ではない。

生き延びることを知らない事が、恥だ。

皆もそうだ!この小隊の規定は、生き延びる事が最優先だ!」

と、鹿島は厳しい顔で全員を見渡した。


 鹿島の訓示を聞いて、トーマスは当然だと了解した顔だが、

他の十名は鹿島の訓示を理解できないのか、

わが身を落とそうとも、

敵を一匹でも多く倒すことが使命だと刷り込まれた心得を否定されたことで、

かなりの混乱状態の様子である。


「これより、訓練に入る。外周三十分間全力疾走!」

と、トーマスは叫んだ。


 外周三十分間全力疾走を終えた十二人は、

そのまま対敵仮想マシーンでの訓練を終えると、

十五分間の昼食に入った。


 昼食後の十人は、

鹿島とトーマスからの体術と剣術指南訓練を受けた。


 鹿島とトーマスが指南できる数は二人だけであったので、

残りの八人はその間、外周全力疾走をさせられていた。


 外周疾走から帰ってきた先頭二名は、

そのまま先の二名に代わり鹿島とトーマスからの訓練を受けた。


 次の外周疾走者が帰ってくるのが遅い分、

全体責任として体術と剣術指南訓練は過酷になっていた。


 体術、剣筋指南訓練は、鹿島とトーマスの指導で行われたが、

トーマスの剣筋の取得は体格的に難しいとの理由で、

剣筋指南役は鹿島が担当して、

体術訓練担当はトーマスの領域となった。


 訓練と連携戦術は、五日間、早朝から就眠時間前まで続いた。


 編成入隊六日目の休みに入ると、

下級兵士十人共休みを取って洗濯やら買物等の間にゆっくり休んで過ごしていたが、

鹿島とトーマスは休むことなく外周全力疾走と訓練に明け暮れていた。


 三度目の休みの日が来ると、

戦歴長い寡黙三人称と呼ばれている、

陸曹と陸士長に陸士補達三人とも、

鹿島とトーマス等と共に訓練に参加しだした。


 鹿島隊は、今日も朝早くから訓練に勤しんでいた。


「隊長の剣筋は、まるで舞踊だな。」

とシーラー陸士がほほ笑むと、

「そんな優雅な感じはしない。連続跳躍運動でしょう。」

と新兵のホルヘは肩で息をしながら応えた。


「入隊訓練より、かなりハードだ。」

と、ススイ陸士新兵もへたり込んだまま愚痴っていると、

寡黙三人衆と呼ばれている一角のポール陸士補が、


「生き延びたければ、訓練課題を全てクリアーしろ。」

と無表情で呟いて通り過ぎた。


「いま、、、ポール陸士補が、声掛けした?」

「した。」

「しました。」

「いつも、必要最低限の、返事しかしない人なのに?」

と言って、訓練の輪に入っていくポール陸士補の背中を眺めながら、シーラー陸士は考え込んだ。


 鹿島隊は編成一月後に、

マゼラン星雲にある惑星前線への移動命令が来た。


 鹿島隊は過酷な訓練の合間に塹壕堀をしている途中で、

一斉に防護アーマーヘルメット内に「敵襲」との声が響いた。


 地響きと共に、

足長二メートルワニに乗ったトカゲモドキが現れた。


後方からは、友軍戦車も進んできている。


「塹壕に退避!」

と鹿島の叫びと共に、

身震いを誘う高度からの高音の蒸気音が聞こえて来た。


 高音の蒸気音は、身近に爆裂弾丸の飛来を告げているのである。


 鹿島隊の一メートル先視界をも遮る爆裂音が連続に響いた。


 友軍戦車の間をすり抜けてくる足長ワニ三頭が、

鹿島隊の塹壕に向かってくるのを確認した鹿島は、

「迎え撃て!」

と言って、塹壕から飛び出すと抜刀した。


 鹿島の後ろからは、新兵ホルヘ陸士とシーラー陸士長が付いて来た。


 トーマスの後ろからは、

新兵ススイ三等陸士と、ハバロフスク一等陸士に、

ヤス一等陸士とダウン二等陸士が続いた。


 三人の陸曹の後ろから追うのは、タゴール二等陸士である。


 この編成は、隊から離れてしまう抜け駆けを許さない為と、

訓練においての連携戦術応用優先を、

前線に着いたときに打ち合わせ済みであった。


 鹿島とシーラー陸士長が先頭の足長ワニに向かって行くと、

足長ワニの大きく開けた口の牙は鹿島に向いた。


「シーラー右!」と鹿島が叫ぶと、

 足長ワニの口が鹿島に向いて迫るのを確認したシーラーは、

鹿島の脇を通り抜けて足長ワニを操るトカゲモドキに向かった。


 鹿島は、

足長ワニの開いた口の下あごを残して頭を両断に切り落とした。


 鹿島はシーラーが右側から追い抜いたのを確認すると、

反対側の足長ワニの前脚を切断した。


更にそのまま走り抜けて後ろ足をも切断した。


 足長ワニは鹿島の方に倒れ込んだが、

騎乗していたトカゲモドキはシーラーの前に飛び降りた。


 シーラーはトカゲモドキの両腕の爪刃を弾き飛ばしてはいるが、

足長ワニを操るトカゲモドキは戦闘力上級種である為か、

なかなか懐には入り込めないでいた。


 鹿島は背後からトカゲモドキの首を落とすのは容易いと思ったが、トカゲモドキの片腕だけを切り落として、

「ホルヘ!トカゲモドキの足を切断しろ!」

と叫んだと同時に、既にシーラーは片腕刃爪を弾き飛ばしていて、

トカゲモドキの首に刃を振り落としていた。


 ホルヘは、既にトカゲモドキの身体は崩れ落ちかかっていたが、

そのまま刃でトカゲモドキの足に切りかかった。

トカゲモドキの身体がホルヘを包み込むように倒れるのを見た鹿島は、トカゲモドキの身体に渾身の蹴りを入れた。


「残念だったな、ホルヘ。切断できていな~いぞ~。」

と、シーラーはトカゲモドキ脚に刃先を突き刺して、

ホルヘににやけ顔を向けた。


 ホルヘは武者震いしながら、

パコパコと魚口するだけで声を出せないでいた。


 トーマス達も陸曹達も、

足長ワニを操るトカゲモドキとの戦闘はすでに戦い終えていた。


 歩兵トカゲモドキとの混戦状態の中での戦闘においては、鹿島隊の連携は何とか機能し出している。


 腕に自信のない初年兵は、

武者震いしながらも安全な距離から威嚇囮役になってくれるので、

ベテラン組は難なくトカゲモドキの首を容易く落としていた。


 残存敵の掃討作戦は完了したようで、

旅団偵察隊を残して鹿島隊はキャンプ地へ引き返した。


 今回のマゼラン星雲敵惑星掃討作戦においては、

百五十名余りの犠牲者はほとんどが新兵であった。


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