雨蛙
沼郎
雨蛙
ポツポツと雨が降り出す前に一斉に我々は声を上げる。
激しい雨に撃たれて激しく鳴き、喜ぶ蛙は草叢からアスファルトへ姿を現す。人の通りもない真夜中の農道で感激に舞い、歌は雨音に勝るほど出した。
その日は運が悪く速度を出して一つの車が歌う蛙どもをぷちぷちと潰して去っていく。だが、我々を想う必要はない。ただ歓びを渇望していただけなのだ。この歓喜の雨を歌い飛び跳ね喜ばずにどうして雨蛙が務められるというのだろうか。
運悪くもう一台車が遠くの方から蛙を轢き殺しながら走ってくるのが窺える。輪線上に立つ我輩や同胞は死を迎える。けれど、我々は白痴にも歌い踊り続ける。与えられた雨蛙の名のもとに。
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