忌み人の村で
強くなるために必要なことを続けて一週間。
1つの変化が起こった。
村の人達。まあ忌み人のみんなが好意的になってくれた。
今までは、挨拶をしても無愛想に返されるだけだったのに、
今日は村の中を走っている途中、お婆さんがアルルの実をくれたり、ちっちゃな子に応援されたり。
やっと、ここの人達と心を通わせることが出来たような気がして、その日は強くなる以外の目的も混じった雑念だらけの訓練になった。
結果...
「お前、強くなりたいんじゃなかったのか?」
爺さんに睨まれ、明日から何も考えれないくらいキツくしてやると言われた。
で、翌日。
「爺さん、その子...誰だ?」
そう、爺さんは今日、謎の美少女を連れてきた。
黒髪を腰まで伸ばした大人しそうな子だ。
「ん?こやつか?こやつはチヅルじゃよ。」
「え?いや、チヅルさんってもっと覇気ありませんでした?」
女の子相手に失礼だとは思うがはっきりと言う。
と、突然チヅルさんの方から冷気が漂ってきた。
ゆっくりと顔をそちらに向けると虚ろな目に半笑いの顔をしたチヅルさんがいて...。
「ほれ、起きんか。」
ペチペチと頬を叩かれている。
「はっ!じ、爺さん。」
「おう、起きたか。さっさと訓練始めるぞ。」
「あ、うん。爺さん、俺、さっきまで寝てた?」
さっきまでの記憶が妙にあやふやだ。何か謎の美少女と会った気がするんだけど。
「お、おう、寝とったぞ。」
爺さんは妙に焦りながら出ていった。
「まあ、いいか。今からすることには関係ないだろうし。」
寝巻きからようやく乾いた自分の服へと着替え、家を出る。
家を出てそこにいたのは
「初めましてだな。チヅルという。敬称はつけなくていい。」
どこかで会ったような気がする美少女だった。
「あ、初めまして、アデルです。」
気にかかるが、ただの自分の勘違いかもしれない...。
訓練の後にしよう。
「じゃあ、俺はこれから訓練があるんで...?
あの、チヅル離してくれないか?ただでさえ今日は遅れたんだこれ以上遅れたらどんな地獄見せられるかわかったもんじゃな...」
「私も訓練を受けるのだ。一緒に行くぞ。」
「...い?」
え?どゆこと?あの爺さん俺以外にも教えてたの?
あ、チヅルって...あの時爺さんと訓練してた人か。
「ほら、行くぞ。私もお前のせいで訓練の時間を減らされるのは嫌だからな。」
「あ、ああ。」
チヅルに手を引かれ、いつもの集合場所へと行く。
「よし、来たな。今日はのんびりいかねえからな。」
「「はい!」」
「よし、いい返事だ。じゃあ、アデルだったっけか。村の中走ってこい。チヅルはいつもの場所だ。アデルがいつものコースを
いつも通り走って俺らの場所を見つけるまで一昨日の続きだ。」
「はい」「え、それって俺めっちゃ走ることになるんじゃ...」
「グダグダ言ってねえで始めるぞ。いつもより時間がねえんだから。」
「ぁ、ぁぁ、はぁ。どこだよ...。」
俺は今、村の中を全力で1時間走り、村の外へ出た所だ。
で、でたは良いものの俺にはどこにいるのかさっぱりわからない。
闇雲に走り回ってもいいのだが、体力の無駄だし、
なにより、迷子の原因になるだろうし。
ここは、堅実な手をとるか。
堅実な手それは、高い所から見下ろす。幸いここには高い木が所狭しと生えている。
その中の1つに手をかけ登っていく。そして、頂上まで登って、
森全体を見下ろす。
見つけた。あの二人が戦っている。ここからそう遠くない距離だ。
「よし、行くか...?」
降りようとした時、それは視界に収まった。
森の中にある川の下流から、白一色の重装備と
色とりどりの鎧や武器がやってくるのが。
まさか...
森が、赤に染められようとしていた。
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