サーヴァント

 呪われてしまった。

 森の散歩中、たまたま出会った女性と話していたはずなのに気づくと城のベッドの上だった。

「何だ……これは……」

 自分の体はありえない程やせ細り少し力を加えられただけで折れてしまいそうな状態になっていた。

「フフフ、お前は新入りのメイドのエネルギーと共にある」

 森での女性の声だ。

「オイッ! どういう事だ! オイッ! 答えろ!」

「どうされました?」

 寝室の中に入ってきたのは女性が指しているはずの新入りのメイドだった。

 私の体を見ると顔をどんどんと青ざめさせた。

「どうなされたんですか?」

「いや、分からないんだ。そもそも私はどうやって帰って来たんだ?」

「いつものように」

「そうか」

 記憶には帰ってくる時のものは無かった。

 自力で帰ってくることはできたということだろうか。

「ロメ、何か体に異変はないか?」

「私ですか? そうですね。些細なことなら」

「何でもいい。言ってみてくれ」

 それでもメイドは迷ったようにしてから口を開いた。

「はい。実はどれだけ食べても満たされず、どれだけ動いても疲れないのです。それが何か?」

「いやなんでもない。ありがとう」

「はい。失礼しました」

 話は終わったはずだった。

 確証はない。それにこの状況を説明する方法は他にもあるはずだ。

 しかし。

 ロメがノブに手をかけたとき、

「ちょっと聞いてくれないか?」

「何でしょうか?」

 おかしな話と笑うかもしれないだが、彼女も巻き込んでしまっているのなら話さないほうが悪というものだろう。

「実はな」

 私はわかっている限りの現状についてのことをロメに話した。

 ロメは真剣に話を聞いてくれた。

 話し終えると納得した様に頷いてから沈黙が流れた。

「どうかしたのか?」

「いえ、麗しいティウス様の見た目の変化が私のせいだったなんて、そう考えただけで……」

 ロメはそこで言葉を詰まらせた。

 やはり話すべきではなかったか、いや、この問題を解決しなければならないことに変わりはない。

「そのことは気にしなくていい。麗しいなどと考えたことがなかったが、これからは私も自らの見た目を大切にせねばな」

「はい! それはもう。私まだお昼食べてないんです。なので一時的でも戻ってもらうために食べて来ますね」

「あっ」

 メイドは行ってしまった。

「麗しい、か」

 ロメのためにもまずは森の女を探さなくては。

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