天使と人間

奈津

第1話

”天使”


この世界でのこの存在の価値は計り知れないほど高かった。

一般の人間の10の5乗程度の力を有していた。


そして天使となるものには条件があった。


”少女であること”


天使になったものは、20歳という日を迎えた瞬間爆散する。

このエネルギーはすざましいもので、

中には一つの街を滅ぼすほどの力だった。


国家組織も軍隊を引き連れて戦ったが、

全く歯が立たなかった。


そうして、天使降臨から50年ほどたった。

世界中のエネルギーとなる資源の大半は枯渇し、

植物を育てられる土壌も地球上でおよそ0.0000001%まで減少していた。

この危機的状況を救う発明をした研究者がいた。

そいつは、

”天使を意図的に爆発させ、エネルギーを得る。”

というものを開発した。

政府は手放しで喜んだ。

”彼女たちを殺す大義名分だと”

そして、天使たちは、

”必ず、人類を滅ぼす”

天使たちは自身の味方を増やすため、人間の少女を大量に連れ去った。

その数は報告されている人数だけでおよそ1億人とも言われた。

そして人類は、総力をあげて天使を捕まえていった。

そして、人類至上主義教会ができてからは、

天使は”生贄”として捉えられ、

天使のもとである少女たちも捕らえられて、

天使に強制的にさせ、殺していった。

国の中には、天使を隷属化させる技術を持ったものもいた。

そして他国との戦闘に使い回され、

最後には、爆発物として放り投げられた。

そうして、人類も天使も互いに数を減らしていった。


”協力することなく。”




天使を作り出す技術を与えた神は言う。


”愚かなるものにこの力は無用だった。”


神は地球内のエネルギーの暴走を抑えるために天使を生み出す力を与えたが、

暴走ではなく、力を減衰させてしまっていた。

破滅はもう近い。

地球と言う星は生命体の育ちやすい環境だった。

もちろん他の世界線にも生命は存在するが、

ここまで利口な者たちはいなかった。

利口であるがゆえに、滅びが待っていた。

神であるものはその死を見届けるつもりはなかった。


”あの時までは”


人類人口およそ3000

天使人口およそ4000

地球の約99.9975%は滅び、

唯一滅びなかったのは、天使の領域だけだった。

人類およそ3000人のうち25000人は宇宙からの帰還者だった。

彼らの乗ったロケットは大気圏に突入した直後急速に劣化し消滅した。

天使はまだ幼かったが、彼らに気づき保護することに成功した。

彼らは天使たちと平和協定を結んだ。

そして天使たちは彼らに天使の目的を伝えることとなった。



10年後

彼らは天使の目的を果たすときが来た。

それは、

”20歳になったときに起こる天使の爆発を止めることである”

天使の爆発が有害であるのはなぜか、天使たちは彼らに、

”信仰心の高いものの周りには影響を及ぼさない。

天使の爆発は神からの裁きともなり、いやしともなる。

そのいやしはこの地球に再び力を与えるだろうと。”

そして天使たちは同時にこんな事も言った。

”天使であるものは20の爆発の日に想い人と結ばれているならば、

爆発は、癒やしの光となり、天使は少女に戻るのだと。”

それを実行し、彼ら人類と、天使たちは明るい未来へと歩み始めた。




30年後

天使であった私は、天使でなくなった今もまだ20の姿のままである。

彼らの中のひとりである私の夫ケビンは、

人天教会の第三位神父ともいわれていた。

この世界の約25%の領域を取り戻した私達は、

科学理論を捨て、魔法理論へと生活を移していた。

魔法理論は神の力だと言っていたが、

私には、この星のリソースを利用して行われていると考えている。

私達の祈りや、作物などの捧げものは光となり、地球のリソースに戻る。

天使の爆発の小さなもののようだった。

地球の大半が死滅した今、生物たちは存在しなくなったと考えていたが、

普通に存在していた。

でも生物たちは魔法理論を会得することはなかった。


これから先、この星を滅ぼす魔法理論ができたらどうなるのか、

私にはわからなかった。

でも、このような争いはきっと起こらないであろう。

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天使と人間 奈津 @ufo0403

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