第20話 死闘!ホワイトでーす
【葉月ver】
放課後、あたしは近所のショッピングモールへやって来た。食材は昨日買い溜めしたから当分大丈夫なんだけど、今日は服を見に来たんだよね。。
そろそろ優月に可愛い服とかパジャマとか着せたいもんね。今はあたしや母さんのお古着せてるから。あっ、そーだ、下着も買わないとね。あの子、どんなのが合うだろ?サイズもよくわかんないし、とりあえず今日は見るだけなんだ。でもそれがすっごくわくわくする。あれ着せたいこれ着せたいで想像力が膨らむんだよね。今度の休みには二人して来よう。ううっ、姉妹でお買物なんてなんて素敵なんだろう。思わずうっとりしちゃうよぉ。
あ、でもアレが付いて来るかぁ。うわぁ、あの姿思い出しただけで、テンションだだ下がりだわ。夢からいきなり現実に引き戻された気分。アレ、なんとか留守番で置いていけないかな?
とか思ってたら、フードコートでお茶してる二人組が目に入った。
なんかそこだけ明るさが違ってるし、周りの人たちも遠目でザワザワしてる。ってかめちゃくちゃ目立ってるんだけど。セーラー服の美少女と赤ジャージの美少女。
つーかあれ、我が妹の優月じゃん?
じゃあ、連れは噂の図書室美女の小野さんって娘か。うひゃあ、マジ綺麗じゃん?タイプは全然違うけど、ウチの優月に負けてないよ。つか、アイツはだっさい赤ジャージだしね。うう、可哀そう、早くちゃんとした格好させてあげたい。赤ジャージでもあの美少女と並んで違和感ないのがすごいけど。
あたしは向こうから見えない位置に陣取って、しばらく観察する事にした。
なんかストーカーみたいだけど。
うーん、何話してんだろ?嬉しそーにニコニコ笑ったり、時々真剣な顔で考え込んだりしてるのが、めっちゃ気になる。
あたしが小野さんと仲良くしなさいって言ったの実行してるのかな?それとも自発的に?女の優月が女の小野さんに惹かれるのは、あたし的には嬉しい。なぜならそれって百合のはしりみたいなもんだもん。まあアイツは男の部分もまだあるからさ、女の子に惹かれるのはむしろ自然なんだけど、このまま女の子化が進行したら、あるいは男に興味が移っちゃう可能性もあるもんね。
なんとかこのまま女の子だけに興味持ってもらわないと。でも小野さんとあんまり仲良くなり過ぎるのも妬けるなぁ。その辺はとっても複雑なんだよね。
何話してんのか、聞きたいけどこれ以上近づくの無理だし。うーん、モヤモヤする。ん?そーだ!優月になってるって事は、どっかにあのち○こも隠れてるハズだよね?……どーせまた胸の谷間に収まってそーだけど。
それにここって確かフリーWi-Fiだったよね。って事は、今アイツにコッソリ連絡取れるんじゃない?
アタシは早速スマホを取り出し、メッセージアプリを立ち上げた。
うーん、相変わらず品の無いωアイコン(チ○コアイコン)がうざいけど、メッセージを入れてみる。
葉〔ねえ、このメッセージ届いてる?〕
ほい、送信と
意外とすぐ返事がきた。
ω〔おや葉月さん、お疲れですヽ(^o^)丿どうしました?〕
うわー、ホントに普通にメッセージきたよ。これ生身でやってると思うとなんか引くなぁ。まったく、あのチ○コの身体どーなってんだろ?
葉〔あんたら今どこ?〕
見てるけどさ。
ω〔駅前のショッピングモールのフードコートです(゚∀゚)〕
葉〔なんでそんなとこにいんのよ?〕
ω〔小野さんとお茶してます(*ノェノ)キャー〕
うん、わりとちゃんと報告してくるな、このスパイチ○コ。感心感心。
葉〔へえ、どんな話ししてるの?〕
ω〔女子更衣室に忍び込む方法
考えてます(;゚∀゚)〕
はあ?どーゆーこと?
葉〔女子更衣室?なんでよ?〕
ω〔体操服を盗むとかなんとか
(*´艸`*)〕
葉〔な⁉犯罪じゃん?とめなさいよアンタ!〕
いやいやまさかね。あの優月(水希)が体操服フェチとかあり得ないから。
小野さんの趣味?いやそれこそまさかだわ。
ここから見る限り、時折やけに真剣なのが気になるんだけど。
つか、あのチ○コ返信してこないな?気になるトコで止めやがって。
ああっモヤモヤするっ
【優月ver】
なんとなく小野さんとお茶する事になっちゃった。まあ、ショッピングモールのフードコートだけどね。でも小野さんと歩いてるとなんか周りからチラチラ見られるんだよね。小野さんが美少女ってのもあるけど、セーラー服と赤ジャージの女の子ってのが目立つのかな?
『もともと優月ちゃん1人で目立ちまくってますからね。小野さんもセットだとオーラが倍増しちゃうんですよ』
ポコさんが胸元からそう教えてくれた。うーん、あんまり目立つのは困るなあ。水希ならともかく、優月のときは身分とかあやふやだもの。
そんな感じでとりあえずフードコートに落ち着いた。
「あの容疑者だけどさ、やっぱり登山とかの経験者なんだろうね」
今の話題はどうしても事件の事になるなあ。でもまだあくまで推理の段階だから、さすがに犯人とは呼べないよね。
「うん、だと思う。あの短い時間に行動終えてるもの。よっぽど慣れてないとね」
と、小野さんが言う。今回、容疑者の行動を推理したのは全部小野さんだ。
「でもさあ、体操服なんて取ってどーすんのかなぁ?」
僕にはそんな趣味ないし、全くわからないよ。
「やっぱり匂い嗅いだりとかするんじゃない?」
「それで興奮するのかあ。変態だね」
いや、男になったり女になったりする僕が言う事じゃないけどさ?
だから小野さんもそんな『お前が言うな』って顔で見ないで欲しい。
「君は今女の子だけど、どっちに対して性的興味あるの?」
小野さんがめちゃくちゃ突っ込んだ質問してきた。また何かスイッチ入ったかな?
「流石に男に興味ないよ?性格は水希と変わってないもん」
「あのイケメン副会長見ていいなぁって思ったりしない?」
「湯河さん?ないよーっ」
イケメンだとは思うけどさ。
「じゃあ、女の子に興味あるんだ?」
小野さんが興味津々って感じで聞いてくる。
「そう言われるとそこまでじゃないんだけど。僕まだ子供だってよく言われるし」
これは大体本音かな?時折、小野さんにドキッとさせられるけど、それは黙っとこ。言ったらもっと暴走しそうだもん。
「君、どっちの時も中性的だもんね。じゃあさ、植原会長が君の前でブラジャー落としたらどうする?あの人、かなり美人さんだよね?」
ええっ、それ聞く?僕がキタローくんにした質問と一緒じゃん?
「うーん、やっぱり、『これ落としましたよ』って言うだけかなぁ?」
「ぷっ、それじゃモヒカン先輩と一緒だよ〜w。ガン見したり匂い嗅いだりスリスリしたりしないの?」
そんな綺麗な顔して何言ってんのかな、この人。
「する訳ないじゃん?見るのは見ても、それで興奮しないって」
あれ?ホントにキタローくんと一緒だなぁ。僕もキタローくんレベルって事?
「じゃあさ、君の前で私がパンツ落としたらどうする?」
ふぇっ、なんかヤバい方に舵切ってきたよ。
また妖しい笑顔し出したし、完全にスイッチ入ってるな、これ。
僕の目、思いっきりガン見してるし。ちょっと待ってよー。
【葉月ver】
くっそーあのチ○コ、全然返信して来ないじゃん?
生身のチ○コに既読スルーなんて機能ないでしょうが?って、もともと生身のチ○コがWi-Fiと繋がる事自体おかしいけどさ?
こうやって遠目で見てる間にも、小野さんが優月の事見つめて、優月が焦ってる感じがわかるんだけど。いったい何話ししてんのよ?あーっ、気になるっ!もっかい送ってやれ。
葉[ちょっと無視すんなよ?後でへし折るわよ?]
そう送ったらやっと返信きたよ、全く。
ω[ああすいません、思わず集中してました。へし折らないでください
。・゚・(ノД`)・゚・。]
葉[それで今は何話してるの?]
ω[小野さんが優月ちゃんの前でパンツ脱ぐとか
( ゚∀゚)・∵. グハッ!!]
……はぁ?なんでそんな話しになってんのよっ⁉仲良くしろって言ったけど、いきなり仲良くしすぎでしょ⁉つか、あんた等まだ早いわよ‼
もう我慢出来ないし。
あたしは慌てて二人の所へ乱入しに行ったのだった。
【カスミver】
「教授と連絡ついたよ〜、今から来いって」
未だにトップレスのモモ姉さんがそう言います。
「教授って例の中二病の方ですか?」
「中二病って言うなよ。マッドサイエンティストだよ」
「マッドサイエンティストって言ってる時点で充分中二病だと思いますけど。それでどんな人なんです?」
そう私が聞くと、モモ姉さんはふふんと意味ありげに笑いました。
「会ったら驚くよ?見た目は幼女、頭脳はババア、その名は……」
「……何です?」
「……何だけっけ?」
「いや、聞き返さないでください。とてつもなく不安になります」
「いつも教授って呼んでたからなあ。ドイツと日本のハーフらしいんだけどさ、見た目12〜3歳で、本当は30半ばなんだよね」
「なんかある筋の人に猛烈に支持されそーですね」
いかにもあざといです。多分口調も上からくる感じなのでしょう、わかります。ツンデレ属性ってヤツでしょう。
『おっぱいはなさそーだな?』
ビーチくん総統がそう呟きます。ずっと疑問に思ってましたけどこの人、いえこのおっぱいって男性人格なのでしょうか?そもそも性別あるんでしょうか?ひたすら謎です。まあどっちでもいいですけど。
「幼児体型だからね。おっぱいはないよ」
「おっぱいなくても需要はあるんですよねぇ。性癖って不思議ですねぇ」
「いや、その性癖は危ないヤツだろ?まあ見た目に反して歳くってるから問題ないけどさ」
「合法ロリですね」
「合法ハーブみたいに言うなよ。どっちにしても、手出したら危ないわ。マッドだからな」
『サンダーバードか?』
「桑○の息子じゃねーわ」
◇
とりあえず乾いた服を着て、やっとマッパから現代人に戻りました。
モモ姉さんもちゃんと服着てます。ってこんな当たり前の事でちょっと感動してしまった自分が恐ろしいです。この人達と付き合って、この先どこまで堕ちていくんでしょうか?
「んじゃ、行こうか」
「えっ、今からって、そんなに近いんですか?」
「うーん、まあ近いっちゃあ、近いよ?」
そんなに近場にマッドサイエンティストが潜んでいるとはびっくりです。
正直、富士山の麓とか、その辺に研究所を構えてるイメージでしたから。
モモ姉さんと部屋を出て階段降りてアパート1階に来ると、モモ姉さんは
101号室のピンポンを押しました。
「……」
わたしが唖然としていると、部屋の中から鍵を解除する音が聞こえてきました。
モモ姉さんは躊躇なくドアを開きます。が、中には誰もいませんでした。
あまり生活感のない、ガラーンとした部屋にモモ姉さんは入っていきます。
ほぼ家具らしき物が無かったですが、キッチンに場違いなほど大きな冷蔵庫が置いてあります。
モモ姉さんがおもむろにその冷蔵庫のドアを開けると、そこには冷蔵室は無く、地下へと続く階段が現れました。
「あの、もしかしてこの下が研究所だったりします?」
恐る恐るモモ姉さんに尋ねると
「そーだよ?」
と、能天気な答えが返ってきました。
…………この場合、なんと言ってツッコめばいいのでしょうか?
誰か教えてほしいです。
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