33日目 おんは

ある仕事終わり。


〈阿倍先生〉津島先生!久しぶりにどうですか?


〈津島先生〉おお!いいね!けど、今どこも空いてないでしょ?


〈阿倍先生〉それが、あそこの串カツ屋が実は22時まであいてるんです


〈津島先生〉あそこのあいてるの?では!久しぶりに行きますか?


〈阿倍先生〉ですね!


ふたりは、17時に仕事を終わらせ、そのあいている串カツ屋「おんは」という店に向かった。元々はふたりともこの串カツ屋が好きでよく行っていたが、コルナの影響で最近は行かなくなってしまった。ふたりは久しぶりにと、マスクをして、用心して行くことにした。


ふたりは店を入ってすぐの右の机に座る。


〈阿倍先生〉よいしょ、本当に久しぶりですね


〈津島先生〉そうですね!


と、ふたりは対面式に座る。これも対策だ。


〈阿倍先生〉最近どうですか?


〈津島先生〉んー、厳しいですね


〈阿倍先生〉ですよね?給料も下がったし授業のない日は学校こないし


〈津島先生〉そうなんですね!ぼくも下がりました


〈阿倍先生〉どうして、こうなってしまったのだろうか?


〈津島先生〉そうですねー、やっと幸せって思い始めたところに、コルナで給料もさがり、彼女とも二週間に一回しか会えなくなったし、電話も時間が会わないからできないし、どうしたもんかね?


〈阿倍先生〉それは、辛いですね


〈津島先生〉辛いです。けど、今まであの人がいたからがんばってこれた


津島先生は少し昔の話を話す。


〈津島先生〉僕は元々臆病者なんです。それこそ今は数学は好きで明るい性格になれましたが、昔はもっと暗くて、口数少なくて、数学嫌いだったんです。

人より細いし、運動も苦手で勉強も嫌いでした。

大学に文系で進学した私はある日、絶望してやる気のないおれはある女性と出会ったんです。

その人といると、なぜか自分が好きになれた。

おれはその人と勉強してると、数学教師をやってみないか?って言ってきたんです。おれは数学嫌いだけど、その人は光る原石だと思ったんだな。おれはもう一度頑張るために文系から数学教師の免許が取れる経営情報学科に編入して、勉強して免許を取ることができたんです。もう一度頑張ることを教えてくれた今の彼女には感謝してます


〈阿倍先生〉素晴らしい話ですね


〈津島先生〉阿倍先生は好きな人いますか?


〈阿倍先生〉え?あ、あの


〈津島先生〉国分先生ですか?


〈阿倍先生〉なぜ、それを?


〈津島先生〉見てればわかりますよ。ふつう海外に行きましょうとか、ごはん食べに行きましょうとか仲の良い人が好きな人ぐらいですよ


〈阿倍先生〉そこまで知ってたんですね。なんか一目惚れなんです。国分先生を見ると悩んでいる自分がバカらしくなってくる。元気かでてくるんです


〈津島先生〉なるほど。応援します


〈阿倍先生〉ありがとうございます!


と、ふたりは盛り上がり22時まで飲んだ。


明日は土曜日だ。少しよっても誰も怒る人はいない。


ふたりはそもそも、少し心を落ち着かせたかったのかもしれない。


ー 33 おんは ー おわり


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