第600話
「まぁ寿命だったんだろうな」
「そうでしたか〜...だからコウさんは元気が無かったんですね〜...」
あれからというもの自身の父親である人物が死んだということについてライラ、話したわけなのだが、コウの話を聞き終えると元気がない理由を知り、少し気まずそうな空気が流れた。
しかしライラに自身の抱えていた悲しかった出来事を話し終えると、なんだかすっきりしたような気がし、少しだけ心にゆとりが作られていくような気もした。
「じゃあ元気を出さないとですね~!とりあえず夕食を食べに行きましょう〜!」
「夕食?あぁ...もうそんな時間なのか」
「今日の支払いは任せて下さい〜!これがありますから~」
そしてライラは少し気まずい部屋の空気を変えるかのように新たな話題を振ってきた。
確かに部屋についている明かりの魔道具で気付かなかったが、先程まで茜色の空が広がる夕方だったというのにいつの間にか空は星空が散りばめられた空へ変化しており、夕食には丁度良い時間帯となっていたりする。
またライラから夕食の支払いについては任せて欲しいと、ここ数日間でこなした依頼のお金が入っていると思われる小袋を横にフリフリと揺らしながら見せつけてきたので、ここはお言葉に甘えさせてもらったほうが良いだろうか。
ということで、コウ達は軽く外食するため、外へ出かける身支度をささっと済ませると、夜の街へと繰り出すことにした。
「どこ行くんだ?」
「勿論魔食堂ですよ〜!」
そして夜の街へ繰り出し、街中を歩きながらコウはライラに今回の目的地は何処なのか?と聞いてみると、どうやら今向かっている先の場所はいつもお世話になっている魔食堂らしい。
まぁ魔食堂の料理は見た目こそあれだが、そこらのお店よりも料理の味は良いため、選択としては悪くないと言えるだろうか。
「到着です〜!今日は混んでますかね〜?」
「どうだろうな?中に入ってみるか」
「キュ!」
それにしてもローランの街中は人が少ないため、大通りは歩きやすく、短時間でいつものボロい見た目をした魔食堂へ到着することとなったのだが、コウ達はとりあえずどれだけの人が客として入っているのかを確認しようと、店のボロい扉を開けていく。
するとそこには街中で見られなかった多くの人達が店の中でワイワイと食事を楽しんでおり、ここから見た感じコウ達の座れるような席は見当たらない。
「あー...結構混んでるな」
「キュ~...」
「街中に人はいなかったのになんでここにはいるんですか~!」
そして自身達が座る席が無さそうということで、これからどうするか頭を悩ましていると、店の奥にある席からどこかで見たことがあるような人物がコウ達へと近づいてくる。
「コウさん達じゃないですか。もしかして席が空いてないから座れない感じですか?」
「サーラさんじゃないですか~!そうなんですよ~!」
その人物とは冒険者ギルドで受付嬢をしているサーラであり、入り口付近で頭を悩ませているコウ達に気づいたのか話を聞きに来たようであった。
またサーラが座っていた席では同僚であるミラと以前見かけた新人だと思われる受付嬢が座りながらこちらに向かって手を振っていたりもする。
「でしたら私達と相席しませんか?それでしたら座れると思いますけど...」
「いいんですか~?」
「問題ありませんよー。寧ろ話す人が増えて嬉しいくらいです!」
「じゃあお言葉に甘えてお邪魔させてもらうか」
「キュ!」
「サーラさんありがとうございます~!」
そしてサーラから相席でも問題なければ一緒に食事をしないか?という提案をされたコウ達はありがたく提案を受けることにし、そのまま夕食を共にすることとなるのであった...。
いつも見てくださってありがとうございます!
次回の更新予定日は多分9月13日になりましたのでよろしくお願いします。
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