第587話
(ディーンのことについてか...何かあったのか?)
王都で別れてからというもの何の話も聞かなかったということで、無事に聖都へ着いたのだろうか?と心配していたこともあったが、まさか見知らぬ冒険者達からディーンのことについての話題が聞こえてくると思ってもいなかったということで、コウ達は壁際に移動してどんな内容なのか知るため、少しだけ聞き耳を立てることにした。
そして聞こえてきた内容については聖都シュレアではここ最近、姿を現しつつある魔族に対して魔族討伐隊というのが作られたようで、そのリーダーとなるのが、あのディーンらしい。
まぁ人類の敵だった魔族が関わる事件が少しづつ増えてきたということで、魔族討伐隊というのを作り出されたのは分からんでもない。
ただそれにしても聖都シュレアの現聖女であるあのリリネットがそんな魔族討伐隊というものを率先して作るとは思えず、気掛かりに感じるところなので、隣に立っているライラに少しだけ聞いてみることにした。
「なぁライラ。リリネットってそういうのに関わるのか?」
「ん〜リリネット様が聖騎士とかにも関わってるのは見たことは無いですからそういうのには関わらないと思います~」
するとライラから返ってきた答えとしてリリネットは聖騎士などの軍的なものには一切関わっていないようで、魔族討伐隊というものにも関わるとは思えないらしい。
となれば、いったい誰がそのようなものに関わっているのだろうか?と疑問が出てくるが、まぁ聖都も一枚岩ではないということなのかもしれない。
一応、ディーンとは見知らぬ仲ではないので、何か騙されたりしているようであれば、手助けの1つや2つするのだが、聞いている限り変なことはないので、今のところは良いだろうか。
さて...ずっと壁際に立って冒険者達の話を盗み聞きしに来た訳ではないということで、コウ達は解体された魔物の素材の買取が終わっているのかを聞くため、受付へ近づいていくことにした。
「あら?コウ君じゃないの。もしかして解体された魔物の素材についてかしら?」
受付に向かうと、そこにはサーラではなく、同期のミラが今日は受付を担当しており、魔物の素材の買い取りについて聞く前に話を振られることとなった。
「話が早いな。じゃあ買い取りってもう終わってるのか?」
「ん~さっきレグルさんから素材を受け取ったばかりだし今は新人の子が査定してるからもう少し時間が掛るわね」
そのため、買い取りは終わっているのかと聞いてみると、今しがたレグルから解体された魔物の素材を受け取ったばかりであり、また新人の教育も兼ねて査定しているということなので、もう少し時間が掛るとのこと。
「そうなのか。じゃあ指名依頼とか何かまだあるか?」
「そうねぇ...ちょっと調べてみるわね」
ということで、今度は査定待ちの時間潰しとして新たな指名依頼はあったりしないかの確認してもらうことにすると、ミラは机の引き出しを開けてコウ達宛への指名依頼を調べ出してくれた。
「ん~...コウ君達への指名依頼は今のところは無いわね」
そして暫くの間、ミラに調べてもらったのだが、今のところコウ達宛の新たな指名依頼は来ていないようだ。
つまりこれからは朝早くに起きて掲示板に貼られている依頼を受けなければいけなくなってしまったのだが、朝から起きるのは少し苦手な部類に入るので、新たな指名依頼が届くまでは休んでしまったほうが良いのかもしれない。
「ミラ先輩!素材の査定が終わりました!」
「あら...もう終わったの?とっても助かったわ。じゃあ確認させてもらうわね」
そんな指名依頼のことについて話をしていると、受付の後ろにある部屋から見知らぬ受付嬢が姿を現し、査定が終わったと言いながらミラへ幾つかの書類を手渡していた。
会話の内容を聞いている限り、目の前にいる見知らぬ受付嬢が査定の教育を受けている新人だと予測が出来、ミラは褒めながらも幾つかの書類を受け取りつつ、しっかりと査定が行われているのか1つ1つ丁寧に確認しだした。
「特に問題ないわね。じゃあ買い取った分の代金を持ってきてくれるかしら?」
「了解です!」
そして書類の確認を終えると、どうやら査定には問題なかったようで、ミラはそのまま新人だと思われる受付嬢へ買い取りした分の代金を持ってくるように指示を出していく。
その後は新人だと思われる受付嬢が買い取ってくれた分の代金を持ってきてくれたということで、コウ達は無事に代金を受け取ると、これ以上受ける依頼がない冒険者ギルドにいてもしょうが無いということなので、一旦今後の予定を考えつつも小鳥の止まり木という宿へ戻ることにするのであった...。
いつも見てくださってありがとうございます!
次回の更新予定日は多分8月16日になりますのでよろしくお願いします。
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