第575話
「さて...どうやって探すかな」
とりあえず冒険者ギルドから出たコウはジールからお願いされた青年をどう探そうか頭を悩ませていた。
まぁ目立つような見た目をしているため、もしかするとそこらを歩けば見つかるのかもしれないが、強いて言えば人が多く集まるような場所に向かったほうが目的の青年を見つけ出す可能性が高いと言えるだろうか。
「じゃあ一旦噴水広場にでも行こうかな」
ということで、コウはローランで人が多く集まるような場所は何処なのか考えると、思いついたのは噴水広場ではないかということで、早速ではあるが噴水広場に向けて足を向かわせることとした。
そして噴水広場に向かう途中でもコウは目を配らせつつ、目的の青年を探していたりするが、多くの人々とすれ違えど目的の青年を見かけることはなかった。
それはそうだろう。ローラン自体はそれなりに広く、また人々も多く暮らしているので、簡単に見つかるわけもない。
そんなこんなで多くの人々が集まる噴水広場に到着したわけなのだが、周りをぐるりと見渡すも、人が多すぎるということもあり、これはこれで見つけ出すのはかなり難しいだろうか。
「これじゃあ分からないな。フェニが居れば楽なんだけど...」
もしこの場にフェニがいるのであれば、上空から簡単に探すことが出来るとは思うのだが、残念ながらこの場にいないため、その方法は諦めるしかない。
「しょうがないな。聞き込みとかをしてみるか」
というわけで、次にコウがやるべきことといえば、ここら辺にいる人々へ青年についての聞き込みである。
目的の青年は目立つ格好をしているため、これだけ人がいれば誰かしらすれ違ったりしている可能性が高く、もしかすると何かしらの情報を得ることが出来るかもしれない。
そのため、聞き込みを始めようと思ったのだが、ふと広場の一角にコウのよく知る人物が屋台の片付けをしていることに気が付いた。
その人物とはスラム街の近くにある孤児院でロバーツや老婆と生活し、噴水広場でよく魔法のクッキーとやらを販売しているホリィである。
そんなホリィという人物は魔法のクッキーとやらを販売しているということもあって多くの人々と話している筈。
もしかすると、目的の人物である金髪の青年について何かしら知っているかもしれないということで、コウは話を聞くために声を掛けることにした。
「ホリィ。元気そうだな」
「コウさんお久しぶりです。申し訳ないのですが今日のクッキーはもう売り切れてしまったんです...」
「あ~...別にクッキーを買いに来たわけじゃないんだ。少し聞きたいことがあってな」
「聞きたいことでしょうか?僕の知っていることであれば何でも良いですよ」
ということで、コウはホリィに探している人物の特徴について説明し、ここら辺で見かけてないか?もしくはお客さんとしてであったりしてはいないかどうかについて聞いてみることにした。
「うーん...お客様としてはお会いしていませんね」
「そうなのか...」
「あぁでも他のお客様からその様な見た目をした人の話なら聞きましたよ」
「おぉまじか。何処で見たとか言ってた?」
「確かここから近い高台で見たと言っていた気がしますね」
とりあえず話を聞いた限り、ホリィ自体は金髪の青年と会ったことは無いらしいのだが、お客さんから似たような風貌の人物を見かけたという話は聞いたとのこと。
また金髪の青年の見かけた場所についてはローランの観光地として有名な街中を一望できる高台にいたらしく、今現在コウがいる噴水広場から割と近しい場所であったりもする。
「なるほどな。情報助かる」
「いえいえお客様から聞いただけですので」
ということで、コウはホリィに御礼を伝えると、早速ではあるが話を聞いた通り、噴水広場から近しい場所にある高台へ向かうことにした。
そしてローランを見渡すことが出来る高台に到着すると、そこには目的の人物であった金髪の青年が髪を風で靡かせながら立っており、街中を一望しているのであった...。
いつも見てくださってありがとうございます!
次回の更新予定日は7月22日になりますのでよろしくお願いします。
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