第569話

「よし...こんなもんだろ。フェニもご苦労さん」


「結構集まりましたね〜フェニちゃんお疲れ様です〜」


「キュ!」


 フェニのお陰もありつつ、コウ達はある程度ではあるが、ブトゥーの背中に生えるキノコをそれなりに集めることが出来た。


 そしてコウ達がキノコを集めたことによってここらを歩けば、やる気スイッチがオフになってしまった寝転がるブトゥーが見れる動物ふれあい広場の状態となっていたりする。


「じゃあ次の食材は...アンカーウィップって魔物が近そうだな」


 とりあえずブトゥーの背中に生えているキノコはこれ以上、採る必要が無いため、次の食材について簡易の地図を再び確認すると、アンカーウィップという魔物が近いということが分かった。


「じゃあその魔物の場所に向かいますか~」


「時間も限られるし少し急ぎ目に行くか」


「キュイ!」


 ということで、コウ達は時間が限られているため、アンカーウィップという魔物の元へ向かうことにし、この場から急ぎ足で歩き出すことにした。


 暫くの間、コウ達は北の方角に向けて急ぎ足で歩き出したわけなのだが、景色はトレントの森に近いということで少しだけ変化し、木々や生い茂る草などが増えてくる。


「次のアンカーウィップってどんな魔物なんですか~?」


「ん?ちょっとまってな」


 そしてそんな木々や生い茂る草などが増えてきた場所を歩いていると、不意にライラからアンカーウィップについて聞かれることとなったということで、簡易の地図に書かれている情報を目に通していく。


 まずアンカーウィップの見た目はつる状の魔物なのだが、つるの先端には魔石が木の実のように付いているらしく、主に1本の木に絡みつきながら共生している魔物とのこと。


 ちなみに食材部分である根っこについては絡みついている木の根の部分にあるようで、掘り起こすのが面倒ということもあり、あまり店頭に並ぶことがない食材とも書いてある。


「地図だとここらへんだけど...」


「1本づつ木を確認していくしかなさそうですね~」


 とりあえずアンカーウィップという魔物が生息している場所に到着したということなので、コウ達は目を凝らしつつ、周りの生えている木の1本1本を確認しながら再び歩き出す。


「あっ!あれじゃないですか~?」


「ん...?あぁあれが目的の魔物っぽいな」


 ライラの指をさす方向に視線を向けてみると、そこにはつるが絡みついている1本の木があり、そのまま伸びているつるの先端まで辿っていくと、紫色の魔石が木の実のようにぶらぶらとぶら下がっているのが見えた。


 一応、地図に書き足された情報にはある一定の範囲内に入ると無数にある自前のつるを鞭のように振るって攻撃してくるらしく、安全に倒すなら核として木の実のようにぶら下がっている魔石に向けて石などで投擲したり、矢などを放って魔石を撃ち落とすのが良いと書かれていた。


「近寄らないようにぶら下がってる魔石を撃ち落とすのが良いんだってさ」


「なるほどですね~じゃあここは任せて下さい~」


 どうやらライラは投擲に関して自信があるみたいなので、この場を任せることにすると、そこらに転がっている手頃なサイズの石ころを見つけ、手に取った。


「じゃあいきますよ~!それっ!」


 そんなライラは野球選手のピッチャーのように投球フォームを構えると、石ころを持っていた手をアンカーウィップに向かって一気に振り抜く。


 すると振り抜いた手からは持っていた石ころが勢いよく放たれ、木の実のようにぶら下がっている魔石に向けて一直線に飛んでいき、付け根の部分へ上手いこと命中することとなった。


 そして付け根の部分へ上手いこと命中したことによってぶら下がっていた魔石はぽろりと取れてしまい、そのまま重力に逆らうことなく、地面へ落ちていき、木に力強く絡みついていたアンカーウィップは元気を失ったかのようにずるりと垂れ下がりだす。


「こんなものですかね~?」


「おぉ...一発で当てるなんて凄いな」


「そうですか~?これくらいなら誰でも出来そうですけど~」


「...普通の人は出来ないと思うぞ。まぁ時間もないしさっさと根っこを採るか」


「そうですね~もう少ししたら夕方ですもんね~」


 とりあえずライラのお陰で安全にアンカーウィップを倒すことが出来たということなのだが、時間も迫ってきていることもあり、目的の食材である根っこの部分を急いで採ることにするのであった...。



いつも見てくださってありがとうございます!


次回の更新は7月10日になりますのでよろしくお願いします。

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