第389話
「さてと...ライラの無くした髪飾りを探すか」
現在のコウがいる場所は自室の部屋の前にある長い廊下であり、ライラが無くしたという金色に輝く十字架の髪飾りを探していくこととなる訳なのだが、残念ながら1人である。
何故、1人で探しているのかというと、今回の探す範囲として白薔薇騎士団の屋敷内とイザベラの屋敷内の2箇所ということで、少なく聞こえるかもしれないが、実際には屋敷内は広く、探す範囲が広いため、全員で手分けをして探すこととなったのだ。
ちなみにコウとライラ白薔薇騎士団の屋敷内を探し、イザベルはというと、丁度母であるイザベラにちょっとした用があるとのことであったため、イザベラの屋敷へと向かい、晩餐会後に落ちていたりしなかったか聞きに行ってくれている。
出来れば白薔薇騎士団の団員達にも探して貰って人海戦術で髪飾りを探し出したいところではあるのだが、たったそれだけのことで団員達を動かすのは申し訳ない。
まぁ探すことを頼もうとしたところで、今日は副団長であるジュディが多くの団員を訓練と称して引き連れ、王都の近くに現れたという魔物を討伐しに行っているため、頼むことは出来ないのだが...。
「んー...でもなんとか楽に探す方法ぐらいは思いつかないと大変だよなぁ...」
とはいえ、コウとライラの2人でこの広い屋敷内を隅々まで見て回るのは大変なので、なんとか楽に探せる方法はないか頭を捻らせながら考えないといけないだろうか。
ちなみにコウが現状使える魔法の殆どは攻撃的な魔法であり、探知系の魔法は限られているのだが、今回はどれもこれも下に落ちているであろう髪飾りを探すには役には立たない。
「うーん...これは地道に下を見ながら探すしか無いのかなぁ...って
そしてコウは考え事をしつつも、棚の下などを地道に確認しながら、ライラの落とした髪飾りを探していると、ふと目の前を灰色の鼠が食べ物を咥えながら通り過ぎていくのが見えた。
「鼠...?そうだ!良いことを思いついたぞ!」
そんな目の前を通り過ぎた灰色の鼠を見たコウは頭の中で1つの良さげな方法を思いつき、早速試してみることにした。
コウの思いついた良さげな方法とは魔法で氷の鼠を作り出し、一斉に屋敷の中へ解き放って落ちている物を拾ってきてもらうといった方法であった。
これならば態々、下を見ながら屋敷内を歩き回る必要はないので、1番楽な方法とも言えるだろうか。
しかも今現在のこの屋敷内にいる白薔薇騎士団の団員は殆どが出払っているので、氷の鼠が屋敷内を駆け回ったとしても、大きな騒ぎにはならない筈である。
「じゃあ下に落ちてる物を集めてきてくれ!」
ということで、コウは早速氷の鼠部隊を作り出し、命令を出すと、一斉に屋敷内の至る所へと散っていき、落ちている物を持ってくるまで、暫くの間、待つことにした。
暫く、その場で待っていると、氷の鼠達は下に落ちていたであろう様々な物を拾ってくるが、数が多いためか山の様に積み重なっていく。
「この中にライラの落としたものはあるかなっと...」
とりあえず氷の鼠達が拾ってきた山の様に積み重なった物を見てみると、殆どはゴミなどであり、漁って1つ1つ確認していると、中には白薔薇騎士団の団員が落としたであろう見た目の違う髪飾りやイヤリングなどもあったりする。
「なんだこれ...?引っかかってるな...よっと!」
また山の様に積み重なった物の中には何かしらの薄い布が他の物と干渉して引っ掛かっていたので、思いっきりコウは引き抜く。
「ちょっ!」
そしてその引っ掛かっていた布を広げてみると、それはきわどい女性物の下着であり、コウは誰かに見られないよう反射的に収納の指輪の中へと仕舞い込んでしまう。
「これって下着泥棒判定にはならないよな...?あとで何処かに隠しとけばバレないか...?」
そんなコウは反射的に収納の指輪の中へと仕舞い込んでしまったきわどい女性物の下着を何処に隠すかを考えつつ、氷の鼠達が広い集めてきた山の様に積み重なっている物を地道に仕分けしていくのであった...。
いつも見てくださってありがとうございます!
評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m
次回の更新は7月16日になりますのでよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます