第355話
時間は過ぎ、昼頃。
午前中にライラが持ってきてくれた酔い覚ましの薬のお陰で有難いことにある程度、頭痛も治ってきたということもあり、宿から出たコウ達はとある場所に向かっていた。
その場所とはいつもの訪れている冒険者ギルドではなく、ローランの城門前である。
何故、コウ達がローランの城門前へ向かっているのかというと、これから王都に向かうためであった。
どうして王都へ向かうことになったのかについては、ゆっくりとしていた午前中にこれから何するかについてライラと話し合っている際、以前イザベルからの手紙でお茶会のお誘いが来ていたのをコウはふと思い出したのだ。
今のところ他に依頼を受けている訳でもないし、依頼を受ける予定もないので、だったらたまには顔を見せに行くのも悪くないと思ったので、とりあえず王都に向かうことにしたということである。
また王都に向かうということなので、ミランダには数日は戻らないということを伝えると、残りの日数分の金貨を有難いことに払い戻してくれた。
しかし小鳥の止まり木の宿から出て、昼頃の今から王都に向かうとなると、到着するのは夜になってしまい、再び宿を探すのは少し面倒ではある。
ただ今のうちに王都へ入っておけば、ゆっくりと旅の疲れを癒やしてからイザベルに会うことが出来るので、悪くはない。
一報を入れずに会いに行くのは失礼では?と思うかもしれないが、イザベルからはいつでも気軽に来てくれと手紙に書かれていたので、何の連絡も無しに訪れたとしても、きっと受け入れてくれる筈である。
「ん~良さげな馬車があると良いですね〜」
「なるべく座り心地のいい馬車が良いよな」
「キュッ!」
そうこう話しているうちに城門前へ到着すると、フェニはコウ達の希望する良さげな馬車を探すため、飛んでいってしまう。
コウ達も王都に向けて走るであろう良さげな馬車はないか探すこととなるのだが、そこでとある知り合いと出会うこととなる。
それは昨日、一緒に食事を共にしたルビィとトゥリッタであり、依頼が終わったのか丁度良いタイミングで外に繋がる城門を潜り、ローランの中へと入ってきていた。
そしてその2人はコウ達に気づいたのか何かが詰まっているであろう大きな麻袋を背負いながらこちらに向かって駆け寄ってくるではないか。
「コウさんとライラさん。こんにちはですー!」
「こんにちは。昨日ぶりですね」
「あー昨日は色々とすまんな。もしかして依頼帰りか?」
「はい。今日は薬草採取の依頼に行っていました」
「だから大きな麻袋を背負ってるんですね~」
せっかくの祝宴最中に寝てしまったことについて軽く謝罪をしつつ、2人に依頼帰りなのかどうか尋ねると、どうやらコウ達が以前受けた依頼である薬草採取を受けていたようであった。
よく見ると2人が背負っている麻袋の口からは少しだけ緑色の葉っぱがはみ出しており、それなりの量を採取してきたのが分かる。
まぁ新人冒険者なら割の良い依頼であるし、そこまで危険なものでもないため、きっとサーラかミラにでもおすすめされたのだろうか。
「では薬草の納品もありますので私達はここで失礼します」
「はっ!そうでした!鮮度が落ちちゃうとこでした!失礼しますー!」
「あー鮮度が落ちちゃうもんな頑張ってくれ」
「また食事でも行きましょうね~」
コウ達が持つ収納の指輪などに薬草などを入れれば鮮度が落ちる心配は無いのだが、ルビィやトゥリッタが背負っている麻袋に詰めた状態だと鮮度が落ちてしまい、納品した際に評価が下がる可能性もあるため、早めに冒険者ギルドへ納品したいのだろう。
そして冒険者ギルドに向かって麻袋を背負いながら駆けていく2人を見送り、その場で別れると、入れ違いのようにフェニが戻ってきてコウの頭の上に降りてくる。
「キュイ!」
「あぁおかえりフェニ。良さげな馬車でも見つかったのか?」
「キュ!」
戻ってきたフェニに良さげな馬車を見つけてきてくれたのか尋ねると、どうやら本当に見つけてきてくれたようで、返事を返すと付いてこいと言わんばかりにコウの頭の上から再び飛び立っていく。
「とりあえず付いていくか」
「そうですね~王都行きの馬車だといいですけど~」
そしてコウ達は王都行きの馬車であってくれと思いつつ、飛んでいくフェニに付いていくと、城門前でせっせと荷物を馬車に積み込んでいるルーカスと、その馬車が見えてくるのであった...。
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次回の更新は5月9日になりますのでよろしくお願いします。
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