第135話

「さて...コウさんの代わりに私達が女王を倒しますか」


「そうですね~フェニちゃんは一応コウさんの側を守って下さい~」


「キュイ!」


 イザベルとライラはコウが作り出した凍りついた葉が散乱している地面をパリッ!パリッ!と気持ちの良い音を鳴らしながら歩き、女王の元へと向かっていく。


 流石に全員が消耗しきったコウの側を離れるのはよくないと判断し、ライラがフェニへコウを守る様にと伝えると指示を素直に聞き、身を翻し戻っていく。


 これである程度の魔物がきてもフェニがコウを守ってくれるだろう。


「さぁ気を引き締めていきますよ!」


「勿論です~!ではいきましょう~!」


 キラーホーネットの女王は額に魔石の核がついており、下腹部が真っ白で巨大な体を持ち木にもたれ掛かるよう鎮座しているのだが、働き蜂を大量に失ったので新たに卵を産み続けていた。


 女王は働き蜂のキラーホーネットへの指揮、消化液や毒液、繁殖、そして魔法など様々な能力を持っているのだが、そこまで力のない魔物でもあって近づけさえすれば何とかなる魔物ではある。


 とはいえ普通の女王ならば100匹以上は働き蜂のキラーホーネットを囲っているのだが、今回は数十匹だったのでまだ若い女王なのだろう。


 そして地面には大量の卵が転がっており、既に何個かの卵からは殻が割れ、中から幼虫が這い出て餌を探し求めている。


 このまま放置すれば再び成長し、成虫のキラーホーネットとなるため無視することはできない。


「まずは雑魚処理ですね。風の刃ウィンドカッター!」


 イザベルは幼虫達と産み出されたばかりの卵に向かって風魔法で作り出した風の刃を撃ち出すと周りに生えている草木を刈り取りながら飛んでいき、全てを切り刻んでいく。


 幼虫自体はそこまで戦闘力は無く、外皮も柔らかいためあっさりと緑の体液を撒き散らし、絶命してしまう。


 しかし卵は殻の部分がかなり硬いのかイザベルが撃ち出した風の刃では傷一つ付いていないようだ。


「卵は私が潰してきますね~」


 ライラは卵に向かって走り出し、卵の上に飛び乗ると次々と拳を振り下ろしていく。


 すると卵の表面に亀裂が入ってピキピキと音を立て半分に割れてしまった。


 中からはまだ幼虫に成りかけのキラーホーネットがどろりと飛び出してくる。


 とはいえ女王は更に追加として卵をどんどんと産み出してくるので、流石にライラ1人では処理が追いつかない。


「埒が明かないですね~」


「先に女王を叩いたほうが良さそうです」


 これでは埒が明かないのでイザベルとライラは女王を先に処理することに決め、地面に転がっている産み出された卵の上に飛び乗ると女王に向かって走っていく。


 しかし女王も敵であるイザベルとライラの2人を自身に近づけないように口元から大量の黄色い液を吐き出して抵抗をしようとしてくる。


「防ぎます!暴風の壁ウィンドウォール!」


 イザベルは足を止めて降り注いでくる黄色い液に対応するように今度は風の壁を作り出す。


 その風の壁に女王が吐き出した黄色い液がぶつかると周囲へ飛び散るように飛散し、黄色い液が飛び散って当たった部分はどろどろに腐食して溶けていく。


 そして再びそのまま卵の上を飛び移りながら進もうとすると、今度は女王の額にある魔石の部分が光り輝くと同時に女王の周囲にある岩が浮かび上がってイザベルとライラへ襲いかかる。


 イザベルとライラの2人は飛んでくる岩を拳で砕いたり、躱したりと対処するが女王には中々近づけずにいた。


「も~中々近づけないです~!」


「厄介ですね」


「道は私が開きますのでイザベルさんは女王をお願いします~!」


 ライラはイザベルの声をかけると前へ出て、次々飛んでくる岩を拳で砕いたり、受け流していき女王へ辿り着くための道を作り出す。


 「ありがとうございます」と一言イザベルはライラに礼を言うと、そのまま進み女王の元まで突き進む。


 そして女王まで辿り着くと真っ白な下腹部の上へと乗って頭上まで駆け上がっていく。


「これで終わらせます!はぁっ!」


 女王の額にある核は魔石であるため、その部分を壊そうとイザベルは自身のレイピアに風魔法を纏わせ振りかぶり突き刺す。


 レイピアは核である魔石の部分へと突き刺さると徐々にヒビが入っていき、粉々に砕け散っていく。


 女王は額にある魔石を破壊されると動きを止め、地面へと崩れ落ちていくのでイザベルはすぐにその場から退避してライラの元へと戻る。


 ズシンッ!と大きな音を立て女王は地面へと横に崩れ落ち、砂埃と凍った葉などが倒れた風圧で空へと舞い上がる。


「ふぅ...ライラさんお疲れさまです」


「イザベルさんもお疲れさまです~残りは卵だけですかね~?」


「えぇそうですね。残りの卵も割っていきましょうか」


 女王は倒されたのだが、産み出されたキラーホーネットの卵はまだまだ残っているので孵化する前にそれの処理をしないといけない。


 そのためイザベルとライラは残りの卵を割って処理していき、終わると消耗して休んでいるコウの元へと戻るのであった...。


ここまで見てくださってありがとうございます!


そしてブクマや星やハートをくださる方もいつもありがとうございますm(_ _)m


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