第123話
「あれって...宝箱か?」
コウ達は第1階層を地図頼りに進んでいると、突き当たりの一角に宝箱の様な形をした木箱が置いてあった。
宝箱とはダンジョン内で生成されるものであるのだが、何故、宝箱がダンジョン内で生成されるのかというのは未だに未解明である。
まぁ冒険者達にとってはそんな未解明だろうが何だろうが、自分にとって利益になるような物さえ手に入ればどうでもいい話だろう。
とはいえ1階層で生成される宝箱の中身は良くて宝石などの金品が入っており、魔道具など入っていることは滅多に無い。
勿論、下の階層に進むに連れて宝箱の中身はその階層に見合った物品になっていく。
そして宝箱自体には罠のようなものが仕掛けられていたり、宝箱の周囲が魔物の巣窟なっていたりするため開ける際や周囲の確認は大切である。
今回宝箱を見つけた場所は突き当りの一角であるため、魔物などは警戒する必要はないが宝箱自体に罠が仕掛けられていたりするので、罠に注意しながら開ける必要があったりする。
「私達の中に罠を解除とか出来る人がいないのが少し悔やまれますね」
「確かに脳筋しかいないもんなぁ」
「ん~私は脳筋では無いですね~」
ライラの言葉をスルーしつつ、宝箱の近くに近寄っていくと後ろから「スルーしないで下さい~!」などとツッコミが聞こえてくる。
宝箱の蓋の部分に手を置き少しだけ開くと中から針のようなものがコウに向かって飛び出してきた。
針の先には紫色の毒々しい液体が塗られており、幸いにもコウの外套に針は当たるが貫通することはなかった。
まぁコウ自身は毒が効かない体質ということで、当たったとしても問題はないだろうが、針が刺さって傷を負うのはあまり良くはないためラッキーではある。
「完全に殺りに来てるな。まぁいいか...で中身はなんだ?」
少しだけ開いていた宝箱を開き中身を確認すると、銀で出来た食器のセットが入っていた。
「う~んあんま良くなさそうですね~」
「まぁこんなもんだろ」
コウの後ろから顔を出すようにライラは宝箱の中身を見ると、少し残念そうな顔をしているが、実際にはこんなものなのだ。
まぁそんなポンポンと魔道具や宝石などの良い物が冒険者の手に渡ってしまうのはダンジョンからしてもたまったものではないのだろうか。
「まぁ良いじゃないですか。宝箱の中にはゴブリンの死骸が入ってたとかもあるらしいですよ?」
「うぇ...それは嫌だな」
「まぁ~それよりは良いですけど~...」
確かにゴブリンの死骸や骨が入っているよりか、銀製の食器のがだいぶマシであるし寧ろ当たりと言っても良い部類だ。
収納の指輪の中に銀製の食器を仕舞い込むと、コウはふと疑問が浮かぶ。
それは今は何時だろう?ということである。
昼頃からダンジョンに入って特に休憩無しで進んでいるが周囲は煉瓦上の壁であり、常に明るく保たれているのでダンジョンの外が夜になったとしてもわからないのだ。
もしかしたら既にダンジョンの外は夜になっているかもしれない。
時計などの時間がわかるようなものを持っていれば良かったのだが、王都のお店で時計を1度だけ目をした時は白金貨10枚とかなり値段が高く手に入れることは出来なかった。
「ダンジョン内は時間感覚がかなり狂うな」
「1階層は特にそうですね。なので早めに1階層は抜けたいとこです」
イザベルの言葉のニュアンス的に1階層さえ抜けてしまえば時間間隔に関しては問題なくなるらしい。
何故?と思い詳しく聞こうとすると2階層に到着してからのお楽しみということだ。
とはいえまだまだ2階層に到着するまでは先が長いので1回か2回はどこかしらで休憩を挟むこととなるだろう。
休む場所も大事でなるべく空間が広いところが良いだろうし、そこまでは進むこととなる。
一応手に持っている地図を確認すると、ここから少し先に進んだ場所に開けた空間があるようなのでそこで1回目の休憩をしても良い。
「イザベル。ここから先に休憩できそうな場所があるんだけどそこで一旦休憩してもいいか?」
「勿論良いですよ。もしかしたら他の冒険者の方も居るかも知れないですけど私は問題ないです」
「ライラもいいか?」
「私はコウさんにお任せします~」
2人に聞くと問題なさそうなので、少し先に進んだ場所に開けた空間で休憩することにする。
とはいえイザベルの言う通り他の冒険者達も同じ考えで休憩しているかもしれない。
もし休憩する場所が無かったら先へ進むか他の冒険者達に話をして場所を譲ってもらうしか無いだろう。
とはいえ他の冒険者達もダンジョン内でわざわざトラブルを起こしたくはないだろうし、大体は譲ってくれるはずだ。
暫く地図通りにダンジョン内を進むと地図に記されていた開けた空間に到着したが、やはりというか2組の冒険者達がテントなどを張ってゆっくりと休憩していた。
一応、コウ達もテントを張って休憩できそうなスペースもあるようなので特に問題なさそうである。
他の冒険者達に軽く会釈をし、空いているスペースへと収納の指輪の中に仕舞っているテント出して組み立てていく。
コウの魔道具は貴重なものばかりであり、風呂なども設置するため、他の冒険者達に見られないようにと、陣幕を立てて周りを囲うこととした。
とはいえ、他の冒険者達よりもだいぶ豪華な休憩場所となってしまい、少しだけ目立つがしょうが無い。
これ以上目立つのを避けるため、ランタンの魔道具は使用せず、交代で見張りをしながら休憩することとし、コウ達は均等に疲れを癒やすために見張りの順番を決めて休憩するのであった...。
ここまで見てくださってありがとうございます!
そしてブクマや星やハートをくださる方もいつもありがとうございますm(_ _)m
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