第50話
洞窟の中では20人ほどの盗賊達が酒を飲み騒ぎこれから襲う予定の村について話し合ったりしていた。
しかし盗賊達はこれから村を襲ったりすることはできないであろう...既にコウの魔力は洞窟内へ充満しすぐにでも魔法を使用することができるのだ。
(逃げ場もなしか)
コウは盗賊達の逃げ場がないことを知るために薄い霧を発生させ盗賊達のいる部屋を調べたが特に逃げるような場所はない。
盗賊達も酒で酔っていたりするためコウの作り出した薄い霧には気づかないのだ。
もし魔力を感知できる者かシラフの状態の者でも居れば異変にすぐ気づき抵抗はできただろう。
「ふぃ~ちょっくら見張りと交代してくるわ」
「おうよ」
盗賊の1人が外の見張りと交代しようとコウの場所へと千鳥足でゆっくりと歩いてくる。
(もう少し時間が欲しかったがまぁいい...降り注げ!)
本音を言えばもう少し入念に盗賊達を殲滅する準備したかったが此方に来るのであればバレて今までの準備が台無しになるためコウは魔法を起動する。
天井部分へ氷柱のようなものを作り出して準備はしていたのでコウは全ての氷柱を盗賊達のいる場所へと落とす。
勿論数多く氷柱を作ったとはいえランダムな攻撃のため当たらないものもいる。
ただ急に視界外の上から氷柱が降ってくることなど想像できる者がいるはずもなく運が悪い者はどんどん上から降ってきた氷柱に貫かれていく。
盗賊の全体の内、半分は既に氷柱で貫かれ死んでしまった者、かろうじて生きてはいるが足に刺さり動けなくなった者など様々だ。
「敵襲だ!」
氷柱に当たらなかった運の良い盗賊達は敵の攻撃だと気づき一斉に武器を持ち出し部屋の入り口へと走り出してくる。
「居たぞ!部屋の入口にいるやつだ!」
コウが部屋の入り口に居るのを盗賊達は見つけ鬼の形相で向かってくるがコウは既に他の魔法をこちらに来る道へと罠のように設置していた。
盗賊達は一直線の道を走ってくるが盗賊達の足元から氷の針が飛び出し盗賊達の足を貫く。
そしてコウの元へ走っていた盗賊達は足を強制的に止められ全員地面へと倒れ込む。
既に盗賊達に勝機はなく残された道はコウのサンクチュアリに首をはねられるのを待つだけだ。
「クソがぁ!」
倒れ地面に伏した盗賊の男1人が唸るように叫びこちらを睨むことしかできない。
コウは一言も喋ることもなくサンクチュアリを出し淡々と地に伏した盗賊達の首を一つ一つ跳ねてゆく。
全ての盗賊の首を全て跳ね終えるとコウは洞窟の部屋の中へと入る。
「ふぅ...次はここか」
死んでいる者もいるが足に氷柱が刺さってまだ死んでいない者もいるので再びコウは盗賊の首を跳ねていく。
「もう生きている盗賊は居ないかな?とりあえずフェニの場所に戻るか」
コウは盗賊達が飲み食いしていた場所から分かれ道まで移動するとフェニを迎えに行くために待っている右の道を歩いて行く。
女性や子どもたちが檻に入れられていた場所につくとフェニは座っていた椅子からコウの肩へと飛んでくる。
「問題なかったか?」
「キュキュイ!」
檻の側を見るとそこにはコウが殺した盗賊以外に更に追加で1人、口から泡を吹いて倒れて気絶していた。
どうやら外から戻ってきた盗賊がここに来たようで異変に気づいた瞬間、椅子に座っていたフェニが雷魔法で気絶させたらしい。
仕事はしたぞと言わんばかりにフェニは鳴く。
「フェニ偉いぞ。さてとりあえず檻の扉を開けないとな」
周囲に鍵はなくもしかしたらと思いコウは死んだ男のズボンを漁ると中から鍵が出てくる。
そのまま扉に鍵を入れ回すとカチャリと鍵が開く音が鳴り、檻の扉が開いた。
「本当に助かりました...あなたが助けけてくださらなければ私達は奴隷として売られていたでしょう...」
檻から出てきた女性の1人が助けてくれたことに関してお礼を言ってくる。
「まぁあんたたちをまだ村へ送れてないからお礼は後で頼む。とりあえずここを出よう」
女性と子どもたちを外に出るように促しコウが先行しながら洞窟内を移動し外に脱出し松明があったとはいえ薄暗い洞窟内から外に出ると太陽の光で眩しくつい目を細める。
救った人達は久々の外のようで安堵の表情をしているようだ。
「そういえば村ってどこに行けば良いんだ?案内できるか?」
「そうですね。街道にさえ出てしまえば村への帰り道がわかるのですが...」
「ん、わかった。街道なら着いてきてくれ」
コウは盗賊から奪った地図を持っているため街道までは案内できる。
そして街道にさえ着いてしまえば助けた女性が帰り道を知っているらしいので村へは安全に送れそうだ。
コウは女性と子ども達を引き連れて細心の注意を払いながら森の中を進み街道へと移動するのであった...。
ここまで見てくださってありがとうございますm(_ _)m
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