第46話

 翌日コウは王都のギルドに白薔薇騎士団の拠点としている場所を確認したところ貴族街の場所に拠点を構えているという話を聞き貴族街を歩いていた。


 貴族街というのだからやはり綺麗に道が整備されており、道行く人々は小綺麗にしている人が多く店も服や装飾品また菓子やお茶を売りにしている場所が多く見える。


「それにしてもこんな場所に拠点を構えているなんて話を聞いた通りのクランなんだな」


 以前ゴブリンキングへ成りかけのロードから助けた男から白薔薇騎士団は大規模なクランだと話を聞いていたがまさかこんな貴族街に拠点を建てられるほど規模だとは思っていなかった。


 そんなにも大きいクランならば謝罪もそれなりに良いものを食べさせたりしてくれるのではと多少なりとも期待が膨れ上がる。


 暫く歩くとようやくギルドから聞いた場所に辿り着くとそこはそれなりに広い屋敷になっており、門には女性が2人ほど立っていた。


「そこの少年、ここは白薔薇騎士団の屋敷だが何か用でもあるのかな?」


 門の近くで屋敷を見ていると男勝りの女性門番の1人に話しかけられる。


「えーっとこの手紙を受け取って中に招待状みたいなのがあるんだけど...」


「ん?珍しいな団長が手紙を送って招待するなんて...ちょっと確認させてもらおうか」


 白薔薇騎士団の団長から届いた手紙の中には招待状が入っており、いつでも来ても良いという話の内容が書かれた手紙を門番に見せると門番は屋敷の中へと入っていく。


 5分ほど待つと門番が屋敷から戻ってきてこちらに手紙を返してくる。


「事情は理解した...私が団長の場所へと案内しよう。後ろに着いてきてくれ。あと肩に止まっている魔物はなるべく大人しくさせといてくれ」


 どうやら門前払いをされることもなく無事、白薔薇騎士団の屋敷の中に入ることができるようだ。


 フェニは元々頭が良いためコウの肩に静かに止まっているため問題はない。


 門をくぐり屋敷へと歩くと中には殆ど女性しかいなくこちらを物珍しく見てくる。


「すまないね。うちの屋敷は男はいなくて女性ばかりで男が入ることは珍しいんだ。だからみんな物珍しく見てるだけで気にしないでくれ」


「いやまぁ別に物珍しそうに見られるのはいつものことだから気にしてない」


 コウは普段から肩に止まっているフェニのお陰のせいか物珍しそうに見られることが多いため既に慣れたような感じになっていた。


 屋敷の中に入るとそこは広いホールになっており、目の前には階段があって2階に通じるようになっていてそのまま階段を登り門番についていく。


 部屋数はかなり多く門番から話を聞く限り、1人1部屋として使わしてもらっているらしい。


「此方が団長の部屋になりますので粗相のないように頼むよ」


 コンコンと門番がドアを軽くノックすると部屋の中から「どうぞ」と透き通るような綺麗な声の返事が帰ってくる。


「失礼します。お客様をお連れしました。失礼します」


 部屋の中に入るとそこにはソファに1人の女声が座っており、隣には前に敵意むき出しで話し掛けてきたエリスが立っていた。


 座っている女性の見た目は銀髪の髪で窓から差し込む陽光できらきらと光り腰ぐらいまで伸び、銀の髪飾りをしていて瞳の色は吸い込まれるような深い青色。


 今まで見てきた女性の中では一番綺麗と言っても良い程の見た目をしている女性だった。


「初めましてコウさん先日は私のクラン団員エリスが粗相をしてしまい申し訳ありません」


 目の前の女性はソファから立ち姿勢を正すと頭を下げ謝罪する。


「ちょっ!団長!頭を下げるなんて良くないです!」


 隣に立っていたエリスは頭を下げた女性を見て驚き声を荒げるが団長と呼ばれた女性の目つきが鋭くなりエリスを睨む。


「目の前のコウさんは貴方のせいで迷惑を被っているのですよ?貴方も頭を下げなさい!」


 エリスは叱咤され慌てながらすぐにこちらへ頭を下げる。


「うちのエリスはこれからまた厳しく言っておくので許していただいてもよろしいでしょうか?」


「いや別に怪我とかもしてないからそこまで謝らなくても良いんだが...」


 コウも多少絡まれたぐらいでそこまで被害もなかったため気にしておらず逆に気を使ってしまう。


「いえ、やはり団員を制御できてなかった私の責任でもありますし謝罪を込めて手土産も用意していますので...とりあえずはお茶を用意しますのでソファに腰をお掛けください」


 コウは言われた通りソファに座るとエリスがティーカップにお茶を用意してくれてくれた。


 テーブルの中心には見たことないお菓子や普通のケーキなどが用意されており、それを切り分けお皿の上に分けてくれる。


 一口ケーキを食べてみると久々の甘味の美味しさで口元がゆるくなり、ティーカップに入った紅茶を飲むと紅茶も甘味のお陰で丁度よい甘さになった。


「そういえば私の名前をまだ名乗っていませんでしたね。私の名前はイザベルと言い白薔薇騎士団の団長を担っていますので以後お見知りおきを」


 目の前の女性はイザベルと名乗りこちらへにこりと微笑み手を前に出してくる。


「俺はコウ。ローランで冒険者として始めたばかりだよろしく頼む」


 こうしてお互いに自己紹介が終わり握手を交わした後にお茶会がゆったりと始まるのであった...。



ここまで見てくださってありがとうございますm(_ _)m

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