第43話
洞窟の外に出たコウとフェニはあのスライムをどう討伐するか考え悩んでいた。
普通のスライムなら核の部分を破壊すればスライムは崩れ絶命するのだが、今回のスライムは体積が大きくコウのサンクチュアリを突っ込んだとしてもスライムの核までは届かないだろう。
「どうするかなぁ...あいつが来るまで時間が掛かるだろうし」
スライムの核を破壊する方法を考えていると左肩に止まっているフェニが自分に任せろと言わんばかりに翼をバサバサと動かし主張してくる。
「そういえばフェニは雷魔法が使えたな...スライムは水の体で出来てるから電気を通しやすそうだしもしかしたら効果があるかもしれないな」
コウは隣で主張してくるフェニを見ると最近使えるようになった雷魔法を思い出す。
フェニの力はゴブリンで多少なりとも確認済みだが、他の魔物へ試したことが無いためこれはフェニの力を確認するのにも丁度良いとコウは考える。
「よしフェニあのスライムが来たら雷魔法をぶち込んでくれ」
「キュイキューイ!」
コウとフェニはスライムが出てくるのをじっと待つと洞窟の奥からずりずりと地面を這うような音が響いてくる。
「ようやく来たな...」
洞窟からスライムが出てきてスライムの中心にある核であり、目の部分がこちらをギョロ!っとして取り逃した餌を見つけたかのようだ。
捕食の対象をやっと見つけたようで触手がうねうねしており、喜んでいるようにも見えて心底気持ちが悪い。
「フェニ!あのキモい塊に雷魔法をぶち込んでやれ!」
「キュイ!」
飛んでいるフェニの足元に雷の球体がバチバチと形成され、スライムへと撃ち出される。
勿論スライムは俊敏ではないためズリズリ移動し、回避しようとするが移動は遅くそのままフェニに撃ち出された雷の魔法を食らってしまう。
スライムはバチバチと感電し、先程までうねうねしていた触手は地面へだらりと垂れた。
「どうだ?触手をみる限り効果はあるようだけど...」
コウが近づこうとすると急にスライムの触手がバタバタと周囲の地面を叩き触手を伸ばしてくる。
「ちっ!まだ動くか!」
コウは後ろへ後退し、伸びてきた触手を避けながらまだまだ伸びてくる触手をサンクチュアリで切り飛ばすがズリズリと本体であるスライムへと帰っていく。
「埒が明かないな!水球!」
コウは水球を目の前に3つほど作り出し、撃ち出すが直撃したスライムへのダメージは無く、寧ろコウの打ち出した水球を吸収して一回り大きくなり、回復している様にしか見えない。
「はぁ!?水の魔法は吸収するのか!相性悪すぎるだろ!」
コウの水球を吸収し、回復して更にスライムは体を大きくなった為か触手の数を増やす。
「フェニ!絶対に触手に捕まるなよ!上空へ逃げろ!」
「キュイ!」
フェニは触手が届かない上空へと逃げるとスライムは諦めたのか今度はコウへと標的を変え全ての触手を向けてくる。
「やっぱり俺に来るよな...水が駄目なら氷でどうだ!氷槍!」
氷の槍をスライムの核へと打ち出すと伸ばしてきた触手を自身の体に戻し氷槍を受け止めようとするが勢いは止まらず貫くように吸い込まれ、スライムの体に当たるがスライムの核は中心部から動き、ただ体に穴が空いただけだった。
そして空いた穴もすぐに塞がり、何もなかったように触手を伸ばしてくる。
「核は体の中を移動できるのかよ!」
コウは伸ばしてくる触手を斬り伏せたりして全て避け、再び距離を取る。
(どうする?魔法も斬撃も効かない...なにか方法はないか?)
本来ならば火の魔法でもあれば切り飛ばした触手を燃やし少しずつスライムの体を削る事ができるのだが、コウは残念ながら水の魔法と氷の魔法しか使えず火の魔法も種火程度だ。
スライムは近くにあるコウの打ち出した氷槍を触手で掴み体の中へと取り込んでいくと体の中で氷槍は溶け、更にスライムは巨大化していく。
スライムはコウの水球を喰らい吸収できたことを理解したらしく、コウの氷槍も自身の力と変えれるのではと思い氷槍を吸収してみたようだ。
スライムの思惑通り更に大きく成長したためコウの上質な魔力で作られた氷槍は思った以上の栄養剤のようだ。
(俺の魔法は更に使うとあのスライムの成長に繋がってしまうからもう使えない...クソ!)
コウは考えていると上空から雷の球体がバチバチと鳴らしスライムへと飛んでいくのが見える。
あれはフェニが打ち出した魔法に違いない。
雷の球体がスライムへと直撃するが最初に当たった時ほどダメージは無く、少し動きが鈍ったぐらいだろうか。
しかし痺れが取れたスライムは何事もなかったようにコウへとずりずり近づいていく。
近づいてくる目の前の巨大化したスライムに少しだけコウは違和感を感じ取る。
(ん?あのスライムから俺の魔力がまだ残ってる感覚があるな...もしかしたらあのスライムをまだ殺せるかもしれない!)
コウは1つだけスライムを倒す方法を思いつきそれを実行するのであった...。
ここまで見てくださってありがとうございますm(_ _)m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます