第30話
次の日コウは朝早くにギルドに来てボードに貼ってある依頼を漁っていた。
前日は寝過ごしたせいか遅めにギルドへ来たため中々良い依頼はなかったが今回はそれなりに収穫はあった。
「よし。これいいな」
コウが手にした依頼には鉄鉱石の運搬、食材の運搬と2枚の依頼書を手に取り依頼書の内容をしっかりと確認していく。
依頼書の内容としては時間が鉄鉱石の運搬は午前中、食材の運搬は午後からだ。
報酬は全て銀貨5枚となっており昨日の報酬の約3倍と思うと笑みが溢れる。
すぐさま受付に持っていくとサーラとは違う受付嬢が今日は受付をしていた。
「あらおはよう新人さんかしら?でも依頼2件も大丈夫?しかも君結構細いから運搬系はキツそうに見えるけど...」
受付嬢の見た目はサーラと違い紫色の長髪でおっとりしたお姉さんのようだ。
「問題ない。運搬ならいくらでもできる方法があるからな」
自信満々に答え受付のお姉さんは苦笑いしながら書類の手続きをしていく。
実際はコウにとって運搬などは収納の指輪の中にしまい別の場所に出すだけなので何も問題はないし寧ろすぐに依頼を達成してしまうだろう。
「あら?あなたがコウ君なのねサーラから期待の新人って話は聞いてるわよ。私の名前はミラっていうのよろしくね」
コウのギルドカードを確認しミラと名乗った受付のお姉さんは握手のためか目の前に手を出してくる。
「あぁサーラの知り合いなのかよろしく頼む。そういえばサーラは居ないのか?」
コウも手を前に出し握手を交わしサーラが居ないを聞く。
「えぇサーラとは同期なのよ。あの子、今日は休みだからゆっくりしてるんじゃないかしら」
どうやら今日サーラは休みらしくギルド内には居ないようだ。
「そうか。まぁ取り敢えず依頼をこなしてくるよ」
手をヒラヒラさせながらコウはギルドの外に出て朝からの依頼、鉄鉱石の運搬場所へと肩にフェニを乗せ移動する。
依頼の場所は鍛冶場となっていて職人たちがせっせと働いており、かなり忙しそうだ。
中心には指揮をしている親方のような存在が居て色々と周り大きな声で指示を次々と飛ばしている。
「おらぁ!急げお前ら!納品の...っとなんだ坊主どっからきた?」
コウの存在に気づき親方は話しかける。
「ギルドの依頼できたコウだ。よろしく頼む。運ぶ鉄鉱石はどこにある?」
「あ~そうか依頼できたのか...というかお前は細いし大丈夫かよ...。取り敢えず外の倉庫にある鉄鉱石を溶鉱炉の近くまで移動させてくれ」
親方はコウの見た目を見て正直ガッカリしたような表情をする。
それもそのはずだ。コウの見た目は細く子供のような感じであり、肉体労働に向いてるとは思えない。
「わかった外の倉庫にある鉄鉱石を溶鉱炉の前だな。すぐに移動させる」
コウは外の倉庫まで移動し中を見ると山のように鉄鉱石が置いてあった。
「取り敢えず収納の指輪の中にぶち込んでいくか」
コウが手をかざすと収納の指輪の中に鉄鉱石がどんどん吸い込まれていく。
すっかり空になった倉庫を後にして溶鉱炉の前まで移動すると収納の指輪の中から少しづつ鉄鉱石を出していく。
「おーい!どれくらいの量の鉄鉱石を置いておけばいいんだ?」
「あぁん?なんも持っていねぇじゃねぇか!倉庫にあるやつ全部だよ!」
倉庫にあるやつ全部と言われたので収納の指輪から鉄鉱石をどんどん出していくと親方の目が丸くなっていく。
「これで倉庫の中の鉄鉱石は全部だ。他に運ぶものはあるか?」
全ての鉄鉱石を出し切り親方に他に運ぶものはあるかと尋ねる。
「い、いやこれで十分だ。こんなに早く仕事を終わらす冒険者は初めてだよ。最初はお前さんの見た目にガッカリしたが人は見た目だけじゃねぇんだな。コウだったか?ほらよ!依頼の終了書を持ってけ!」
コウは依頼の終了書を親方から渡され本来ならかなり時間がかかるような依頼を一瞬で終わらし、次の依頼までかなり空き時間があるため街をぶらぶらすることにした。
カフェが多くある通りを歩いているとふと見慣れた顔がこちらに手を降っているのが見える。
「なんだサーラか」
「もぉ~なんだじゃないよ~コウさんは今何してるのかな?」
「依頼が終わって次の依頼まで暇だからぶらぶらしていたんだよ」
ぶらぶらとしているとカフェでゆっくりしているサーラにコウは出会った。
次の依頼まで時間があるためサーラと少しお茶をしていくのも悪くないと思いサーラの座ってる席の空き場所にコウは座る。
「そういえば昨日の話したゴブリンの対応はどうなったんだ?」
コウは昨日サーラにゴブリンの対応はどうなったかを聞くとサーラが少ししょんぼりとした表情になる。
「それがですね。昨日話してくれた情報を副ギルド長に話したら新人冒険者の言うことなど信頼はできないと...Bランク冒険者を1名ゴブリンの対応としてお願いしたのですがCランクパーティーで十分と言われまして...」
Bランク冒険者が1名対応として出てくれれば最悪ゴブリンキングが出現していたとしても十分対応できると思いサーラはお願いしたのだが上の判断は少しでもコスト削減のためかCランクパーティーでの対応としたようだ。
「なるほどな。まぁCランクパーティーでも対応できるらしいんだろ?だったら問題ないじゃないか」
「それはそうなんですけど...なにか嫌な予感がするんですよねぇ...」
「まぁ後は上司に任せておけば良いんじゃないか?」
「う~ん...コストなど気にせず安全を気にしたほうが良いと思うんですけど...」
コウとサーラは暫く雑談した後に依頼の時間が来たためコウはカフェの通りから離れ次の依頼の場所まで移動し依頼内容を聞くと購入した食材を倉庫に積み込んでほしいとの依頼だったため先程と同じように収納の指輪の中へ入れ倉庫へすぐに移動させるだけで今日の仕事が終わったのであった...。
ここまで見てくださってありがとうございますm(_ _)m
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