第2話 3月11日、夜勤と扇風機。
ドドドドドドドド、まるでベッドと壁から太鼓を連打された、そんな突然の振動で飛び起きる。
自分は直感的にヤバいと感じた。これは地震、とてつもなくデカイと…。
頭の中で中学生の時の理科の教師が初期微動と主要動の説明を笑顔で咄嗟に浮かんだ。
「死んだな…」思わず口先から出た。
周りには誰も居ないが人間独り言ってのは自然と出るものだ。
頭の中は、諦めているのに自分の手は布団を頭から被り、布団の中、仰向けで顔面を庇っていた、直後。
ガターンガターンガターン、ビシビシビシー。
轟音と同時にベッドのマットレスを左右に振りまわされている感覚に襲われた。
布団の四角を男4人に掴まれ、左右に転がされる感覚とでもいうのか。
ヤバいのはわかっているのにどこか他人事のように感じた。
何故夜勤、自宅にて布団を被ったかと言うと東日本大震災より前、平成17年にも大きな地震があったのだ。
その時頭上には壁掛けの扇風機が設置してあり夜勤明け、夢の世界に居た自分の頭に落下、失神しかけた経験があったからだ。
対策したとはいえ掛けっぱなしにしていたので、地震の時の対策は。(布団を被る)だったのだ。
当時怪我人は0なんてテレビのアナウンサーが言ってたがこんなのは嘘と母親とテレビのアナウンサーに文句言ったものだ。
一階に降りるとリビングで母親が買ったばかりの液晶テレビにしがみついていた。
あまりに間抜けなその姿に
「どうしたの?」
としか言えなかった。
「テレビが倒れそうだったから押さえてた。」
と、誇らしげに語る母親を見て、自分もどこか世間ずれしていると当時感じたものだ。
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