第八考「物語の始まりを考える① 始まりに情景描写は必要か」

 はい。 と言う訳で、始まりフェチ状態の筆者が、「こう言う始まり方が一番ひきつけられる」と思った事を書いて行こうかと思います。

 あくまでもこれは私が物語りの読み始めで感じた事で、「こう言う始まり方が引き付けられるんだよなー」と思った事を、皆様の参考にしてもらおうと言う事で、書き綴って行こうと思います。

 勿論、これが必ずしも正解とは言いませんが、一つの方法として、心のどこかに留めて貰えれば幸いです。


 と言う訳で、タイトルにあるとおり、「始まりには情景描写が必要か」に提起して話を進めて行こうかと思います。

 個人的意見としては、序盤の情景描写は必須です。

 他の創作論で、一番必要なのは人物描写だと、情景描写はその後で良いと言う意見もありました。 ですが、やはり情景描写は序盤に持ってくるべきだと私は考えます。


Q、何故か

A、物語の始まりで、読者は無の状態から読み進める訳です。 そこがどう言う世界なのか、簡潔に冒頭部分で読者に示す事が、もっとも重要だと思います。

 最近発売されたFF7のリメイクもそうです。 一人の少女が路地裏から始まり、町並みが写され、そしてタイトルと共に引きの風景が写る。

 そして列車が駅に着くとともに主人公が登場し、物語が進んで行きます。

 これが例えば、いきなり何処だか分からない作戦会議みたいな会話や、主人公の事を延々堀下げて始まったとします。 そこがどういう世界なのかが分からなければ、その人物像を明確に想像しにくいと思いませんか?

 そこが職場なのか、学校なのか、王宮なのか、戦場なのか、どっかの村なのか。 それによって、主人公の思考が何故そうなっているのかが、後からの情景描写が入ったとしても、「ああ、だからか」に読者がなってしまう訳なんですよね……

 つまり、「ああ、だからか」って思うまでは、読者は主人公に感情移入。 人物投影なんてできない、あくまでも第三者で進んでしまう訳なんですよね…

 だって主人公、登場人物が知っているはずのその世界を知らない訳ですから。


 なので、最初の書き出しは、簡素に纏められた情景描写から入った方が、個人的にはすんなりと物語の中に入って行けます。

 長くなくて良いんです。 ただどう言った場所に主人公が居て、どう言った世界観なのかが分かればいいんです。

 ただ、ココで気をつけなければならない事は、あまり長々と情景描写を書かない事です。 書くなら必要最小限に抑えましょう。 また、書くなら印象に残る情景を、そうすればより物語の中に入りやすいです。

 漫画に例えると、延々と背景のない漫画を想像してみてください。 何この虚無空間ってなりません? 何処での話しなのか分からないんですよ?

 漫画みたいに絵で読者に表現できない分、その情景描写の重要性は、結構重要になってくると思いませんか?


 勿論、そこまで拘る必要が無い種類の物語りもあります。 それが学園物です。 「○○高等学校」であったり「○○魔法学院」であったり、「制服」と言うキーワードだったり、学校と言う単語は案外それだけで情景描写になってしまうんですよね……

 そう言う場合は、簡素に「丘の上に建つ」だったり「線路の近くにある」だったりとか「海が望む」だったりとか、その学校の特徴があると尚良いです。

 それだけで、学校の印象が上書きされますから。


 大体、冒頭の情景描写の目安は5・6行くらい迄に纏めると良いと思います。 少ない分には問題ありません。 軽く触れる程度でも大丈夫です。 それ以上出したい時は、小出しに加筆して行きましょう。

 そうすれば、読者はその世界の中に入りやすいはずです。


 と言う訳で、今回は情景描写について書かせて頂きました。

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