第11話 探索

 オンラインショッピングが繋がって、風呂が出来て、寝る場所も確保出来てる。

 しかし、小太郎小屋を風呂場にしてしまったので、ハイエースの中で小太郎と寝るのは若干キツイ。

 何気に小太郎がデカいんだよね。重いし‥‥


 そんな訳で、ちゃんと家を作ろう計画!

 釘などの材料と、工具類もネット?魔法ネットか?それで入手出来そうなんで、ちょっと大きめの家を作りたいと思います。


 それには、先ず周囲の状況をもっと知った方が良さそうなので、周囲探索をします!

 何を今更?なんですが、今まで川にしか行って無いから他も確認しようと思って。


 川沿いの草むらにはネギとショウガっぽいのがあったから、もっと他の野菜とか、出来たら果実を入手したいね。


 家の場所と果実の生る木と景観を考慮して区画を考えたい!

 と、カッコ良く言ってますが、風呂場からの夕日にハマって、上手く出来たら良いなと考えた訳です。


 前回の探索では、川の周囲をウロウロして、スライムを連れて帰って終了でした!

 今では、雷神様のおかげで水路も引けたので、水汲みの作業は軽減されました。

 本当は水車小屋とか出来たら良いなぁ~と思ってるが、まだまだキャンプの域を出ない生活なので、地道に行こうと思います。


 折角異世界来たんだから、チートで最強でハーレムで‥‥‥

 なんて歳じゃ無いよね。

 自分の生活確立するのに精一杯な勇者なんて、俺が女だったら近づかないね!


「おーい!小太郎!行くぞ!」


「は~~い。」


 うん。小太郎は可愛い!可愛いは正義だな。


 今回は川下の方向に探索しようと思う。

 前回、川上に向かって滝の所で、人型のナニカが居たから、ちょっと怖い。

 小太郎が一緒に居れば良いが、単独で出会ったら詰むよな。


 なんせ俺は戦えない。

 血が怖い訳じゃ無いし、動物なら何とか戦うが、人型は恐ろしい。

 猿なら戦える。でも、未知の人型は怖い‥‥

 武器はバール。長さ120cmの長い奴。

 ちょっと重いが、安心の長さ。

 これで、岩や倒木も動かせるので便利に使っている。


 川に出て、川下に向かう。

 ずっと川下に向かって行けば、そのうち海に出るだろう。

 きっと途中で村や街にも出ると思う。川ってそんな存在だよな。


 この辺はまだ渓流から広くなり出した辺りなので、まだ上流と言っていいだろう。

 途中、川沿いではキイチゴやクワの実?っぽいのや、イチジクだろ?ってのを見つけた。

 まだ、歩き出して30分ちょっとなので、中々幸先良いと思う。


 手提げ袋に集めてから背中の籠に放り込む。

 小さい苗も見つけて集めていく。


 小太郎は、周りでチョロチョロと見つけた小動物狩っていく。

 ウサギっぽい奴や巨大なネズミ?みたいな奴を狩るんだけど、首にザシュッと一撃で血が噴水になってピューっと出るのがちょっと怖い。


 コライム君が血抜きしてくれるから良いんだけどね。

 そう、スライムのライム君は連れて来るには大き過ぎて悩んだ。

 でも、ライム君は俺の悩みを分かったようで、小さくフルフル震えだしたら分裂を始めて、小さいライム君が増えた。

 これにはかなり驚いたが、よく考えたらこういう生物って分裂して増えるよね。

 納得と言うか、そういうもんと理解して、小さいライム君を連れて来た。


 分裂といっても、等分に半分になったり4分の1に細胞分裂っぽく増えた訳じゃなく、小さく分けたカンジです。

 つき立てのお餅から千切って分けたような?そうやって分かれたから、後でまた合体出来るのかも知れない。


 小さいライム君は、手のひらサイズでカワイイ♪ 命名コライム君。

 今、ウサギ?の血を吸って赤くなってます。

 しかし、手のひらサイズのコライム君が一生懸命に血抜きをしてくれるのは非常に助かるのだが‥‥かなりの量を呑んでる気がする。

 血抜きを始めると、風船のように膨らんで真っ赤になる。

 明らかにコライム君の容積以上の血液を呑んでるよな?直ぐに風船の空気が抜けるように萎んで元のサイズに戻る。

 大丈夫かな?大丈夫なら良いけど‥‥


 真っ赤になったコライム君を横目に、麻袋に入れたウサギモドキや巨大ネズミを背負子に括り付けます。

 毎回、獲物が取れたら拠点に戻ってるから、あんまり気にして無かったんだけど。

 こういう異世界物でお約束なのがアイテムBAG。

 またはアイテムBOXだったり、収納魔法だったり?んで、そういうの無いの?

 探索でウロウロすると、やはり獲物や収穫物は邪魔になる。

 お決まりのお約束アイテムですが?


「小太郎。アイテムBOXみたいな魔法は無いのか?」


 小太郎は、はて?と言いたげな顔をしながら、

「う~ん?分かんな~い。母様に聞けば知ってるかもね~。」


 そうか、戻ったら風神様に聞いてみよう。


 そうやって川沿いを下流に向かって歩いていく。

 途中途中で川に降りてみて、淵になってる様な所を確認する。

 魚釣れるかな?沢蟹とか居るかな?食えそうな奴は居ないか?等と考えながら川に降りると‥‥


「あっ!!!」


 人型のナニカが、対岸の淵の大岩からチャポ~~ンッと水に消えた。


「こ、小太郎!!い、今の奴!‥‥」

 動揺して言葉が出てこない。


「今の~?中々捕れないよ~。直ぐに水に逃げちゃうから~。」


「いや、あれ、カッ、カッ‥‥」


「うん。カッパだね~。食べた事は無いね~。」

 小太郎は冷静に返してくれるので、狼狽えてる自分が馬鹿みたいである。


「カッパって、あの河童だよな?‥‥尻から生き胆を引っこ抜いたり、キュウリが好きだったり、河童の川流れの河童だよな?」


「さぁ~?どのカッパだか分かんないけどカッパだよ?」


 川には河童が居る。衝撃の事実である。

 古き日本の河川に居た河童が居ると言う事は、他にも魑魅魍魎の類が居るのでは無いか?思わず尻を押さえてしまった。


「こ、小太郎、籠も溜まって来たから、森を抜けて戻るか?」


「うん。そうだね~。」


 ビビってるのを小太郎に悟られないように、誤魔化して戻る事にした。


 これから川に出るときは必ず小太郎と一緒に出るよう、心に誓った。



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