第7話 繋がる?

 コカトリスを堪能して、みんな満足してくれたようだ。

 さすがにお茶を出す感じじゃないので、お皿に水を出した。

 小太郎曰く、汲んできた水が良いとの事なので、ちゃんと汲んできた水ですと断ってから出した。


 食後の話し合い。

 ぶっちゃけ、小太郎が無理やり一緒に飛ばしてしまった。

 あっちとこっちじゃ生活が違いすぎる。

 さっきの食事だけでも差が歴然としている。

 生活レベルを埋めるには、あっちの(俺が居た世界の)物資を調達できないか?


 そこに全てが掛かってくると思う。

 小太郎の言うカリカリもご両親はご所望だったが、これは小太郎が死守した。

 でも、一口だけと言う約束で分けていたが、彼らは衝撃を受けていた。

 あっちの物資を調達できたら、カリカリも進呈すると約束した。


 あっちのドックフードの充実ぶりを小太郎は滾々と説明していた。

 小太郎にこんなボキャブラリーがあったのかと感心する勢いで、美味さや種類の豊富さ、あんなのやこんなのと俺が食いたくなる勢いで説明してた。


 その説明と、実際に一口貰った美味さで彼らのやる気に火が付いたようだ。

 日本の物資をこの手に!


 手段はよく分からないが、何とかなりそうだと聞いたのは20日も経ってからだった。




 それまでは、やはり食欲恐るべし!

 コカトリスの後は、なんとかボア?‥‥キングスボアだっけ?

 デカい猪を持って来たんで、血抜きはスライムのライム君(名付けた)に頼んで捌いて分ける。

 ロース、バラ、ヒレ、モモなどの有名どころは良いが、カシラも絶品だし、レバーは良いがハツはイケるのか?豚足もテビチにするにはデカいなぁ‥‥ミミガーとか色々考えるものの、そんな物は自作した事無いし、もっと分かってから試行錯誤しようと思う。


 河原前の草原で、ショウガやネギっぽい草を見つけて、肉の臭み抜きに大いに役立っている。

 ミツバチ?っぽい蜂の巣を捕獲して、木箱に入れてみたりしたし、蜂蜜を期待して木箱を並べて作ったりした。


 大鍋で鳥ガラスープを作ったら、匂いで森中の狼が集まって来て、く~ンく~ンとせがまれた。

 先頭に雷神様が並んでるんじゃ誰も責められんわな。

 つか、並ぶなよ。

 コカトリス肉を大量にぶち込んで、コカトリススープを振舞うことにした。


 でも、犬って、ネギ系の野菜はご法度じゃないの?

 フェンリルには関係ない?でも狼たちは?そんなスープに入れるような量じゃへでも無いと‥‥でも良いのかい?

 ちょっと心配になっちゃうよ。


 食ばかりじゃなく、住の方だが、ハイエースを川の近くに移動した。

 川の近くの森の中。

 周りの樹とハイエースを繋いでブルーシートを張って、雨の日でも煮炊き出来るようにしてトイレも作った。

 トイレはさすがにライム君にお願いは出来なくて、深い穴を掘ったよ。


 いつの間にか別のスライムが住み着いてたのは見なかった事に‥‥

 お陰で、トイレ兼生ごみ処理場となっている。

 匂い無し、廃棄物無しのエコノミーエコロジーです。


 ライム君は自分の分が減って、ちょっと不満そうです。

 それでも美味しいとこはあげるから。

 血抜きはライム君だけでしょ?って言ったら、ご機嫌になっていた。

 言葉分かるんかい?‥‥謎だ。


 さすがに衣の方は何ともならん。

 裁縫すら出来ないのに、服を作るなんてとんでもない!

 それでも獣の毛皮を剥いで、鞣して‥‥これが大変だった。

 毛皮の裏の肉や脂肪をこそぎ取り、綺麗な水で洗って、本当はミョウバン水に暫く漬け込むんだっけ?そうしないと臭くて使えないみたいだ。


 ミョウバンは温泉地などにはあるみたいだが、見ても分からないしなぁ。

 それでも河原で透明っぽい石を探して、試しに焼いて湿らせて見るとポロポロになった石がある。

 これがそうか?ガラス?って石英だっけ?う~ん分からん。


 ダメ元で、水に入れて鞣した毛皮を漬け込む。

 混ぜながら4、5日様子を見よう‥‥どんな状態が正解か分からないので、腐ってしまったらライム君ヨロシクだね。


 これが本当にミョウバンだとしたら、沢山拾い集めて来よう。

 しかし、そんな石が河原にあるって事は、上流には温泉があるのかも?

 今度、上流に探検に行こう!目指せ温泉!


 4日経って、我慢できずに取り出して洗う。

 ブラシで毛を整えて、木と木の間に引っ張って張り付ける。

 乾いてから使えるか考えよう。


 小太郎は興味なさげにあくびをしている。


 しかし、思った以上に綺麗に出来たので、またブラシをかけて裏から叩いたりして柔らかくすると、敷物にするくらいには出来た。


「小太郎。お前の布団にどうだ?」


「えっ!?良いの??ご主人~ありがと~♪」


 予想以上に喜んでくれた!

 自分には関係ないって思ってたんだね。

 ハイエースの隣に作った小太郎小屋に持って行って、毛皮の上でゴロゴロと匂いを付けまくってたから、嬉しかったんだね。




 そんな時に風神様と雷神様がやってきて、俺のいた世界と繋げられるかも?

 しかし、俺が帰れる訳じゃない?

 ん?どう言う事?


 ハイエースの床に風神様が爪で魔法陣?の様なものを描いている。

 これでハイエース内の一部空間だけ繋がる?

 んん?どういう事だ?

 通販できる?ネットショッピング?の空間転送?

 特定空間の取引だけは繋がる。対価は特定空間に置くようにする。

 交換で希望の品が入る。

 対価の量は表示される。

 不足分も表示されるが、対価を置けない場合はキャンセルとなる。


 繋げるに当たって、こちらの世界に有るあちらの世界のもの。

 その空間。そうするとハイエースの中が一番空間が広い。

 また、その空間以上の物は取引出来ない。


 ん~‥‥ハイエースに給油したりできるのかな?

 部品買ったり出来るのかな?

 一番切実なのは、燃料とバッテリーだから、それが補えるならこんな嬉しい事は無いよ?ただ、こっちの世界でハイエースを乗り回すことは出来ないよな。


 順に色々検証してみようか?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る