勝手気侭にキャンピング生活。
三六三
第1話 出会い
何処か遠くへ行きたいな〜。
もう40も過ぎたし、独身だし、仕事も真面目に勤めてて貯金も有る。
これが結婚して子供でも居たら、こんな貯金は出来なかっただろうな。
工業高校を卒業して、それなりの上場企業に就職してから早20数年。
それなりの立場とそれなりの給料で、人間関係もそれなりで、可もなく不可もない。
平凡な人生だと思ってる。
何人かの女性と同棲したりもしたが結婚はしなかった。…出来なかったじゃ無いよ?
まあ、結婚するつもりで家買ったりもしたが、彼女の浮気が発覚。
色んな言い訳と逆ギレの果てに俺が悪者扱い?
で、結婚もしてないのに慰謝料請求されたが、現代社会でそんな不条理を通させる訳もなく、きれいサッパリ居なくなって貰った。
‥‥バイバイ。
買った家は、新築一戸建てで駐車場も頑張って詰めれば2台停められる程度。
住む前に別れられたのは、幸いと言えば幸い。
35年の住宅ローンを抱えたが、女の収入を当てにして買った訳じゃないから何とかなるだろう。
一人になった事だし、一戸建てと言ったら犬だろう!これまで犬を飼える環境には暮らして無かったから、犬を飼いたい。
寂しいからじゃないよ?飼い犬を連れてキャンプに行きたい!
芝犬が良いかな?でも、血統書とかの拘りも無いので保護センターにでも見に行ってみようかな。
それとキャンプに行ける車を買おうと思う。
真っ先に浮かぶのはSUVだが、デカい割りに狭い気がするし、燃費は?ハイブリッドなら?…高いか?ネットであれこれ調べて見る。
そこで浮かんだのが、日本が世界に誇るベストセラー!。。。ランクルじゃないよ!
ハイエースが良いかな?四駆もあるし、ディーゼルもあるし。で、早速販売店に来て見ました。
店に入り、恐る恐るキレイなお姉さんに訪ねると、こちらをチラッと一瞥して
「どんな御用でしょうか?」
「ハイエースが欲しいので、商談お願いします。」
「…少々お待ちください。」
営業担当者を呼んでくれるようだが…
何だろ?ちょっとかなりカンジ悪い。
んで、出て来た営業もカンジ悪い。
ハイエース欲しいの?へぇ〜。
結構大きいですよ?運転出来ます?
え、見積もりですか?グレード分かります?
え、オプションも必要ですか?
買う気のある振りしてカタログだけ持ってく奴も多いんだよねー
‥‥‥
そんなんですか。
なんかガッカリして、もう結構です。
カタログも入りません。と、帰って来た。
帰ってから友人に電話して今日の話を伝えたら、えらい怒ってくれて、最初から俺に電話しろ!と、何故か俺が怒られた。…解せぬ。
まぁ、彼はハイエース売ってる販売店のお偉いさんだからね。
だって偉くなったら営業の一線から引くって言うから直接行ったんだよ?
その後、感じ悪かった営業担当者と受け付けたお姉さんから謝罪の電話が来たが、
「‥‥‥謝罪の必要は無い」と静かに切った。
その後、営業担当者が家に来たようで、ポストにカタログと見積もりと名刺と謝罪の文章が入っていたが、誤字脱字の汚い字で読めない‥‥
大体、アポ無しで他所様のお宅に訪問するなよ。
あ!俺が拒否ったのか。
何日かして、友人から飲みに誘われ、簡単な謝罪とカタログと見積もりなど、至れり尽せりの内容で後は色とグレードを決めてくれれば何とかするとの事だった。
飲み代まで持つってか!?
さすが!お偉いさんだけの事はある!
因みに、彼らには前々から多くの苦情があったそうで、営業担当者は再教育。…その後退職。
お姉さんは派遣だったのでチェンジだそうです。
ハイエースは2〜3週間ちょいでやって来るそうだ。
その間に、犬猫保護センターに行ってみる。
ちょうど、ワンニャン教室(譲渡前説明会)なるものが開催されると言われ、急遽参加する事に。
参加費は無料。
これに参加して無いと譲渡出来ないそうだ。
ちょうど良かった!
その後、譲渡可能な犬たちと面会。
この子が良い!と貰える訳はなく、マッチングやら何やらで連れて帰れるのは後日。
人気のある子はくじ引きになったりするらしい。
因みに、手数料がオス¥4000ちょいでメス¥8000ちょいだそうだ。
色んな子を見て回る。
そんな中、1頭だけ離れて様子を伺ってる子がいるので、職員さんに確認して撫でさせてもらう。
首輪に付いた名前はコタロー。
「小太郎か、良い名前だな。」
ペロッと手を舐めてくれた。
撫で撫でから、わしゃわしゃモフモフへと調子に乗ってたら注意されてしまった。…恥ずかしい。
出来たら、貰えるなら、飼うなら小太郎が良いな。
一応、この子が良いと予約をお願いしたら、他にも希望者が居るとの事。
だからくじ引きになるそうだ。
そして翌週、運命のくじ引き!
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥外れた!!
なんてこったい!せっかくコイツだ!と思ったのに。
職員さんにお礼を言って帰ろうとしたら、引き止められた。
少し時間が掛かるかも?だが待って欲しいと。
小一時間程待ったら、職員さんが小太郎を連れて来た。‥‥何故?と不思議な顔をしてたら事情を教えてくれた。
他に欲しがってた夫婦は、しょっちゅう来てて、やたらと人が欲しがった犬を横から欲しがるんだそうだ。彼ら自身は既に犬を飼っていて、犬が居るお宅に更に仔犬は難しいから遠慮してくれと言ってるのだが聞かないそうだ。
それも余り躾もされて無い犬で、そんな所に仔犬を連れて行ったら殺されてしまう。
だから毎回、くじ引き迄はやらせて里親不適合としてお引取り願うそうだ。
規則上無碍にも出来なくて困っていると。
そんな訳で小太郎はオレの所へ来た。
一緒に暮らすか?と聞いたら、嬉しそうにワン!と吠えた。尻尾振ってスリスリしてくれたので嬉しくなってしまった!
名前はそのまま小太郎でも良いし、変えても良いそうだ。小太郎に聞いたら、ワン!と頷いたのでそのまま小太郎が良いね。
仕草が言葉を解っている様で、話しかけるのが楽しくなる。
今日は一緒に帰れないけど、来週迎えに来るからなと言ったら、寂しそうにク〜ンだって。
こんな愛おしい、切ない気持ちになったのは、初めてかも知れない‥‥
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