10. 板野かもさま企画 #匿名キャラお見合い企画

 板野かもさま主催の自主イベントに参加しました。


【イベント開催ページ】

https://kakuyomu.jp/works/16818093085133939965


【イベントwikiページ】※男性キャラ一覧のページを掲載

https://w.atwiki.jp/tokumeicon/pages/361.html


【イベント内容の要約】

・キャラ作成での参加者は、予め用意したキャラクターの設定を提出する


・短編執筆での参加者は、wikiに掲載されたキャラクター設定を確認し、任意の二名をメインカップリングとする恋愛小説を執筆する


・短編小説の字数制限は1,500字以上、2,500字以内。ただし、メインカップリング以外でリストのキャラクターが登場する場合、一名につき字数上限が500字緩和される(最大5,000字まで)。


・デフォルトで作成できるキャラ数は、ひとりあたり二キャラ(男女各一名ずつ)までだが、短編投稿数やXでの感想投稿数などに応じて変動する




【イベントスケジュール】

 ◆応募受付期間・投票期間

・2024年9月18日~2024年9月22日(日):キャラクター事前受付期間

・2024年9月23日(月)~2024年10月6日(日):キャラクター継続受付&短編受付期間。

・10月7日(月)~10月13日(日):短編受付のみの期間。

・10月14日(月)~10月20日(日):最終投票期間。

・10月21日(月)以降のなるべく早い日:投票結果および作者名の公表。


【メモ】

 匿名コン「主催者の苦悩編」が終わった直後に爆誕した新匿名コン。あまりにも開催が急だった&相変わらずリアルの繁忙期が終わっていなかったので参加を一瞬悩みましたが、「私が恋愛ものを書くのが苦手なのは、そもそも恋愛向きではないキャラを主役に据えているからではないのか?」という仮説を検証する良い機会になるかと思い、参加を決めました。

 また、全員が同じキャラクターリストの中からカップリングを決めて書くので、「この組み合わせでこういう話の持って行き方があるのか!」という発見がありそうだという期待もありました。



【結果】


 ※これより下には、匿名コンの作者バレ及び作品バレが記載されております。匿名お見合いコンをあくまで「作者・作品の分からない状態で」楽しみたい方は、上記リンクまでお戻りいただき、コンテスト企画ページへ向かってください※




 ↓↓↓



 私は、コンテストにキャラ参加三名、短編参加三作で挑みました。

 内訳は、下記のとおりです。


 また、このコンテストの性質上「私が提出したキャラを主役に据えた作品」を書いてくださった方が存在します。そうした作品についても下に記します。


◆作成キャラクター※作成順に記載

女16. 天文 宇美(外見22)

男14. ジョナサン・マレー・陸(37)

女29. 両角 紅緒(29)


天文 宇美あまふみ うみ

 ごりごりに尖ったキャラクターを提出したろ、の精神で生み出したキャラクターです。普通アンドロイドは「未来から来た」という設定になりがちですが、あえて過去の古代文明が生み出したということにしました。そこから発想を広げて、クトゥルフ神話の世界観に登場するNPCという想定で書いてみました。


 というわけで、彼女の実年齢を「一万二千歳以上」としているのは彼女が作られた古代文明がアトランティスだから、という裏設定があります。そして彼女がタコを見て王様と呼ぶのは、神話の表題にもなっている某神をイメージしております(けっこうグロテスクな外見をしているので、検索注意です)。


 最近、クトゥルフ神話に興味を持ち始めたのでいずれシナリオを書いてみたいと思っておりますが、彼女はそこにNPCとして登場するかもしれません。クトゥルフ神話TRPGは、カクヨムで書いてよい二次創作として認められておりますので、もし書く機会がありましたら彼女がどんな立ち回りで出てくるのか、覗きにきていただきますと幸いです(※いつになるかはわかりませんが……)。


 なお今回の匿名コンでは、ごりごりに二次創作のキャラを出すのは不可なので、クトゥルフ神話とのつながりはかなりぼかしてキャラ設定を提出しています。ゆえに(おそらく)、期間内に彼女がクトゥルフ世界の住人であると看破した方はいらっしゃらなかったと思われます。


 正直なところ、「とにかく尖ったキャラを!」というコンセプトで作成したので、彼女からどんな恋愛小説が生み出されるのかは全く想像もしていませんでした。


<ジョナサン・マレー・りく

 女性キャラを人ならざる存在にしたので、男性キャラは現実にいそうな人間にしようと思い作成しました。リアル知人の属性を複数人ぶん含有したキャラクターです(アフリカ人の父と日本人の母を持つハーフ、東証プライム上場企業に勤めるアラフォー社長秘書、実写版力石徹な友人の三名の要素を少しずつ入れました)。


 なお、彼の名前を考える際にwikipediaの「南アフリカ共和国出身の有名人」のページを検索していたところ、かの有名なイーロン・マスク氏が南アフリカ共和国出身であることを知り驚きました。20へぇ案件です(←世代がばれる)。


 リアルに寄せたキャラ(のつもり)ではあるのですが、あえて意識したポイントを挙げるとするならば「BLにも対応できるキャラ」にしたという点があります。今回の匿名コンはキャラ作成者が許容する場合、同性カップリングありということだったので、せっかくであれば自キャラがBL起用される所を見てみたいと思ったのです。


 社会的ステータスが高めで、男女関係なく包容力を発揮しそうなタイプにすることで、男女どちらのカップリングでもいけるように努めました。もっとも、私自身がそこまでBLに詳しくないので、「BL書きさんから見て扱いやすいキャラ」になっているかは不明瞭なのですが。


 彼の設定に関してひとつ反省点があり、実在の人物に寄せた結果年齢を高くしすぎました。すでに出ていたキャラ設定を見ずに作成した結果、アラフォーの男女が他にいないということに提出してから気付きました……しかもこの年齢&スペックで未婚となると、何か「わけあり」な感じが出てしまうな、と後で思いました。32歳くらいにしておいたほうが起用が増えたかもしれません(それでもやっぱり30代ではあるらしい)。


 なお、宇美と陸はほぼ同時に提出しているのですが、ふたりの名前が「海」と「陸」の対比になっていることに数日後に気づきました。ここからこの二人の作者が同一人物であると予想した方、残念ながら偶然です。


両角 紅緒もろずみ べにお

 短編を二作投稿したことで、キャラクター作成上限が緩和されたので「せっかく作る権利があるなら……」と思い作成したキャラです。追加キャラなので「他の方に彼女を主カップリングにした作品を書いてもらいたい」という下心がゴリゴリに入っています。


 私は昨年(2023年)のカクヨムコン長編部門で、ラブコメジャンルに挑戦したのですが主人公の男キャラ(並木大河という男子高校生)が恋愛に対して否定的な考え方の持ち主で、そのせいで全然糖度が高くならないという問題に直面しました。

 ゆえにこの作品は、「舞台設定には独自性があり見に来てくださった方の興味を引けたが、肝心のストーリーがカクヨムラブコメ読者層の求める甘さが足りなかった」という帰結を生みました。もちろんこの作品を評価してくださる方もおり、ありがたく思ってはいるのですが私の「現代恋愛ものが上手く書けない病」が表出しているように感じられて、作者としては歯がゆい作品となってしまいました。


 そこで、似たような思考回路を持つキャラクターをこの匿名コンに投入することで、「他の方ならどうやって糖度高めの恋愛作品に仕上げてくださるのだろうか?」というのを見てみたいという考えに至り、作り上げたのがこの紅緒です。


 作成経緯を考えると、男性キャラの方が私の勉強になりそうではあったのですが、既に提出済みの男性キャラ一覧を見ると、「恋愛に興味がない」系のキャラが比較的多めだったのでキャラ被りが懸念され、女性キャラにしました。また、今後純文学系の作品を書く際の参考にもなるかと思い(実は純文学系の公募に参加もしています)、年齢も少し高めに設定しました。


 恋愛よりも楽しいこと、優先したいことがたくさんある令和の女性が恋愛に意識を向けるのはどんなときなのか。そんな思考実験をしたく投入した次第です。


◆(私の)投稿短編

【No.010】令和のなよ竹姫は、大学生男子にご執心

【No.042】こたつのようなぬくもりを【BL要素あり】

【No.080】記念日に、ささやかなお祝いを


『令和のなよ竹姫は、大学生男子にご執心』

 この作品を書く時点で、メインキャラに据えたいタイプのキャラクターがいないかどうか探していた際に、目に留まったのが「男13. 花澤 風太(20) 」くんです。一見普通の大学生っぽくて、この時点で提出されていたキャラの中では常識人寄りに見えるのですが、設定をよく読むと二面性の存在が強調されており、またセリフサンプル「はい、1限目をサボるくらいなら最初から選択しなければいいと思っています」からして、リアルの彼はシニカルな思考をもっているように感じられました。現実を一歩引いたところから冷めた目で見ているタイプのキャラ、非常に私好みです。というわけでカップリングのひとりめは彼に決定しました。


 残るお相手ですが、しばらくキャラリストを見て気になったのが「男4. 夜鳥 繰流衛門(推定28くらい) 」と「女5. 弱竹 輝夜(公称22)」です。ふたりとも京都界隈がテリトリーとなっており、かつ胡散臭い大人という共通点があります。とりわけ面白いと思ったのが夜鳥さんのキャラ設定にCVの指定があったことです。この時点で提出済みのキャラの中で、CVが書かれていたのは彼だけでした。そしてそのCVは石田彰さん。夜鳥さんのスペックと容姿とこの声なら、間違いなく「敵か味方かわからない胡散臭い強キャラ(そして最終的にラスボスより強いとファンの間で噂される形の敵として登場)」であろうと考えました。せっかくなので夜鳥さんのこの強烈なキャラ設定を上手く活かしたいと思い、書き上げた作品が上記となります。


 舞台は弱竹さんと夜鳥さんがテリトリーとしている京都。花澤くんに出身地設定がなかったので、彼も京都の大学生ということにして、夜鳥さんと相性最悪な花澤くんがこれからいいくるめられ、巻き込まれ、そして愛は生まれるのか? というような物語(になる予定)の序盤を書きました。


 カップリングキャラ二名+サブキャラ起用一名のため上限は3000字でしたが、この時点で本企画の字数制限のタイトさに気づかされます。この字数で出会いから恋愛感情の芽生えまで描くのは難しい……だからこそ、「インパクトのある出会い」が表しやすい「女3. 銀音 雷香(21)」や「男5. ブレード・グランドゥール(18)」が序盤の起用回数が多めだったものと思われます。


 それにしても、三人ともかなりいい素材なので、もっと内容を練って長編で書いてみたいですね。そしてもうちょっとましなタイトルをつけたい。深夜テンションで書いたとはいえ、もっとセンスのあるタイトルにできなかったのかと自省しております(自キャラを起用してくださった皆様の、素晴らしいタイトルセンスを見ながら)。



『こたつのようなぬくもりを【BL要素あり】』

 陸をBLで起用してもらえないかな(チラッチラッ)と待っていたのですが、なかなか上がる気配がなかったので自分で書いてしまいました。おそらく二作続けて投下された陸メメカプの概念が強すぎましたね(ありがとうございます)。

 陸と組ませる相手は誰がいいかと思いリストを見ていたところ、同名の「男24. 原田 陸(25)」くんを発見し、そのあまりにも世知辛い設定から「これはBLでよくある(ような気がする)、不幸な身の上の少年が社会的にゆとりがあるが私生活がずぼらな大人に心身共に救われる話が書けそうだ」と思ったのでその方向性で筆をとりました。


 しかし、前述のとおり私はBLにあまり詳しくないうえに、自分で書いたこともないのでかなり手探り状態でした。頂いたコメントの中にも、「もっとじっくり描いたバージョンを読んでみたい」というお声がありましたが、まさしくです。

 出会いのシーンに特化した作品にする、と割り切って書いた『令和のなよ竹姫~』に対し、こちらは恋愛どころか人間なんてどうでもいいと思っている原田くんが、「人間といっしょにいるのも悪くない。でもその人間として許せるのは陸(ジョナサン)だけだ」と思うところまでを書かないと恋愛ものとして成立していないと考えたので、途中の話をかなり端折らざるを得ませんでした。


 結果、「行間はみなさまの想像力にお任せします」というスタイルになってしまいました。BLは初心者がぱっと書けるものではないと思い知りました……もうちょっと勉強してから出直してきます。


『記念日に、ささやかなお祝いを』

 短編投稿最終日に、ふと「途中から魔法少女やら特異能力持ちやらが繋がり作品で存在感を放つようになった結果、ファンタジー要素なしの現代学生恋愛ものが思いのほか少ないな」と思い書いてみることにしました。


 そして、ちょうどそのタイミングでXのフォロワーさんが「肉まんを半分こするようなほのぼのシチュエーションカップルが読みたい」と呟かれていたので、そのシチュエーションで書くことを決めました。


 シチュエーション的に、部活帰りの高校生がしっくりくるかなと思いつつキャラクター一覧を眺めていたところ、「メインとしての起用回数が少なめな学生」として目に留まったのが薊さんと榊くんでした。もとい薊さんの姉に起因する男嫌い、榊くんの過去の恋愛トラウマもちがフィットしそうな気配を感じ、かつ榊くんには兄がいるのでその辺りの話も生かせそうだなと感じました。何より、榊くんの「無表情だが無感情ではない。親しい人の前では表情豊か」というのがものすごく恋愛ものに刺さりそうな予感がしたので、採用させていただいた次第です。


 ふたりとも大学一年生だったので、高校生ではなく大学のサークルで知り合い、ゼミも一緒(この辺り詳しく書けませんでしたが)の友人同士という形で話を進めることにしました。このふたりの会話のテンポ感や榊くんの心情描写は、私が割と書きなれている文体で書いたこともあり三作の中でもっともスムーズに書き進めることができました。


 そして、最終日の駆け込み提出作だったにもかかわらず、多くの方からコメント、賞推薦をいただき嬉しかったです。

 


◆(他の方が私の作成キャラを使って)投稿してくださった短編


<天文 宇美の登場作品>※はサブキャラとしての登場

【No.032】水底で、人の真似事

【No.088】夜空に浮かぶ美しい星から


※【No.009】CPしないと出られないお見合いサバイバル

※【No.039】殺し屋、元殺し屋になる (絹傘秋水✖️弱竹輝夜)

※【No.041】「好きなものを好きだと言いたい」愉快な仲間たち

※【No.066】甘さ控えめなあなたに特別なケーキを


『水底で、人の真似事』

 他の方もコメントされていますが、タイトルセンスが最高です(ナイスタイトル賞、受賞おめでとうございます!)。また、宇美と親和性の高い水が多い場所として、水族館をデートスポットに選んでいるのも雰囲気があって好きです。

 そして何より、人間の恋愛感情が理解できないふたりの対話に強い説得力がありました。ともに、ふたり(宇美と絹傘さん)の今まで生きてきた経験から出てきた言葉であることが感じられました。

 物への執着から人への愛着へ思考を動かすという発想がとても好みでした。宇美の設定を綺麗にくみ取り、昇華してくださりありがとうございます。


『夜空に浮かぶ美しい星から』

 宇美はアンドロイドなので、SF設定もいける口ではありましたが追加枠にてついにごりごりのSFもののメインカプとして登場! こちらの作品、今まで書かれてきたすべての物語がここに収斂するのではないかと思わされる、壮大な世界観であり『地球幼年期の終わり』や『ターンエーガンダム』が好きな私にはゴリゴリに刺さりました。


 そして、「記憶喪失だから何気ないやさしさを発揮し、相手が癒される」というふんわりした登場をここまでしていたユキトラ氏とのカップリングが最高でした。ユキトラ氏が記憶喪失前は極めてシリアスな空気を纏ったキャラで、宇美の願いによって現代日本に送り出されたと考えると彼に対する見え方が全く変わりますね。本作を読む前にキャラ投票を済ませてしまったので(かつ、本来の投票期間後に投稿された本作で語られた未来を前提として、それ以前に投稿されたユキトラ氏の繋がりを起因とする評価をしてよいものか? という疑問もあったので)票は投じていませんが、私の中の彼の評価はぐっと上がりました。


 また、宇美と同じくクトゥルフ世界の住人と思われる有利さんとの共演も嬉しかったです。神の戯れで造られた宇美と、神そのものである有利さんには能力に雲泥の差があるのですが、その差が活きていて「こういうクトゥルフ神話も見たい!」と思いました。

 SFとしてもクトゥルフ要素としても楽しめる、私好みの作品でした。


※『CPしないと出られないお見合いサバイバル』

 初日にこの作品が出てきてびっくりしました。この時点で提出されていた全キャラを登場させるその手腕、ただものではないッ! (当初の予想通り、主催者である板野さんの作品でした)

 というわけでここまで出てきた全キャラが誰かしらとカップリングを組むお話です。陸も出てくるのですが、名前だけの登場ですのでここでは宇美に絞って書かせていただきます。

 このサバイバルの条件を提示するくだりで、宇美が効果的に登場します。ちょっとかわいそうな出方ではありますが、ここまでの提出キャラ内にアンドロイドがいなかったことで、他キャラとの明確な差別化を図ることができました。その特徴をわかりやすく示してくださったことに感謝しております。


※『殺し屋、元殺し屋になる (絹傘秋水✖️弱竹輝夜)』

 宇美、キーホルダーを殺し屋に直してもらおうとするんじゃありません。


 それはさておき、『水底で~』では宇美のカップリング相手だった絹傘さんが、こんどは弱竹さんとのカップリングになっているのが新鮮です。こういった現象が起きるのがこのコンテストの面白いところですね。しかし絹傘さんが殺しに失敗して、その相手が特殊すぎて流される……というくだりは『水底で~』と類似しており、やはり絹傘さんに合うのは「殺せない相手」なんだろうな、と思いました。

 おそらくこの作品世界での宇美は、マイペースにひっそりと生きているのだろうな、と感じさせられます。ちょっとだけ出てくる宇美の生きざまを想像するのも、キャラ作成者の楽しみのひとつです。


※『「好きなものを好きだと言いたい」愉快な仲間たち』

 ここでもまさかの絹傘さんと宇美の共演(※ふたりとも脇役)。違う世界線の四作で一緒に登場するとは、やはりこの二人はシナジーがあるのでしょうか。とはいえ本作では直接の接点は無し。もしかしたら裏で関わりがあるんじゃないかとか、セバスチャ……加賀さんが絹傘さんに依頼したと見せかけて、実は宇美が人間を守るという基礎能力によって危険を察知し、絹傘さんに伝えていたのではないかとか、妄想が捗ります。

 宇美はきっと、自分は若いと思いつつも周りからの言動を鑑み、「大人」ではあるという意識でいるので、「お子さまセット」を大人も頼んでよいと知ったのは新鮮な驚きだったと思います。

 加賀さんが持っているくーたんと、みなちゃんと宇美が持っているすたんをきっかけに、この三人が出かけ先で鉢合わせるたびに会話を弾ませ交友を深める展開が見てみたいです。


※『甘さ控えめなあなたに特別なケーキを』

 宇美、サブキャラとしての人気が高いですね。特に「海にまつわる小物を身につけている」設定がサブキャラとしての登場作では活きているように感じました。本作ではそれが顕著です。

 ここにきて初めて、絹傘さん未登場のお話ですが、まさかの紅緒との共演! これはひときわ嬉しいです! 絶対同じ世界で生きていないだろうなと私は思っていたのですが、紅緒が自分と比較して落ち込む対象として出てきたのには驚きました。紅緒、安心しなさい。そのひと人間じゃないから。


 しかし宇美は身元が怪しいので、土谷さんがどういう経緯でカフェに雇ってくれたが気になりますね。宇美の身分偽装に気づかず(記憶操作をされて)ただのバイトとして雇っているのか、あるいは偽装に気づいたが、彼女の身の上に同情して雇ってくれたのか。後者だとしたら土谷さん×宇美のカップリングも成立し得そうで気になります。


<ジョナサン・マレー・陸の登場作品>※自分で起用した作品を除く

【No.027】メェメェ鳴くのは愛ですか

【No.033】美味しい朝食をどうぞ


『メェメェ鳴くのは愛ですか』

 メェメェさんの声を食べる設定の相手に陸を選んでいただき、ありがとうございます! ちょっとこのカップリングは想定していなかったのでびっくりしましたが、確かに陸は「女性に初対面で怖がられる」から彼女ができないだけで、陸自身は女性嫌いではないので逆に押せ押せで来られたら弱そうですね( ´艸`)


 メェメェさんの一目(耳)ぼれと言っていますが、陸が何と言った言葉にほれ込んだのか、その瞬間のメェメェさんの心情描写も気になります。このお話の前後が見てみたいです。続きを、是非……!


『美味しい朝食をどうぞ』

 まさかの同一カップリングでの二作目。なぜでしょう、陸にイケボ設定を書いていたかなとwikiを見返したのですが、私はそうした設定は記載しておりませんでした。しかしたぶん陸はイケボだと思います。なぜなら私が低音イケボの男性キャラが好きだからです←。そして声を食べるメェメェさんのお食事相手として二回も選ばれるくらいですから、やはり陸の設定を見た皆さまも「彼はイケボなんだろうな」と想像してくださったのかなと推察します。文章外での解釈一致、嬉しいです。


 感情のこもった良い声で名前を呼ばれるとたまらなくなる。それがメェメェさんの設定によってエロすぎず、それでいて糖度は高めに描かれており素敵です。また、サラダラップで始まりサラダラップで終わるお話のまとめ方が綺麗です。2,500字でここまでの情報量をまとめあげていらっしゃるのは短編作成力の高さを感じます(見習いたいです)。

 また、陸の基本的には常識人だが、ちょっといたずら心も持ち合わせている設定がちょこちょこと反映されていたのも嬉しかったです。ありがとうございます!


<両角 紅緒の登場作品>

【No.066】甘さ控えめなあなたに特別なケーキを

【No.067】両角紅緒の好きなところ発表ドラゴンが両角紅緒の好きなところを発表します

【No.078】運命の歯車は真実の音を刻む

【No.084】悪魔と暮らす最初の一日(加賀美智彦・両角紅緒)


※【No.075】結婚願望が強くて悪いのですか

※【No.086】あの日の恋のリスタート(松蛇愁×霧島春乃)


 紅緒は終盤の追加キャラなので、なかなか書いていただくことが難しいかと思い「匿名トーク会場」で起用をストレートにお願いしてしまいました。終盤ずっとクレクレ野郎と化しており申し訳ありませんでした。即、応えてくださった皆様に深く御礼申し上げます。四作も書いていただけるとは思わず、感涙です。

 前述のとおり、「皆様が書きやすいように」という想定で作った宇美と陸とは違い、紅緒は「私が上手く設定を活かせないので、他の人がこのキャラをどう動かすかを見て、活かし方を学びたい」という完全な私利私欲のもと投じたキャラだったので、非常に学びになりました。やはり私には恋愛もののレパートリーが乏しすぎるなと実感しました。。


『甘さ控えめなあなたに特別なケーキを』

 相手役の二ノ宮くんが惚れっぽい設定なので、紅緒としてはちょっと手伝っただけのつもりがすっかりなつかれてしまい、押しに押されて付き合ったというくだりに納得しました。あれ、今思うと私が作成したキャラ、みな押しに弱い?


 押しに押された結果ほだされて、尖っていたであろう紅緒が丸くおさまったさまがみられてよかったです。きっとこの世界の紅緒は、二ノ宮くんを通じて恋愛感情を知り、彼に思いを少しずつ返していくのだろうなと想像しました。途中のお話および二ノ宮くんサイドも見てみたいなと思いました(お姉さんがいるようなので、きっと紅緒がらみで散々いじられるのでしょうね( ´艸`))。

 また、宇美を同じ世界線に登場させてくださり、ありがとうございます。二人の間の緊張を生むスパイスとしてうまく機能してくれていて嬉しいです。



『両角紅緒の好きなところ発表ドラゴンが両角紅緒の好きなところを発表します』

 普段家を空けている(自称)冒険家とのカップリング! 確かにこれなら、自分のペースを大事にしたい紅緒の信念を揺るがせず、かつふんわりと距離を縮められそうですね。

 『甘さ控えめな~』が紅緒目線だったのに対して、こちらはお相手の東雲くん目線なのもまたよいです。wikiでは恋愛遍歴がヒミツ♡となっていますがおそらく紅緒よりは恋愛経験がありそうなので、彼女の「恋人と呼ぶには踏み込んでこない感じ」にもどかしさを覚えているのだろうなというのが伝わってきます。そしてそのもどかしさを抱いてしまっている時点で、だいぶ情が移っているというのが感じられて微笑ましいです。

 この紅緒、私がイメージしていた紅緒に非常に近くてとても好きです。東雲くんが家に転がり込むまでの顛末を詳しくください(強欲)ッ!


『運命の歯車は真実の音を刻む』

 ここまで一部のキャラクターたちが別作品で繋がり、「応援団シリーズ」や「魔法少女シリーズ」などといった概念が生み出されてきましたが、私の作成キャラはこれらに含まれておらず、ちょっとさみしく感じておりました。

 しかし最終日にして、彼氏の東雲くんが巻き込まれるという形でまさかの紅緒登場! おそらく『両角紅緒の好きなところ~』と同一世界線だと思われますが、きっと最後までつながらないだろうと思っていた繋がり作品の一端に紅緒が加わることができて嬉しかったです。


 それにしても、最終日にしてこんなに大ぶろしきを広げて、このシリーズはいったいどこまで続いていくのでしょうか。ここからリレー小説形式で大長編が生まれたら面白いですね。もしそうなった暁には、板野さんがwikiのページに人物相関図を作ってくださるかもしれません。


『悪魔と暮らす最初の一日(加賀美智彦・両角紅緒)』

 本コンテストで誕生した名悪役、加賀美とのカップリング。これまた意外な組み合わせだなと思いましたが、作者のhibanaさんのコメントを読み納得しました。確かに、人間が好きじゃないという自己理解をする、頭の回転が早く客観視が得意な紅緒であれば加賀美の二面性にもいちはやく気づくかもしれません。その結果、ろくでもないことに巻き込まれそうではありますが……


 他者理解に優れているがゆえに、他者にあまり理解されてこなかった人間に懐かれてしまうという一面は確かに紅緒に存在すると思います。前にあった東雲くんも近い経緯で仲良くなった可能性があるなと感じました。


 こちらも、加賀美が「魔法少女シリーズ」にて悪役を演じてきていたことから、紅緒があの世界観に加わる可能性を感じてわくわくしました。あるいは、実は『運命の歯車は~』と本作が同一世界観で、東雲くんと紅緒は別々に加賀美に会っており、片方(東雲くん)は警戒され、片方(紅緒)は懐かれているという展開でも面白そうです。その場合、東雲くんの命が極めて危険な状態ですが。


 いろいろと想像が膨らむお話でした。続きを、是非……!(n回目のクレクレ)


※『結婚願望が強くて悪いのですか』

 まさかの結婚願望ありの友人、霧島さんより先に結婚報告をするという役回り。主役回だった『控えめな~』では宇美が担っていたヒロインを焦らせるポジションを今度は紅緒が担うという、不思議なリレーが繋がりました。ここでは紅緒のお相手は明かされませんが、誰とくっついたのかが気になりますね。今回の匿名キャラたちの中の誰かなのか、それとも作者さんは全く別のキャラを想定しているのか……


 高学歴だが手先の器用さを活かして逆学歴詐称をしつつ設備員をしている紅緒と、ハイスペしごでき女子の霧島さんは確かに良い友人になりそうです。おそらく学生時代からの付き合いなのでしょうね。恋愛要素無しでこの二人の友人模様も見てみたいなと思いました。


※『あの日の恋のリスタート(松蛇愁×霧島春乃)』

 紅緒のエントリー直後に追加された霧島さんが、紅緒と近いスペック(年齢や経歴など)を持っており、『結婚願望が~』に続き友人枠として出てきたことに納得。そして松蛇氏が彼女らと同い年であることを失念しており、「まさかの同窓会!」に驚きました。


 たぶんここでの霧島さんは「自分にはないものを持っている男性」に惹かれる傾向にあり、ちょっと影のある松蛇氏に惹かれていたのだろうなと思う一方で、松蛇氏の陰の性質をいちはやく見抜いていた紅緒は同級生としては平等に接するも、異性としては警戒していたのではないかと感じました。


「真面目な委員長キャラが、学生時代に好きだったちょっとワケありな男子と同窓会で再会しようとしたら、偶然再会してしまった。そこからはぐいぐい押していく。そしてそれを生ぬるい目で見守る同級生ふたり」という、現代ドラマの王道な設定が好きです。そして何より、紅緒の言動に“男友達は多いが恋愛には発展しない”という要素が見て取れて「そうそう、これこそが紅緒!」と首を縦にブンブン振りながら読みました。たぶんこの二ノ宮くんと紅緒は付き合っていないんでしょうね(違っていたらすみません)。


 紅緒のようなタイプの子は、恋愛ものに向いていないんじゃないかと考えていたのですが、皆様の作品を拝読し、決してそんなことはないのだと気づかされました。お相手として選ばれたキャラも「ちょっと思い込みが激しめな一途系男子」「ひょうひょうとしてつかみどころがないが実は大事な人とはしっかり繋がっていたい青年」「表と裏のギャップが激しすぎる、そして深い闇を抱えている男」と三者三様で、恋愛要素を強められるか否かは、作者のキャラの深掘り次第なのだなと思い知らされました。


◆まとめ

 長くなってしまいましたが(ここまでで一万字越え)、お読みいただきありがとうございます。


 今回の匿名コンは「自分が書いた短編が評価されると嬉しい」といういつもの匿名コンの楽しみに加え、「自分が作成したキャラが、他の方の手によって生き生きと動いているさまを見守れて嬉しい」という新たな楽しみがありました。

 宇美と陸は、主役起用こそ少ないもののそれぞれの作品のインパクトが大きく、深く印象に残りました。そして紅緒は、私がおねだりした影響もあるかとは思いますが多くの方に起用していただき、様々な恋愛のパターンがあり得るのだということを示してくれたので非常に学びがありました。三名を起用してくださった皆様、また彼らが登場する物語を面白いと思ってくださった皆様にに深く御礼申し上げます。


 そして、短編執筆のほうではなんと、書いた三作すべてが「続きが読みたい賞」にエントリーされるという名誉を得ました。推してくださった皆様、ありがとうございます! 個人的に続きを書くハードルが一番低そうなのは『記念日に~』です。前述のとおり普段の私の文体に薊榊ペアがマッチするので。

 その反面、『令和のなよ竹姫~』と『こたつのような~』はかなりハードルが高いです……前者はだいぶ風呂敷を広げているうえ、夜鳥さんと弱竹さんのキャラが極めて濃いのでキャラに負けないストーリーを考えるのはかなりの力が求められます。また後者はカップリング相手の原田陸くんの作者さんが、事情により非公開となってしまったことが懸念点です。

 BLは私が普段書いている小説とはちょっと違う「お作法」があるイメージがあるので、いくら同性愛描写を容認するキャラとして挙げられていたとしても、長編化した場合キャラ作成者さんの意図に合わない起用はしたくない、という思いが強いです。ましてや私はBL初心者なので、知らないうちに人の地雷を踏みぬかないか心配です。


 というわけで、続きを期待していただいた三作につきましては、あまり期待せずにお待ちいただけますと幸いです。色々と書いてきましたが、ふと思い立って書き始める可能性もゼロではないので。その際には、キャラ作成者の皆様には必ずご連絡させていただきます。


 引き続き、宇美、陸、紅緒、そして水涸木犀すいこもくせいおよび私が生み出した作品たちをどうぞよろしくお願いします。


 さいごに、今回の匿名コンで初めて私の存在を知った、ないしは初めて私の作品を読んだという方は、ぜひ私の他の作品も見てくださると嬉しいです。


 私は、「カクヨムに存在する十二ジャンルすべてで、十万字前後の完結済み長編を書き上げる」ことを中期目標として活動しています(現在六ジャンルで達成済み)。そして、来たるカクヨムコン10では、苦手意識のあった「恋愛」ジャンルで挑もうと考えております。水涸木犀が書く恋愛もの、悪くないんじゃないと思ってくださった方は是非見に来ていただきますと嬉しいです。


 最後に、主催者の板野かもさんに深く御礼を申し上げます。これからも、よろしくお願いします。

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