書きたい作品と読まれる作品を分けて考える
このエッセイは初投稿から間隔を挟みながら、マイペースに連載を続けています。
飽きずに読み続けてくださる方々、ありがとうございます。
さて、エッセイのタイトルは「読まれる作品の考察」というわけなのですが、ウェブ小説で十年近く活動を続けていると、書きたい=読まれるではないことを実感することが多いです。
自身の例でいくと、活動開始から数年間は柳田国男と恒川光太郎(敬称略)を足して二つに割ったような小説を書いていました。
ホラーというかファンタジーというか、現代日本を舞台にした作品ですね。
これはこれで楽しかったのですが、小説家になろうで和ホラーを投稿しても、ブックマークもPVも伸びませんでした……これはもう当然ですね(笑)
途中でファンタジー、特に異世界ファンタジーを書けばいいと気づいても、ガラケーからスマホにするのを拒否するような頑固さで、しばらく移行しなかったと思います。あとはファンタジーを書くことへの苦手意識もありました。
そんな自身でしたが、ちょっとしたきっかけでプロットを思いついたのと、和ホラー・和ファンタジーを主戦場にしていた作家・恒川光太郎が異世界転生物を出版したことが影響して、初めて異世界ファンタジーに着手しました。
こうして、書き上げたのが「平凡なサラリーマンが異世界生活を満喫しながら魔術師になりました(以下略)」というわけなのですが、小説家になろうでのブックマークやPVが今まで見たこともないような数値になりました。
……はっ、「カクヨム」で読まれる作品でしたね!?
カクヨムでも似たような傾向はあると思います。
人気ジャンル以外でPVを集めるのは難しいです。
作品数の関係で異世界ファンタジーは埋もれてしまいがちなので、差別化を図る意味で他ジャンルを攻めるのはありですが、書き手が「書きたい作品」である方が挑戦しやすいと思います。
ここで、ビジネス書っぽい切り口になりますが、「書き手としてどうしたいか、どのようになりたいのか」はとても重要なポイントだと思います。
誰しも承認欲求がありますから、とにかく読まれたい、ブックマークやPVという数字で結果がほしいという場合もあれば、納得いくクオリティの作品を書きたい、小説としてかたちにしたいということもありますよね。
こういった創作論系のエッセイを読まれる方は書き手としての意識が高いと思うので、当てはまらないと思いますが、「ただ読まれたい」だけでは作品を書き上げるのは難しいはずです。特に長編の場合は。
ここまでのことをまとめると、「書きたいテーマを読まれやすいジャンルの作品に織りこむ」というプランがバランスの取れた着地点だと思います。
例えば、ブラック企業と異世界ファンタジーを組み合わせて書くなら、主人公が奴隷になって酷使される→そこから痛快な方法で抜け出す。
こういった展開なら読者はカタルシスを得られて、読みごたえがあると思います。
ちなみに、「迷宮ブラックカンパニー」という異世界のブラック企業とダンジョンが題材になった面白い漫画もあるので、現代世界のものを異世界版で表現するスタイルもありなんじゃないでしょうか。
理想を言えば、純粋に書きたい作品を書いて数字も出たら最高なのですが、必ずしもそうならない側面があります。
ジャンルを妥協するのか、あんまり読まれなくてもいいと妥協するのか。
個人的には、ただ書きたいから書くという動機もいいと思いますし、ウェブ小説を投稿する人すべてが書籍化を目指さなくてもいいと思います。
最近、「幸福優位7つの法則」という本を読みましたが、成功すれば幸せになるという公式は誤りであり、幸せだから成功すると書かれていて、目から鱗でした。
小説は自発的に書く時間が大半なので、楽しくなければ続きにくいと思います。
読まれることも充実感につながりますが、この本に当てはめれば楽しいから書き続けることができて、結果的に成果が出ることの方が多いのではと感じます。
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