2ページ

「え? マシュマロだった?」

「ちょっ、声が大きいよっ」

「誰も聞いてないって。んで、奏太からのお返しがマシュマロだったって?」

 さっきまで面倒くさそうな顔してたのに。

「よかったじゃん、お返しもらえて」

「よく、ないよ」

 確かにホワイトデー当日に家まで持ってきてくれたのは嬉しかったけど、中身がマシュマロって。

「それってあれ? あなたが嫌いってやつ?」

「はっ」

「ごめんごめん、そんな顔しないでって」

 響子は笑うけど、私としてはとても悔しいっていうか。私だって結構な勇気をもってチョコ、渡したのに。

「もー、気にしすぎだよ」

「ん~、そうじゃないかもしれないじゃん」

 ホワイトデーにマシュマロを渡す意味、ちゃんと知ってたら私、私…

「悔しいっっ」

 なんか分からないけど、悔しい!

「えー、でもさ」

「ん?」

「意味分かってないと思うよ。だって奏太じゃん」

「ん~そうかもしれないけどぉ」

「私は奏太がマシュマロにそんな意味があるってことは知らないと思うなー。多分、包装が綺麗だったから、とかそんな理由だと思う」

「確かに、包装は綺麗だった」

「でしょ? んで、天音は甘党だし、それがいいって思ったんじゃない?」

 確かに幼馴染はみんな私が甘党だってことは知っているけど。

「そうかも、マシュマロの中にチョコも入ってたし」

「え、チョコ⁉」

 バッ、っと響子が振り返る。心なしか瞳が輝いているような?

「あー、でも奏太だしな」

 そして一人で納得したみたいに頷いて視線を戻した。

 え、なに?

「なに、なに、なに?」

「マシュマロはマシュマロでも、チョコが入っているのには別の意味があってね」

「別の意味?」

 そんなの、あったっけ? クッキーとかキャンディーとか、そういうのは知っているけど…?

「ま、ググってみて」

 にやっ、と響子は笑って席を立った。ちょ、待って!

「別の意味ってなにー⁉」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る