【19】神の罪

 嘗て悪事を働いた5番目の神がいた。

 彼はこの世界を正すつもりがなく憧れの異世界に転移して、自らが神となれた事に歓喜していた。

 更に彼は支配欲が生まれつき強かった。


 支配欲にも色々ある……

 彼の場合は自らの手によって現状を崩壊させ、媚びうる者を監視する欲だけしかなかったのだ。

 結果このような複雑な状況のまま、数百年が経過している。


 元々天使は5番目のバカ神に生み出された為に、奴隷として扱われていた。神の代替わりの条件は死ぬ時に告げた名前の者。

 5番目の神から6番目の神に代替わりするときは異例であった。


 天使による神殺しで6番目の神が誕生している。

 このような代替わりしている為に、今度は6番目は天使を庇護する考えで他の事は無関心になる。

 6番目は事態が悪化していく事にストレスを感じ始め徐々に弱り始め、死ぬ直前になり自分の愚かさに気付き、次の者【戸河健汰】に託した。


『なるほどな。

 今聞いた登場人物の神が、アホでクソ野郎の集まりってのは分かった。考え方は違えど、俺も今は同じ神という立場になった。

 俺から言えるのは1つだけだ。自ら生み出しておいて奴隷として扱い虐げたた事を、同じ神としてこの場を借りて詫びよう。

 大変すまなかった』


『勿体なきお言葉でございます。神よ……感謝致します……』


 天使一同は泣きながらお礼を言ってきた。


『これより天使はこの世界で【慈愛】の象徴になれ!

 身の危険を感じているなら我が庇護下に入れ!

 絶対的な敵意がない限り俺は可能な限り和睦の道で解決させたい。

 しかし従わない場合は残念ながらその種族は根から絶やす。

 コッペ!お前たちはどうする?お前が代表で決めろ』


 ………………

 …………

 ……


 コッペの、いや、天使一同の決断は早かった。


『神の意向に従います……』


『それとコッペ、いつも通り話してくれて構わんよ。皆も気を使わなくてよい。コッペと天使の皆さん、一先ず俺の住む所に行こう。全員そこに住みなさい』


 コッペが焦るような表情で、ある人物の助けを懇願してきた。


『今の敵対している堕天使は私の兄なの!何とか助けてあげて欲しい!助けてくれる……?』


『ああ、そのつもりだ。安心しろ、俺もこの世界が好きだ。悪いようにはしないよ』


『よかった……よかったよぉ……』



 コッペは泣いていた。

 そんな時、健太に通信が入る。


 『エルフより使者が来ております。

 至急お戻りをお願いします』


『ホント休む暇もなく、いろんな展開が待ち受けてるなぁ。

 本当に本当に……面倒くさいよ!!』

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