天地天命、人として生く 半日の夢

夏の陽炎

第1話  母さん、と、

 フリースクールでの先輩や後輩の性被害についてを話しても、先輩の妄想ではないかとあまり取り合ってはくれない母さん。精神障害者になって普通に仕事をできなくなったという事実や友達もなくし恋人もできない、薬の服用もあって子どもも産むのが難しいという現実についての悩みごとを打ち明けてもただ聞いて何も言えない母さん。


 家に帰れば、夕飯ができてる。時々2人分では多めで翌日のお昼のお弁当のおかずの分も残っている。わたしの精神障害になったという歪んだ心の悲しみは、

「家事さえやっていればいい母親気分なの?」

と母に冷たい言葉をきつく投げかける日もあった。


 週末だけ家にいるお父さんはいつも無言。わたしが統合失調症の陽性症状がひどい時にお父さんの仕事について聞いたが睨みつける始末。わたしの口調が荒げて乱暴だったのかもしれないけど、精神障害になり働くのが困難になった心の根底の痛みに答えてはくれなかった。

“お金さえ与えればいいと思っているんでしょう?”

お父さんには言えなかったが腹の底からそう思った。働くのがどんなに大変か転職が多いわたしでも知っている。それでもお父さんは触れることのできない心の壁を作った。

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