スープマニア

@Tiger_on_the_hand

スープマニア

あるところに、とってもスープが大好きな男が住んでいました。

男は三度の飯よりスープが好き、いやそもそも三度の飯がスープでした。

なので男は、スープについての知識はある程度は持っているという自信がありました。

しかし、男は悩みます。

男は、同僚の年下の女性に恋をしていました。

そしてついに、その女性を自分の家に誘うことに成功したのです。

そのときに男が、晩飯作るけどなにがいいと女性に聞くと、

「スープが飲みたい」

とだけ言いました。女性は男がかなりのスープマニアであることは知っていたので、当然とも言えます。

しかし、何のスープが飲みたいかを聞くのを忘れていたので、男はさんざん悩みました。

一生に一度のチャンスかもしれない。ミスは絶対に許されない。

自分は、期待されているのだ。インスタントスープなんか出したらどんな顔されるかわからない。

別に料理ができないわけではないのだ。でも来る日は明日。今からあれこれ思考錯誤したってうまく行く保証はない。

なんで連絡先聞かなかったんだろう、という最大のミスに今更気付きながら、結局男は他の仕事仲間の男に電話でヒントをいただくことにしました。

というか連絡先わからないのにOKするあの人もあの人だな――

とか思いながら、男は仕事仲間に悩みを打ち明けました。

そして、

「味なんかよりも、自分の思いがどれだけこもっているかが一番重要なんじゃない?」

という、ありきたりながらも一番しっくりくるお言葉を頂きました。

そして、男は決意しました。

どんな方法を使ってでもいいから、自分の思いを最大限に伝えてやる、と。


仕事が終わった後、男は忘れずに女性の連絡先を聞いておきました。

そして男は「料理の準備をするから」と言い、先に帰りました。

そしてその後、電話で女性に時間と住所を伝え、そして、

「鍵は開いてるから、入ったらまずは風呂場に向かってくれ」

と言っておきました。


女性は玄関前まで来て、チャイムを押しました。

しかし返事はありません。

仕方がないのでそのまま扉を開き、靴を脱いで家に上がりました。

風呂場は入ってすぐ右にありました。

浴室のドアを開けると、浴槽には蓋がしてありました。

女性がその蓋をゆっくり開くと、そこには――






































「――鮮度落ちてんじゃん。せっかく調理器具持ってきたのに…」

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