閑話【シンクロ】

リップクが執務室に入る。


「如何するんですか支部長?」


副支部長カリアティードが尋ねる。


「ムームーズの街とスペースの街

あとカレーの街のギルド支部に連絡を取ろう」

「連絡の手段は? 魔法による通話ですか?」

「盗聴の恐れが有るからここに来て貰う様に伝書鳩を飛ばしてくれ」

「文書の内容は?」

「ここに来る様に伝えてくれ」

「はぁ・・・それで如何するんですか?」

「だから伝書鳩に」

「いえ、 そうではなくギルドマスターの依頼・・・というか

あの暴挙に従うんですか? ギルド支部三つ使って

人攫いって誰が如何考えたって頭可笑しいでしょ」

「だが報酬は10億だぞ? やる価値は有る

ギルド支部長で割っても2億5000万

ギルド各支部には大体100人位のギルド員が在籍していて

そいつ等の動員の為に給料払っても、 1人50万だとしても2億は手元に残る

充分な報酬だ・・・いや、 待てよ」


思考するリップク。


「?」

「良し、 カレーの街が魔王と内通していたって事にしよう」

「はい?」

「そしてカレーの街の金品とか奪い取ればもっと稼ぎになる」

「正気ですか!? それは盗賊のやる事じゃないですか!!」

「ギルドマスターの命令だからで全部済むだろう」

「ギルドマスターに全部責任を押し付けるつもりですか!?」

「良いか? ギルドも利益が有ってこそだろう?」

「ふざけないで下さい!! カレーの街のギルド支部には何というつもりですか!?

自らの街を売る訳が無いでしょう!!」

「何を馬鹿な事を・・・協力しなければ殺すと言えば良い」

「・・・・・」


カリアティードが執務室から飛び出した。

そしてゾイサとソレイユの元に走る。


「お、 何だ?」

「リップク支部長が乱心しました!!」

「何だ急に」

「カレーの街を襲うとか言っています!! 最早盗賊のやる事です」

「「・・・・・別に良いんじゃない」の?」


シンクロする二人。


「俺は別にカレーの街が如何なろうと知った事じゃない」

「私も、 寧ろカレーの街の資材がギルドの物になるのなら

喜ばしい事じゃない、 ギルドの利益になるなら彼等も喜んで死ぬでしょう」


カリアティードが絶句する。


「信じられない・・・正気ですか!? ギルドの立場が無くなりますよ!?」

「ロダンをギルドに入れなければならない!!」

「モルガナを連れて帰らなければならない!!」


シンクロする二人だった。

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