閑話【これからの話】

運送屋に変装したヒラマサがオトコ、 スイカ、 ソメイが待つ宿屋に戻った。

偶然にも彼等が居る宿屋とスリム達が居る宿屋は同じ宿屋である。

彼等は別の階に居るのだ。


「只今戻りました」

「一人、 という事は失敗したという事か」

「申し訳ありません」

「心配要らん!! こうなる事は薄々気が付いていた!!」


オトコが馬鹿みたいな大声を出す。


「それは一体どういう事ですか?」

「うむ!! 昨日の家族に対してのドロップキックで生半可な事での説得は

不可能!! そうスイカが言ってた!!」

「まぁ貴方も門前払いされるかと思ったら・・・

身形が綺麗な所を見ると意外と好感触だったの?」

「いえ・・・断られました、 ですが収穫はありましたよ」

「収穫?」

「モルガナと一緒に居るロダンと言う少年

彼もラテン語を習得しています、 それだけでは無くMartyrisも習得しています」

「なんと!! じゃあモルガナよりもそのロダンを連れて行く方が良いじゃないか!!」

「彼にも断られました、 ジェスター貴族に良い印象を持っていない

モルガナの影響は強いですね」

「ならば・・・やはり何らかの手土産が必要でしょうか」


ソメイが口を開いた。


「手土産!? お菓子とかか!?」

「そんな単純な話では無いよ・・・ソク家当主の座、 とか」

「何だと!?」

「ふむ・・・」

「それは・・・厳しいでしょう」


三者三様のリアクションを取る。


「現当主ダイヤを当主から降ろす、 それ位の誠意を見せる必要があると思う」

「確かに嫌いな奴が落ちぶれるのは見ていて気持ちいいな!!

だが実際難しいんじゃないのか!?」

「陛下に打診する価値は有るのでは無いでしょうか」

「超法規的措置、 となれば良いかもしれませんが・・・一度戻りますか?」

「それが良いだろう、 良し、 一旦チェックアウトをしよう」

「モルガナの件はそれで良いとしてロダンとやらは如何する!?」

「そうですね・・・貴族の地位を与えるのは如何でしょうか」

「それも陛下に要相談だな!!」


そう言って荷造りを始めるオトコ。


「待てオトコ、 帰る為の馬車の手配で一日かかるからまだ居るぞ」

「何だと!? それでは今日はこのホテルに居ると言う事か!!

素直に寝て居よう!! おやすみ!!」


そう言ってベッドに飛び込みいびきをかくオトコであった。


「単純だなぁ・・・」

「羨ましい・・・」

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