第153話【Rubbing】

「帰れッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


ボロ小屋に近付くと中から物凄い怒声が聞こえて来た。


「ひっ・・・す、 すみません!! 出直します!!」

「あ? ちょっと待て・・・」


ボロ小屋から一人の初老の偏屈そうな男性が現れた。


「何だ、 あいつ等じゃないのか・・・すまんな

最近迷惑な客が来ててな」

「い、 いえ・・・大丈夫です」

「それじゃあ上がれ・・・いや、 待った、 紹介状は持って来ただろうな」

「あ、 はいこちらに・・・」


シエンから貰った紹介状を見せるロダン。


「ほうシエン坊からか!! 奴は中々見所の有る奴だ!!」

「そ、 そうなんですか・・・」

「実に革新的なアイデアを持っている奴でな!! 将来が楽しみだ!!」

「あ、 そ、 それじゃあ、 賢者の石を使った杖を作って欲しいのですが・・・」

「賢者の石!! 中々凄い注文をするな!! 賢者の石は持って来ただろうな!!」

「は、 はい、 こちらに・・・」

「どれどれ・・・うむ!! 本物だな!! 偽物掴まされる奴が多いんだ!!」

「そうなんですか・・・」

「それじゃあ杖の製作に入るから出てった出てった!!」

「わわわわわ!?」


ロダン達が外に追い出されて、 ボロ小屋の戸には

『只今作業中!! 邪魔するなかれ!! 依頼人は除く』

と書かれた鉄の板が現れた。


「ちょ、 ちょっと? すみませんお代とかは・・・」

「いらねーよ!! シエン坊からの紹介だからな!!」

「は、 はぁ・・・」


そう言ってその場を立ち去るロダン一行。


「とりあえずステーキハウスで宿でも取ろうか」

「そうだね・・・」


ロダンが町に向かうと擦れ違う三人。

包帯を巻いた勇者バンテージ、 包帯を巻いた女性バンド、 包帯を巻いた青年エイド。


「今日こそはあの爺さんに武器を作らせるぞ!!」

「勿論よ!!」

「・・・・・」


エイドがロダン達と擦れ違った後に止まった。


「如何した? エイド? さっさと行かないと」

「そうよ!!」

「・・・今、 擦れ違ったの、 ロダンじゃない?」

「ロダン? え? あのロダン?」

「そうだったかしら・・・何人か人を連れていたけど・・・人違いじゃない?」


バンテージとバンドも振り返るが既にロダン達は離れている。


「・・・・・まぁ安心したよ、 彼は引っ込み思案な性格だからな・・・」


そう言ってバンテージ達も歩き始めた。

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